199話「ご褒美は『腕ちょんぱ』」
渾身の一発を無力化されてしまい、声を裏返してしまう華白。
「ありえない、かもッ……」
「女神にヘッドショットなど♪ 」
狼狽える華白の懐に潜り込み、ルルナは聖剣をそっと構えた。
「千年早い! ですわ♪ 」
続けて一閃。
晴天ノ無想剣(聖剣)で華白の左手首を一刀両断。
ーーズシャアアアアアア!ーー
するどい斬撃音が華白の耳に届き、彼女の手首に熱く・冷たい感覚が駆け抜けた。
「……はへ? 」
連鎖して、ルルナに切り飛ばされた『とある物体』が、華白の眼前でクルクルと舞った。
「わ、わたしィの……手? 」
十弐式毒銃を握りしめたまま、宙を飛ぶ『左の掌』。
主を失った左手首は、そのまま花壇のカーペットに着地。落ちた先は、丁度ルルナの足元であった。
「コレって、多分……」
一体何が起こったのかを認識し、青い瞳を限界まで見開く華白。
「あ、うぅッ……あ、あ……」
「まあ、可哀そうに……わざわざ『手首を切断』して差し上げたのですから、喜んでくださいな」
その通り、華白の左手首はルルナに切断されてしまったのである。
「いやァ……わたしィの左手、がッ」
手首を失った腕の切断面から、グリーンブラッドが溢れ出してくる。
「いたぁ……い。あつい、よぅ」
硫酸の血が、出血、出血、大出血。
ポタッ、ポタッ……ジュ~
グリーンブラッド(酸性の血)が滴り落ちてゆき、華白の足元を溶かしてゆく。
「あらあら~聖域を硫酸の血で汚すとは……まったく、清潔感0ですわね」
今の華白にはルルナの煽りにリアクションする余裕はなく、涙が零れだしそうなのを堪えることしかできなかった。




