104話「復讐か?友達か?」
「選択を誤るな。自ら死に来る馬鹿が、一体どこにいるのだ?! 」
その警告と同タイミングで、使い魔(蛾)から『男共』の怒鳴り声。
「床だ! 床の下に隠れてやがるぞ! 」
「手こずらせやがって! 今度は、逃がさねえ! 」
「『かくれんぼ』は終いだ。このロリ巫女野郎! 」
使い魔(蛾)越しに「ドタドタドタ! 」と、慌ただしい足音が確かに聞こえて来た。さらに、焦りまくっている雷昂のコメントが続く。
「嗚呼! くそったれ! もう嗅ぎつかれたのか! 」
ーードドドドド! ーー
「じ、銃声?! 謹崎さん! 」
華白は青い瞳を震わせ、使い魔(蛾)越しに雷昂へ呼びかけた。
しかし、それ以上……雷昂からの返事はなく、通信がプツンと途切れてしまった。
「謹崎さん! 謹崎さん! 」
パタパタと羽ばたく使い魔(蛾)に呼びかける、が……次の瞬間、ガラスが割れるような音が鳴って、使い魔(蛾)そのものが粉々に砕け散った。
「使い魔さんが塵になっちゃった。これじゃ、謹崎さんと連絡できないかも」
………雷昂との連絡が完全に途絶えてしまった。
ポツンと取り残されながら、思考フェイズに移る。
現状、華白の前には『2ルートの選択肢』が存在していた。
(荒神業魔を追う? 謹崎さんを助けにいく? )
「アイツに、荒神業魔に復讐するなら……今が絶好のチャンス」
……しかし……
「こうしてる間にも、謹崎さんはタコ殴りに…」
荒神業魔か? 謹崎雷昂か?
「……よぉし! 多分、決めた! かも」
華白はどちらかのルートを選択。
十二式毒銃を片手に、ポニーテイルをなびかせながら、自らの意志で一歩を踏み出した。




