129話「生まれて初めての乗り物は……」
すると、雷昂(蛾の怪獣)が大きな翼を羽ばたかせ、華白を一喝する。
「それがしの美貌に見惚れるのは後だ。はやく、この背中に搭乗するがいい! 」
「えぇ~寒い冗談かも」
(自転車にすら乗った事ないのに。怪獣に乗れって言うの?! ハードル高いかも)
ドーーーーーーーーン!
「?! な、なんなの?神社が爆発して」
「クソッタレ。鎌切龍のヤツ、神社の正面口を破壊し、こっちにまで特攻してくるつもりか?! 」
そう、鎌切龍が神社の出口(正面口)を木端微塵に破壊。
そのまま勢いに乗せて、二人に向かって一直線に進撃してきたのである。
「多分、ヤバい……かも。鎌切ドラゴンくんが、突っ込んでくるよおおお」
「さっさとしろ!このままでは『毒人間と蛾』のひき肉ができあがるぞ! 」
「あ、アナタと一緒に、ハンバーグの具材にされるのはゴメンかも」
華白は固唾の飲み込み、蛾の怪獣(雷昂)の背中へ跨る。
「小学生が考えたみたいな…悪夢かも。バイク感覚で怪獣に乗る、なんて」
「ガタガタ煽るな、阿呆! 掴まれ、上昇するぞ」
華白を背に乗せたまま、雷昂(蛾の怪獣)が両翼を大きく羽ばたかせる。
けれでも、鎌切龍は圧倒的なスピードで二人の眼前に急接近。
両手にある巨大な大鎌をギラりと光らせて、獲物(華白と雷昂)を射程範囲にとらえた。
(はやい。瞬きもしない内に、鼻の先まで近づかれちゃった。や、やられ……ちゃう?! )




