105話「崩壊した聖域」
……毒の沼地から離脱して、数十分後……
華白は『毒牙神社』に到着し、神社の様子を挙動不審に見渡した。
「ち、調子に乗って、謹崎さんを助けに来たのはいい、けど……」
忍び足で進み、神社の入口でもある『結界鳥居』の異常に気がつく。
「……神聖な鳥居が、壊れてる」
そのコメント通り、結界鳥居は横一閃に切断されており、上の部分がキレイに消失していた。
「鳥居が一刀両断されてるかも。つ、翼さん達が……やった感じ?」
……いや、その憶測はおそらく間違っている……
「翼さん達の武器は、アサルトライフルだもん。剣なんて、持ってないかも」
(つまり~『鳥居をぶった斬った犯人』が、別にいるってこと?)
鳥頭なりに推理を巡らせながら、毒牙神社の中庭へ……
結界鳥居が破壊された事によって、毒霧が神社の内部にまで侵攻していた。簡潔に言うと、結界である鳥居が失われ、外から毒ガスが流れてきたのである。
(神社の隅々まで、毒霧が広がってるッ)
「結界が機能してない。このザマじゃ……何時、コボルトが襲ってきても可笑しくないかも」
汗ばむ手で十二式毒銃を握りしめ、毒フィールドと化した神社を通過してゆく。
「中庭に人影はない、それなら……き、謹崎さんは……神社の中? 」
華白は『神社の室内に雷昂と翼がいる! 』と予測して、社内へコソ泥のように侵入した。




