106話「負けヒロインはコソ泥ですか?」
毒霧は室内まで蔓延っているものの、霧の濃度は外に比べて薄かった。毒霧濃度を確認しながら、奥にある教壇へ歩み寄ってみる。
「謹崎さん! 生きてるなら、返事してほしいかも」
華白のヘロヘロな声が屋根に反響する。
そんな風に進んでる、と……教壇の床に『何かの痕跡』がある事に気がついた。
「床がハチの巣になってる。コレって、弾痕? 」
片膝を落し屈んでから、教壇の床に刻まれた弾痕を撫でてみる。
(み、ミリタリーの知識は皆無だけど…)
「コレって多分、アサルトライフルを撃ちまくった痕…かも」
則ち、この弾痕は『翼たちが神社を襲撃した』という事実を証明していた。
「でも、なんで…翼さんが……」
(主人公が闇堕ちするなんて! 一体、どんなクソ展開が起こったの?)
井竜翼が『毒牙神社を襲撃した動機』は闇に包まれている、が……
「ウジウジ考察してても時間のムダだし。とりあえず、謹崎さんの救出に集中しないと」
そうは言うものの、雷昂がどこにいるのか? 検討もつかない。
「……ヒントでも貰えたら、ロリ幼女を炙り出せるかも」
ブツブツ愚痴を垂れながら、立ち上がろうとした、その折……
ーーーカチャリーーー
「両手をあげろ」
男の声と共に、銃口が華白のポニーテイル(後頭部)に押しつけられた。




