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117話「屋根裏部屋と幼女の✕✕」


…………その一方。

 華白と雷昂は屋根裏スペースへ忍びこんでいた。


 屋根裏のスペースは、少女二人が通るには窮屈な上に狭く、ほふく前進でギリギリ進むことができた。


「ひィ~、狭いし暗いよ。それにィ、床だってジトジトしてる~」

「愚痴は後にしろ。今は黙って、それがしのケツに続くがいい」

「ロリっ娘のお尻なんか、どうでも良いかも」


 彼女らは雷昂を先頭にして、光りの届かない薄暗い空間を這いずってゆく。


「ま、まさか屋根裏に『隠し通路』が、あったなんて」


「この屋根裏は外にも繋がっておる。このまま下劣に這いずり回れば……神社から穏便に脱出できるであろう」


 華白は、数㎝前にある雷昂の尻を見つめ「はあ~」とため息を吐いた。


「これじゃ、コソ泥以下かも」

「贅沢ぬかすな。それがし達では、奇跡が起こっても奴らには敵わん」


「つ、つまり……今のわたしィには、どうにもならない…かも?」


「嗚呼。錯乱していても、奴らは訓練された兵士……」

「それにィ、翼さん達の鉄砲はハイテクモデルだから、ね」


「フン。もしも、武力行使したいのなら、キサマの『毒人能力』を発動させるのが一番手っ取り早い」

「一理あるかも。凶悪な毒があれば……わたしィ、パワーアップするし」


 単身で完全武装した部隊を倒すには、毒以上に凶悪な『猛毒』で毒人の力を覚醒させる必要がある。華白は「ならば……」と代行案を口にしてみた。


「謹崎さん。アナタから貰った『超毒薬』……まだ取ってあるの。コレを使えば、多分……」

「却下、だ」

「えぇ~即答……」


「その秘薬(超毒薬)は、この世に一つしかない奇跡の産物なのだ。たかが人間相手に使うなど……言語道断だ! 」


 雷昂は、華白の『超毒薬で身体強化して、兵士を鎮圧する』という提案を早々に否定。ちっこい足で、後ろに続く華白の顔をゲシゲシと踏みつける。


「愚かな考えは頭の隅にしまっておけ。このまま鼠のように忍んでおけば、無意味なリスクを回避できるのだ」

「わ、分かったから……わたしィの顔、踏みつけないでぇ~」


(ムカつく~でも、謹崎さんの言うとおりかも。まだ、翼さん達に見つかってないから、このまま屋根裏を進めば安全に逃げられる、はず)


 ……と、心の中で納得した矢先……


「捕虜が、逃げたぞおおおお! 」


 兵士たちの怒鳴り声が、屋根裏の真下にある廊下から聞こえてきた。


 ドタドタドタ!


 慌ただしい足音が、華白たちのいる屋根裏まで伝わってくる。

 華白は下(廊下)の様子を察し、息を詰まらせた。


「ッ?! 、脱走したこと、バレちゃったあ?! 」


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