98話「未来」
今にでも泣き出しそうな華白の悲鳴。
彼女の声に誘われて、とある客人たちがポツポツと姿を現した。その者たちは『毒ホタル』、毒の沼地を住処とする、虹色の羽が特徴の光蟲だ。
一匹一匹の毒ホタルがレインボーの翼を羽ばたかせ、二人の頭上でダンスを披露する。
毒ホタルの群れが奏でるカーニバルに誘われ、沼全体が虹色のオーロラに包まれた。
ーーそんな沼の水面へーー
……ポタ、ポタポタ。
華白の涙がゆっくりと零れおちた。
「あうぅ……なみだ、がッ」
(ダメッ! 泣かないって……約束したのに)
透明の雫が、光り輝く毒泥に調和。
さらに、毒の沼が華白の涙を汲みとり、赤・青・黄・緑……と多種多様な色彩へ変化。毒の沼が、やさしく儚い虹色のイルミネーションを演出する。
そんな奇跡(毒沼)の片隅で、カケルの右手が「ピクリ」と反応した。
「?!」
彼の指先が動いたことに、息を飲む華白。
「かっ! カケルぅ! 」
カケルは華白にお姫様抱っこされながら、いつも通りの優しい声で応えた。
「……やあ、リン。君には…助けられてばかりだ、ね」
「わッ……わ、わたじィ! 」
華白は涙と鼻水で顔をグシャグシャにさせ、カケルの優しい眼差しを見返す。
「なにも、出来なかった……カケルを守るために! こんな所までストーカーしてきた、のにッ! 」
喋れば喋るほど、涙が滝のように溢れ出してくる。
「ごめんなさい。泣かない……って契約したのに、約束……破っちゃったかも」
「……そっか」
「スーパーヴィランになっても、何も、変わらなかった。変えられなかった」
「そっかあ……」
「結局、わたしィは……一人じゃ何者にもなれない、木偶の棒…かも」
「……リン。たくさん、沢山、がんばったんだね」
彼の体から温もりを感じつつ、華白は首を振って現実から目を逸らした。
「お、置いていかないで。もう、一人はイヤ…かも」
「君は一人ぼっちじゃない。これから、不器用で愉快な仲間たちが沢山できるさ」
「そんなの、いらない。カケルだけいてくれれば、それでいいもん……」
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