147話「おんぶ逃走」
「………ッ!!!」
鎌切龍には50口径毒弾の『猛毒』に抗う術はなく、ひたすらその場で悶え苦しむ事しかできない。
「よおし! 鎌切トカゲくんが、苦しんでるうちにッ……」
華白は毒銃を強引にホルスターへねじ込み
「謹崎さんを『おんぶ』してッ、華麗に逃走かも」
ジタバタ慌てつつ雷昂を『おんぶ』してから、彼女(雷昂)の両脚をホールド。
されど、華白が逃げ出すよりも早く、鎌切龍が毒弾の猛毒から復帰して、復讐だ!と言わんばかりの勢いで突撃してくる。
「?! 猛毒を抱えながら、殺しにくるっていうの?! 」
鎌切龍の生命力に驚愕しつつ、華白は雷昂を背負って茂みの方へ飛び込んだ。
……タッ、タッ、タッと森を駆ける華白。
「ハア、ハア、ハア! 」
毒々しい森の中をひたすら走る華白。
「ていうかッ! ここ、どこなのおおおお! 」
混乱する頭で思考するが、走るので精一杯。もはや脳内会議をする余裕はない。
ドン! ドン! ドン! と、鎌切龍が後方から猛スピードで迫りくる。
「ハア、ハア! ダメだあ~追いつかれちゃうッ」
(謹崎さんを背負ってるせいで、全力で逃げれない、かも)




