192話「晴天ノ無想剣」
「先ほど『三割の力しか出力していない』と申しました。今は、機嫌が良いので……千年ぶりに、この聖剣「晴天ノ無想剣」の神髄をお披露目しますわ」
晴天ノ無想剣を、紫色の天(空)へ掲げ、澄み切った声で唄う。
「愛よ。正義よ。そして、揺るぎない希望よ 」
唄に応えるように、晴天ノ無想剣が虹色の稲妻に包まれてゆく。
その輝きを見て、華白は血の気が引いてゆくのを実感した。
「や、ヤバい……かも」
(ルルナさん。つぎは本気だ。アレを喰らったら一瞬で灰にされるかも)
「愛と正義のために! この世すべての悪を滅したまえ! 」
天地神明の台詞を綴り、ルルナは虹色の稲妻(晴天ノ無想剣)を果敢に振り下ろした。
同時に、虹色のライトニングが一気に放出され空間に亀裂が走る。
立て続けに、レインボーのエネルギー波が辺りの花々を焼き払い、華白へ襲いかかってきた。
視界が虹色の閃光に覆われ、華白は細胞レベルで『死』を悟った。
「な、なんでもいい……避けなく、ちゃ! 」
ヤケクソ気味に回避を試みるも、華白のコンデションは限界。
足を動かすエネルギーはとっくに枯れ果てている。
「力、入らない……かも」
そうしている間にも、膨大な灼熱エネルギーが華白めがけて急接近。
「避けられない。し、消毒されちゃう! 」
もはや手遅れ、華白は100%の直撃コースに絶望した。
(カケル。ごめん、ね)
「や、約束したのに……やっぱり、わたしィなんかじゃ……」




