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14話「無敵クリーチャーとハーレムプレイ」

 

「ガァアアアアア! 」


 ーーーーーーーーー


 コボルトの爪が華白の首を引き裂く一歩手前…


「ボーっと突っ立てんじゃねえ。馬鹿タレが! 」


 大尉が両者の間に乱入し、華白の体を乱暴に突き飛ばした。強引に押し出され、華白の姿勢が大きく揺らぎ、コボルトの一撃が空ぶる。血塗れの爪が華白の首横スレスレを通過してゆき、華白は間一髪一命を繋ぎとめた。


 大尉は荒々しく華白を助けてから、アサルトライフルの弾倉を交換する。


「『伏兵』ってヤツか。化物のくせに! 智恵が回りやがる! 」


 大尉は至近距離でコボルトの腹に銃撃を喰らわせながら、他の兵士たちを一喝する。


「さっき駆除したヤツはデコイおとりだ。そこら中に伏兵がいるぞ! 」


 兵士たちは大尉の警告を聞き、慌ててマガジンチェンジをはじめる。ところが、彼らが動揺している隙に、コボルトの援軍が木裏からゾロゾロと顔をみせた。


「おいおい。軽く、30匹はいやがるぞ」

「一体殺すので腹一杯だってのに、クソゲーすぎるだろ?! 」

「右も左もコボルトだらけだ!コイツがモテ期って奴か。クソ! 」


 コボルト軍の圧倒的な戦力に、華白たちは包囲されてしまい退路すらも断たれてしまう。絶望的なありさまに、華白はガスマスクの中で呼吸を荒げ、神に祈ることしかできなかった。


「ああ、かみさまぁ~お、おたすぅ……」


 無論、大尉も兵士たちも、そんな臆病者に構っているヒマはない。


「何匹いたって、オレたちの勝利は揺るがねえ! 」

「かかってこい。コボルトどもおお! まとめて可愛がってやる」


 ドドドドドドドドド!


「ギィ、ガアアアアアア! 」


 一斉に飛びかかってくるコボルト集団。兵士たちも果敢に迎撃を試みる、が…

 コボルト集団は止まることを知らず、怒涛の勢いで攻め込んでくる。

 慌ただしい地獄の中で、大尉が銃を撃ちまくりながら状況を分析した。


「ちッ、一匹に火力を集中させねえと、フォートレス甲殻を突破できねえ! 」


 そんな大尉へ1体のコボルトが距離を詰め、甲殻の手で彼のアサルトライフルを握りしめた。


「ギィエ…」

「ッ?! 離しやがれ! 汚い手で、人の彼女に触れんじゃねえ」


 しかし、コボルトは大尉の銃を手放さず、それどころか…


 グシャ!


「ッ?! 馬鹿な……チタン合金の銃を、雑巾みたいに捻りやがった! 」


 武器を破壊されてしまい、大尉はやもえず素手でコボルトと素手で対峙する羽目に。華白は、そんな彼の元へヨレヨレと助けを求めた。


「た、大尉ィ~わたし、どうすれば……」

「でしゃばんな糞ガキ。役立たずらしく、地面を舐めながら震えてやがれ」

「はひィ~、大人しく石になりますぅ」


 大尉から怒鳴られた通り、華白は地面に伏せてから気配を消した。このアクションによって、華白はコボルトのヘイト(注意)から逃れた…が

 コボルトを前にして、雑用兵(華白)を気にかけた事は、大尉にとっての最大のミスだった。


「ギィ! 」


 ドゴォ!

 コボルトの想いアッパースイングが、大尉の腹部に襲いかかる。


「がッ、ハァ! 」

「た、大尉い!!! 」


 およそ30tものパンチ攻撃によって、大尉の体が宙へ飛ばされてゆく。


(ひゃ、180㎝のオジサンを、たった一発のパンチでぇ……)

「次元が違い過ぎるよ~。こんなのに、勝てるわけ……ないかも)


 人知を超越したコボルトの戦闘力を前に、華白は心が折れるのを実感しつつ、地面にひれ伏した。


 大尉に続いて、他の兵士たちもコボルト軍団に蹂躙されてゆく。


「コボルトめ! 早すぎて、見えねえ。音速で走ってんのか?! 」

「銃弾だって弾かれちまう。ブリーフィングの情報と違う。要塞どころか、宇宙戦艦並みに頑丈じゃないか! 」

「ぐあああ! コイツ、オレの腕に噛みつきやがった。こん畜生! 化物とイチャイチャするなんてゴメンだ! 」


 兵士たちの叫び声が往々と飛び交う。

 華白は、そんな大乱闘の中をゴキブリのように這う事しかできない。

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