143話「毒人の治療方法」
(ととと、とりあえず! 包帯っぽい何かを! )
医療具の代わりになりそうなモノを求め、近くで佇んでいる『毒木』へ。
その木に生えている『毒の葉』を見て、華白の直感が「コレだ! 」と叫んだ。
(悪魔の髪みたいな外見してるけど…適任かも)
「正直、異常だって……自覚してる、けど」
今から『自分がしようとしている事』を狂っていると自覚しながら、毒木から『毒葉』をむしり取り、ソレを包帯のように左肩の傷へグルグルと巻きつけた。
「名付けて! 毒包帯ッ! なんちゃってぇ~」
『毒草の包帯』によって、左肩から痛みが少しずつ引いてゆく。
(荒治療だけれど……多分、止血は完了かも)
「我ながらドン引きかも。『毒の葉っぱ』でケガを治す日が来るなんて……」
要するに、コレが毒人の応急処置。
毒草に含まれた『毒素』と華白の『毒人細胞』が共鳴し、毒人の治癒能力が発動したのである。
「毒パワーで傷が治っちゃうなんて。毒人って悪趣味かも」
左肩を応急処置し終えて、腰にぶら下げた『十弐式毒銃』へ意識を移す。
「ど、毒の鉄砲は? 派手に墜落したから、故障してるんじゃ~」
毒銃が、墜落した衝撃で故障しているかも?と心配する、が……十弐式毒銃には傷ひとつなく、多少の泥がこびりついた程度だった。
「小学生が考えたような鉄砲のクセに、すっごく頑丈。へんなの……」




