165話「スタイリッシュ復讐」
対する華白は緩やかに立ちあがり、コボルト軍団に背中を晒したまま……
「多分、逃げてばっかじゃ、ヴィラン失格かも」
エメラルドグリーンの瞳を尖らせて、これまで『コボルトに殺された人々』の無念を一身に背負った。
「沢山の人たちが、アナタたちに虐められたよね。だから……」
(今! ここで、皆の仇を討つ! )
「アナタたちの! 玩具にされちゃった、人たちの分まで! 」
コボルトに敗れた人々の無念を唄いながら、円を描くように1回転スピン。
「蹴って、蹴って……蹴りまくる、かも! 」
100%全力出力の『回し蹴り』を、コボルトたちにお見舞いしてやった。
―――――ゴ! オウ!
毒人によるフルパワーの蹴りが炸裂。
核弾頭に匹敵する衝撃が空間を歪め、空気そのものが一瞬のみ蒸発してしまう。
放たれた回し蹴りは、たった一撃のみ……
だが、そのたった1発が、飛び掛かってきコボルトたちを一蹴した。
「ギィああああああああああ! 」
10体のコボルトが、まとめて蹴り倒されてしまう。
彼らは数メートル先まで吹っ飛ばされた挙句、ボールのように地面をゴロゴロと無残に転がった。
仲間たちが返り討ちにされて、動揺してしまったのか?
「ギィエ……」
華白の攻撃から逃れた『三匹のコボルト』はジリジリと後退りながら、彼女に対して弱々しく威嚇してみせた。
「ギッ、ギィ……ェ」
「これじゃあ、わたしィがオオカミで、アナタたちが子豚さんかも」
華白は王者の風格を漂わせながら、獲物(三体のコボルト)へ歩み寄ってゆく。




