133/245
130話「毒森のG」
蛾の怪獣の背にしがみつき、華白は「ッ!」と咄嗟に目を閉じてしまう。
そして、鎌切龍の鎌が振り下ろされた、その刹那……
「とぶぞ! 馬の骨! 」
雷昂(蛾の怪獣)がヒラリと翼を翻し、神速のスピードで離陸。
ーースカッ
大鎌が蛾の怪獣を捉え損ねてしまい、鎌切龍が「?!」と目を血走らせる。
……………1m、10m、50m
「ひィ、視界がぁ……マッハで上がってッ! 」
うめき声を洩らしてしまう華白。
視線が一気に上昇してゆき、淀んだ空が急接近してくる。
「あッ! うぅ……からだ、が重い!かも」
(多分、馬鹿みたいな速度で上昇してるからッ……G?っていうのが発生してるんだ)
華白の視界が暴力的な圧力に体が晒され、グラリと傾いてしまう。
「い、意識が……かすん、で……」
(でも! 手を離したら、頭から真っ逆さま、だ。我慢しなくちゃ)
霞む意識をなんとか繋ぎつつ、華白は蛾の怪獣(雷昂)の背中にひたすらしがみつく。そうしている内に、雷昂はさらに高度を上昇。
やがて雷昂(蛾の怪獣)は『とある空域』に到達してから、飛行速度を緩やかに下げた。




