140話「幻影から勇気をかりて」
鎌切龍の予想もしない必殺技(レーザー光線)。
華白はエメラルドグリーンの眼球を震わせ、とっさに身をよじらせる。
紙一重で回避行動を取ったおかげで、灼熱の光線が華白の腋を通り過ぎてゆく。
「あっぶな! あと、ちょっとでも反応が遅かったら……上半身が吹っ飛ばされてた……」
(ビーム光線を、隠し持ってたなんて。いい趣味してるかも! )
だが、嘆いている暇などない。
鎌切龍は華白が動揺している隙に、レーザー光線を再装填させた。
「鎌切トカゲくんの口。また、ド派手に輝いてる?! 」
(もう一度、レーザー光線で分からせよう!ってワケ?! ありえないかも)
鎌切龍の口が上限一杯に開放。
再度、赤色のエネルギーが集約されてゆく。エネルギーの規模は増幅してゆき、ついには人間サイズまで拡張した。
(初弾よりも、ビームのサイズ感がおっきい……)
「そ、それでも。わたしィ一人で何とかしなくちゃ……」
(か、鎌切ドラゴンくんをやっつけなくちゃ……わたしィも謹崎さんも、二人まとめて消し炭にされちゃう)
アドリブで鎌切龍を撃退できるのか?
正直、心の中は恐怖と不安で一杯だが……
「多分、次は外さない、かも」
毒銃の銃口をカタカタ震わせつつ、鎌切龍に照準を合わせた。
「神さま……いや『カケル』。おねがい、勇気をかして」
華白隣は、愛野カケルの後を追うだけの臆病者。
だけど、カケルはそんな彼女に夢を託した『欠落した世界を救ってほしい』と……
「その無茶振り、ちょっとだけプレッシャーだけど……」
鎌切龍が、次のビーム光線を発射するまで……あと3カウント。
……3……2……そして、最後の1秒前……
華白の脳裏にて、今はもういない『カケルの笑顔』がボンヤリと見えた。
その幻影を見て、華白はコッソリと口元を緩ませた。
「見ていて……」
エメラルドグリーンの瞳を震わせながら、毒銃を両手でギュッと握りしめる。
「わたしィ! 多分! 諦めないかも! 」
ちっぽけな誓いを、毒空の上で一杯に叫びながら……
ーー毒銃の引き金を絞り込んだーー




