197話「友の仇は完璧超人」
一方のルルナは、華白の接近に目もくれず……
「あら♪ 害虫ちゃん……もう壊れてしまったのですか? 」
黄金の瞳をウットリと緩め、雷昂の掠れた眼差しを見下ろした。
糸が途切れた人形のように崩れ落ちる雷昂。
毒の巫女(雷昂)は花壇の上に寝そべり、グッタリと沈黙してしまった。
「悲しいですワー。もうちょっとだけ、遊びたかったのに」
「あ、あぁ……申し訳、ございません。つくし、さま……」
「遺言に『あの女への謝罪』を選ぶとは……愚か者の鏡ですわね」
勝利者のルルナは、敗北者(雷昂)の呟きに耳を澄ませ「フフ♪ 」と嘲笑う。
「しかし、嘆く必要はありません。すぐに、あの女と感動の再会をさせてあげましょう。地獄でね♪ 」
「それがし、は……それがし、は……」
「さあ♪ 安らかに眠りなさい、欠陥品の少女よ」
「あ、あ……それが、し」
そして遂に、ちっこい手から力がフッと消えてしまう。
「謹崎さん!! 」
ここでようやく、華白がルルナの真向かいに到着。
華白は沈黙&停止した雷昂を見て、頭の血を沸騰させた。
「謹崎さん。う、うゥ……」
(は、初めて出来た……友達だったのに……)
発端のルルナは華白の感情など気にも止めず、事切れた雷昂をボールのように蹴り飛ばした。
「邪魔ですわ」
「人の友達をぉ!!! 許せないかも! 」
女神の行為に対し、華白は煮えたぎるような殺意を抱いてしまう。
「憎悪と怒りが混合した目つき。フフ♪ 良い表情をしますわね。貴方という楽しみを、最後に残しておいて正解でしたわ」
「よくもッ! よくもおおお! 」
華白は燃え滾る感情に身をゆだね、毒銃の照準をルルナの頭部に合わせた。




