155話「偽りのセーブポイント」
……それから、毒の茨道を突破。
華白は毒の茨道から脱出した後、近場にあった「岩陰」へ立ち寄った。
「つ、都合のいい……セーブポイント(休憩場所)は……」
満身創痍の雷昂の体を支えつつ、岩陰の傍にある芝生へ目星をつける。
(普通の芝生だけど、ベットの代わりになる、かも)
芝生へ歩みより、そこに彼女(雷昂)を寝かせてあげた。
「正直、応急処置とかぁ、微塵も興味ないけど」
(どんな手を使ってでも! 謹崎さんを看病してあげなくちゃ! )
一旦、泥まみれの両手で雷昂の状態をチェック。
彼女(雷昂)の状態は酷い有様で……巫女服はズタズタに引き裂かれ、破れた服から覗く肌は血塗れ。おまけに、仮面には深い亀裂が走っている。
(ひ、ひどい。もしかしたら……手遅れ、かも)
「?! ダメダメ! 友達を、勝手に殺しちゃ……」
最悪のケースが脳裏を過ぎるものの、頭をブンブンと振って意識を切り変え、雷昂の口元へ耳を近づけてみる。すると「スゥースゥー」と短い呼吸が、仮面の奥から聞こえて来た。
「よかったあ~多分、生きてるかも」
(それじゃ、謹崎さんの傷を、拝見っと……)
雷昂が生きている事に安心してから、彼女の患部を確認してみる。
「ぐ、グロぉ~。謹崎さん、肩が……」
墜落した時の衝撃が凄まじかったのだろう。雷昂の右肩に深い傷が刻まれ、彼女の右半身が真っ赤に染まってしまっていた。
「謹崎さんの右肩、死神に憑りつかれてる。と、とりあえず! 止血しなくちゃ」
しかし、止血道具など持ち合わせていなかった。




