133話「毒雲空域」
雷昂(蛾の怪獣)は計画を淡々と述べてゆきながら『異質な雲』に覆われた域へ突入。
…………
華白は雷昂(蛾の怪獣)の背にしがみつきながら、雲群の中で息を潜めた。
「何なの~。このグロい雲はッ?! 」
異質な雲が華白の頬に触れ、青い瞳がエメラルドグリーン変化し、感覚が研ぎ澄まされる。華白は雲に触れ『毒人の身体強化が発動』している事に動揺してしまう。
(周りが、よく見える。音だって、よく聞こえる。毒バフ効果が発動、した? )
「力が湧き出て、くる。この雲って、多分……」
「頭の回転は遅いが、話しは早いな。ここは『毒雲空域』猛毒の雲に支配された、最低最悪の空域だ」
「毒パラダイスな空の旅ってこと?! もう、何でもアリかも」
「悲観するな。この空域にある猛毒雲は、毒人の貴様には脅威ではない。それどころか、心強い味方……と言っても過言ではないだろう」
「た、たしかに…わたしィは絶好調だけど……」
毒雲空域の環境は理解できる、が……
華白には、もう一つ引っかかる疑念があった。
「こんな『毒の空』を飛び回って、謹崎さんは平気? 」
「小娘に気遣われる筋合いはないわ。それがしの華麗な体を、その節穴の目に叩きこめ」
目を凝らして見てみると『青色の鱗粉』が、雷昂(蛾の怪獣)の体に付着しているのが見て取れた。
「謹崎さんの体に、粉っぽいのがビッシリ着いてる。不潔かも……」
「不衛生なのはお互いさま、だ。それよりも、この粉末は『耐毒鱗粉』。耐毒・術式の一つだ」
「多分『この鱗粉で毒雲から身を守っている』ってノリ? 」
「概ね、そんなところだ。それがしは神獣形態時……耐毒鱗粉を全身に纏ってから、飛行することを日課としておるのだ」
「仮面とか鱗粉とか。ロリ幼女のクセに、毒対策はバッチリかも」




