173話「ヒーローは遅れてやってくる」
ーートン♪トン♪トン♪ーー
テンポの良い足音が、閃光の発生源でもある右側の方角から歩み寄って来る。
華白は『足音の主』を視認して、思わずマヌケな声をあげてしまう。
「アナタはッ! ももも、もしかして?! 」
「申し訳ございません。少々、遅刻してしまいました。ただし、心配ご無用……」
優雅な足音と共に乱入した、その者は『神々しき美少女』。
身長160cm前後、絶妙にバランスのとれたスタイル。そして、金髪のロングヘアーは奇跡の賜物であり、一本一本の毛先から黄金色の光沢が発している。
美少女はホワイト&イエローの色彩をした和装を身に纏い、滑らかな肩に「虹色のマント」をかけており……そして、右手に『聖剣』を握りしめていた。
その聖剣は、人間の想像を一蹴してしまうほど幻想的。
まさに、レベルをカンストさせた勇者の究極武器! と比喩できるほどのインパクトを兼ね備えていた。
「ヒーローは『遅れてやって来る』のが、お約束ですわ」
「るッ、ルルナさま!! 」
要するに、希望の女神『七神ルルナ』本人が、華白と荒神業魔の決闘に乱入。
彼女が黄金のエネルギー波を発動し、荒神業魔の右腕を吹っ飛ばしたのである。
希望の女神の降臨に、ポカンと口を広げてしまう華白。
「どうして……アナタが、こんな所に?」
「その答えはシンプルですわ。わたくしは、自らの手で『正義を執行しに来た』だけ……」
ルルナはサラサラの金髪をなびかせ、慈愛に満ちた表情で華白へ微笑みかけた。
「ここからは、わたくしの活劇ですわ。とくとご覧あれ♪ 」




