136話「銃VS鎌」
一瞬にして、死の一太刀が目前に迫り……
華白は「ッ!」と緑色の瞳を見開き、条件反射的に毒銃の引き金をひいた。
ーードオン!ーー
毒銃の銃口が火を噴き「50口径の毒弾」が発射される。
鎌切龍の刃と華白の毒弾。
双方の必殺が、ボクサーのクロスカウンターの如く交差。
50口径の毒弾が鎌切龍の腋を掠り、はるか後方の毒雲へと命中。
同時に、鎌切龍の一撃が華白の首から逸れて空虚を裂いた。
「ど! どっちの攻撃も、ハズレ?! 」
お互いの攻撃はミスという結果に終わった、が……
「まだ終わってない。鎌切ドラゴンくん。次の攻撃、準備してる」
鎌切龍が二度目の攻めに転じて来る、と想定し……華白はオーバーヒートした毒銃を握りしめた。
「もう一回、この毒銃を働かせるには、たしか~」
十弐式毒銃を冷却する為に、毒銃のトリガー・ガードに指を乗せる。ところが、そうしている時には既に、鎌切龍は大鎌を構えて攻撃姿勢へ移行していた。
「せ、先行とられちゃったッ……」
華白は指を震わせながら、毒銃の引き金周りにある安全部品をひく。
「はやく! この毒銃を、冷やさなくちゃ! 」
毒銃から「カチャリ」と金属音が鳴り、銃身がL字に折れ曲がる。
続けて、銃身の末端がむき出しになり、そこから煙がモクモクと発生する。
(ヤバぁ~。鉄砲の冷却、時間かかる…かも)
「早くぅ! こんなにモタモタしてちゃ、成敗されちゃう」
鎌切龍の大鎌が、華白の腰部にピタリと合わせられる。
「こんな至近距離じゃ、避けられないッ……今度こそ、真っ二つされる…かも」




