196話「害虫を駆除する音色」
十弐式毒銃が雑に投擲され、アタフタしながら落下地点へ歩み寄る華白。
連鎖して、ゆっくり落ちてくる毒銃をキャッチ。
「おぉッ……と、とぉ~」
華白は毒銃のグリップを握りしめ、奮闘中の雷昂へ意識を移す。
「毒銃……キャッチした、かも。謹崎さ……」
――バキィ!ーー
ところがどっこい、鈍く重々しい打撃音が華白の声を打ち消してしまう。
その音は、雷昂とルルナの地点から聞こえてきた。
そう、雷昂が華白へ毒銃をパスしたタイミングで、ルルナのアッパーカットが幼女(雷昂)の胸部を殴り上げたのである。
「……ッ!、ガッ!ハァ!」
短い呻き声が、雷昂の仮面下から洩れる。
「あら♪ あばら骨が折れる音色ですね。睡眠用のBGMにピッタリですわ」
ルルナは雷昂のお腹を殴り上げ、1発2発3発と……幼女のみぞおちを容赦なく強打し続ける。
「一♪ 二♪ 一♪ 二♪ 」
――ドガ! ドゴ! ドガ!
「フフフ♪ 幼女サンドバックは、良い暇つぶしになりますわね~」
「アッ、ガァ……ガハ! 」と吐血してしまう雷昂。
ルルナの猛攻に耐えきれず、毒呪仮面に亀裂が走ってしまう。
絶体絶命の状況に、混乱してしまう華白。
頭の中を混乱させつつ、ルルナの暴行を止めようと試みた。
(これ以上、ルルナさまに無双されたら……き、謹崎さんが死んじゃう……)
「と、止めなくちゃ……」




