196話「毒銃キャッチボール」
ちっこい手で毒銃を回収し、華白を一喝する雷昂。
「いつまで!くたばっているつもりだ?! 抗え! 馬の骨が!! 」
雷昂の怒声にハッとして、ズタボロの体を起き上がらせる華白。
「あッ……あ、あ。き、謹崎さん……」
「なるほど♪ 攻撃すると見せかけて『欠陥神具(毒銃)』を回収しましたか」
一方のルルナは二人を交互に見つめ、雷昂に静かな殺意を向けた。
「害虫ちゃん。どのような手品を披露しても、無駄ですわ」
ルルナの挑発をスルーして、雷昂は毒銃片手に投球の構えを取る。
「コヤツは貴様専用のガラクタだ! 受け取れ!」
「「まさか?! 」」
野球選手のような雷昂の姿勢を見て、目を見開く二人(華白とルルナ)。
「ど! 毒銃を! 」
「華白さんに『投げ渡す』おつもりですか?! 」
ここに来てようやく、華白とルルナは『雷昂の狙い』を察する。
当然、ルルナも黙っておらず、雷昂の妨害を試みた。
「そのような悪あがき……このわたくしが、見逃すとでも?! 」
ルルナが聖剣を構え雷昂へ飛びかかる、しかし……
死が迫り来る瞬間であっても、雷昂は『取るべき行動』を実行した。
「受け取るがいい! 」
雷昂はぶっきらぼうに罵倒しながら、毒銃を華白にむかって投げつけた。




