168話「荒神業魔の最終形態」
「〇△〇!!」
「ギィエェ……」
コボルトたちは妨害してきたソレを睨み、縮こまり後退りをしてしまう。
一方の華白は、ソレの面を見て鬼の形相で吠えた。
「あッ! 荒神業魔あ!! 」
コボルト軍団の前に立ち塞がったのは、荒神業魔そのもの。
ところが、彼の顔面を覆う甲殻は溶けており……その姿は以前の戦い(毒沼)によって激しく損傷していた。
「ギィ……」
コボルトたちは畏れおののき、荒神業魔から逃げようとする。
けれども、そんな努力も空回り。皆が等しく、荒神業魔の触手に捉えられ拘束されてしまった。
「ヤバ! コボルトたちが、荒神業魔の触手にグルグル巻きにされてる! 」
「ギィア~」「ギィ、ギィ……」
触手の拘束に抵抗するコボルトたち。
だが、そんな努力も虚しく、一匹また一匹と……荒神業魔に頭から丸かじりにされてゆく。
ガリガリ! バリバリ! グシャグシャ!
次々に捕食されてゆくコボルト軍団。
華白は一歩離れた場所から、狂気的な食事の光景を傍観することしかできない。
「化物同士で共喰いするなんて~夢の中でもリピートしちゃいそう……」
一匹残らずコボルトを食した後、荒神業魔の体が変化しはじめる。
ボコッ、ボコボコボコ!
以前の戦いで刻まれた傷が癒え、フォートレス甲殻が肥大化してゆく。
「……信じられない。荒神業魔の傷が治って、体もおっきくなって……」
荒神業魔の全長は10mに到達。
2本の腕を更に生成して、計4本の腕を体得。
さらに、フォートレス甲殻の材質が進化、甲殻の表面から虹色の光沢が発せられ、ダイヤモンドのような甲殻へ変形&進化してゆく。
「デッカぁ~。甲殻もピカピカかも」
(きょ、恐竜が猫に思えるくらい大きくなってる。これが、荒神業魔の本気? )
「『最終形態』のお披露目ってヤツ?! 悪趣味かも」
(多分、コボルトの肉を平らげて、パワーアップしたんだ……)
「人のこと言えないけど、アナタも結構な怪物っぷりかも」
「〇△〇!……」




