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174話「世界はヒーローを中心に廻っている」


「〇✕〇! 」


「お久しぶりです、荒神さま。ここで会ったが百年目、ですわね♪ 」


「〇✕〇、△△△△△~」


「無念でなりませんわ。元々、森の守護者だったアナタが、この様なザマに成り果ててしまうとは……」


 ルルナは旧友のごとく、殺気まみれの荒神業魔に歩み寄る、が……対する荒神業魔は女神の言葉に応えぬまま、残った片方の腕を構えてみせた。


 荒神業魔の拳が生物のようにネリ動き、4~5倍も肥大化。元々の拳よりも、数段階上のサイズ感に達してしまう。


(勘弁してほしいかも。今度は、左手が変身しちゃうの?! )

「ひ、左手だけでも最強って! インチキでデタラメかも」


 華白は絶望しながら、虹色のオーラに包まれたルルナの背中に警告した。


「ルルナ様あああ! 逃げて! アナタが死んじゃったら『みんなの希望』も壊れちゃう」


「……華白さん。以前にも、宣言した筈ですわ。わたくしは……」

「〇△〇、○○○○○○○○○○○○○○○○!」


 女神ルルナの台詞途中にも関わらず、荒神業魔が巨大化&進化した左手で襲撃。

 荒々しい咆哮に台詞を遮られても、ルルナは顔色一つ変えることなく、端麗な手で「聖剣の柄」を包み込んだ。


「わたくし『七神ルルナ』は、人類の救世主ではなく……正義の味方……だと」


 悠長に自己紹介している間にも、荒神業魔の必殺がルルナの顔面へ……


「み、見てられないかも。女神さまの鼻がヘシ折られる光景なんて」

「畏れる事はありませんわ。わたくしは『この物語のヒーロー』。ゆえに……」


 ――カキン!ーー


 荒神業魔の巨大な拳が、ルルナの体から湧き出る虹色のオーラと衝突。

 続けて、荒神業魔の拳がビリヤード玉のように弾かれた。

 渾身のストレートパンチを跳ね返されて、彼の姿勢が大きく崩れてしまう。


「✕〇✕ッ?! 」


「この世の理は総じて、わたくしを中心に廻っているのです♪ 」


 ……ルルナの『虹色オーラ』によって、荒神業魔の攻撃が無効にされた……



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