115話「銃殺刑へのタイムリミット」
雷昂はぶっきらぼうにツッコんで、部屋の奥にある棚の方へ向かう。
「ふむ。アレは……たしか、ここにあったはず」
棚の戸を開き独り言を吐きながら、その中をゴソゴソ漁りはじめる。華白は、そんな幼女巫女の背へ問いかけた。
「なにか、探し物? エッチな本でも掘り出してるの? 」
「間抜けめ。そこまで性に飢えてはおらぬわ」
続けて、雷昂が「嗚呼……」と頷き、とあるモノを棚の中から引っ張りだした。
「コヤツを探してたのだ」
「えぇ~それって、もしかして『仮面』ってヤツ? 」
「正解だ。『耐毒仮面』。そして、それがし専用の術具だ」
雷昂が取り出した道具は、道化師のようなペイントが施された『奇妙な仮面』。彼女(雷昂)は淡々と説明を述べつつ、奇妙な仮面を顔に装着する。一方の華白は、仮面姿のロリ巫女を胡散臭そうな視線でみつめた。
「ヘンテコな仮面にしか見えないけど~、一体……」
「見た目は滑稽でも……『毒森で活動』するための必需品だ。コヤツには『耐毒の加護』が符呪されておるから、な」
「つまりィ、仮面バージョンの『ガスマスク』って感じ? 」
「フン、そんな所だ」
雷昂は耐毒仮面の説明を軽く済ませてから、一番の問題へ話題を移した。
「……では、本題に突入するぞ。奴らの目論見は、それがし達を『銃殺刑』すること。その運命は自覚しているな? 」
「み、認めたくないけど~。分かってるかも。翼さん達……十分後に、処刑パーティーを開催する!って盛り上がってたし」
「チッ! キサマがぶち込まれてから7分は消耗しているぞ、ゆえに……」
「あ! あと3分で、処刑されちゃうってこと?! 時間が枯渇してる。 はやく逃げなくちゃ! 」
「フン。言われずとも、そうしたい所、だが……」
雷昂が、ちっこい手で道具部屋の扉を開けようとする、が……
「この扉、要塞のごとく強固だ。どれだけ力を加えても、ビクともせぬ。おそらく、厳重に施錠されているのだろう」
「外から鍵をかけられてるってワケ?! こんなんじゃ、脱走なんて夢のまた夢かも」
「うろたえるな。まだ、望みの糸は途絶えておらぬ」
そう告げてから、雷昂は微動だにもしない扉の前で解決策を口にした。
「それがしに『作戦』がある。馬鹿丸出しの策だが、一番合理的なヤツだ」




