表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/245

13話「やったか?!は『フラグ』ですよ?」

 

 お互いの距離は5~6m程度。

 コボルトの一挙一動に集中し、大尉がライフルの引き金に指を乗せる。


「合図は大尉に任せます。いつでも、弾丸の雨を降らせてやりますよ」


 大尉の動きに合わせ、他の隊員たちも射撃体制へ…そして、先手を撃ったのはコボルトの方だった。


「ギィ、エエエエエエ! 」


 コボルトが地面をキックして、銃を構えた兵士たちの壁へ突撃してゆく。


 ソレを迎撃するかの如く…


「ファイア! 」


 大尉がガスマスクの中で高々コールし、兵士たちが一斉に引き金をひいた。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


「しね、死ね、死に腐れええええええ! 」


 兵士たちが罵声を吐きながら、ひたすらに銃を撃ちまくる。


「…ッ、ギィ!エ?! 」


「こ、コボルトが苦しんでる。雑な弾幕攻撃でも、効果抜群かも! 」


 弾幕を真っ正面から浴び、コボルトの足が止まってしまう。

 数の暴力に翻弄されるコボルトを見て、華白は口をポカンとおっ開いた。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


「ギィアアアアア! 」


(弾幕の嵐がフォートレス甲殻を削って、コボルトを蜂の巣にしてる! )

「見栄えはダサいけど、凄い……かも)


 猛烈な弾幕に晒され、コボルトが悲鳴を轟かせる。

 それから、ドドドドドド…カチッ!

 兵士たちのアサルトライフルが弾切れとなり、加熱した銃口から煙があがった。


 …ドサッと、崩れ落ちるコボルト。


「………」


 大尉と兵士たちは、弾切れになったアサルトライフルを構えたまま、倒れたコボルトを警戒する。華白は、大尉の肩越しから『コボルトの沈黙』を目視して胸を撫でおろした。


「……やった、かも」


 ボソリと零れた華白の感想に、周りの兵士たちが頷く。


「ああ、その通りだ! 」

「オレたちの手で、コボルトを殺虫してやったんだ! 」

「この調子なら、荒神業魔だってヌルゲーだぜ! 」


 しかし、この中で一人、大尉だけは「………」と険しい表情を浮かべていた。

 無敵のクリーチャーから勝利を奪い取り、歓喜づく兵士たち。その中の一人が、華白の肩へ手を乗せ、興奮気味の口調で励ましてくる。


「アンタもビビる必要はない。俺たちがいれば、毒森をノーコンティニューで攻略できるさ」


「はぃ~」

(多分、大丈夫。さっきみたいに……数の暴力作戦でゴリ押しちゃえば、安心安全にハッピーエンドへ辿り着けるから……)


 華白は兵士の言葉に頷くが、その若者はずっと彼女の肩に手を乗せている。


(ちょっと、ベタベタし過ぎィ~。カケルならいいけど、他の人からは触られたくないかも)


 ゆえに華白は、馴れ馴れしい兵士へ視線を向けてから「あの、いい加減。手を離してください……」と伝えようとした…が…


「?! ひィ! く、首が……無くなって」


 彼女のリアクション通り、肩に触れていた兵士には首から上がなく、首の断面からピューピューと血が噴き出していた。兵士の手が華白の肩がズルリと離れ、首なし死体が血だらけの地へおちる。さらに『甲殻に覆われた足』が、その死体をゴミのように踏みつけた。


(こぉ!甲殻の足ィ?! まさかあああ! )


 当然、その足の主は……


「ギィ……エ」


「コボルトぉ?! 」

(さっき、わからせた筈なのに! どうしてえええええ! )


 華白は青い瞳を点にして、コボルトの血が滴る爪を凝視する。コボルトは「ギィ」と口元を吊り上げ、爪の刃先を華白へ合わせた。


「やばぁ……目と目が、合っちゃった……かも」


「ガァアアア! 」


 コボルトの一撃が、恐怖に震える華白に容赦なく襲いかかって来る。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ