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死者が明かす真実




「あなたには、ずっと死んだ人が見えていたのね。だから、あんなに怯えて……」


「なんで隠してたのよ」


 シンクロによって青年「冴山悠」が見ていた世界を獲得したカナタは、霊視能力によって映る景色を前に息を呑む。


 目の前にいるのは、この世界に来て最初に命を落とした権藤という色黒の男だが、その身体は半分透けており、それが幽霊、あるいはそれに類するものであることを視覚的に確信させてくれる。

 幽霊となった権藤を見たカナタの説明にハルナが納得したように呟き、ギャルのヒオが咎めるように言う。


「それは後でいい。カナタ。で、その幽霊ってのは見えるだけか?」


 そんなヒオの言葉を遮ったヤナギは、カナタに尋ねる。


「い、いえ。さっき話しかけられたので、多分話を聞くくらいはできるんじゃないかと」


「なら、話を聞いてみてくれ」


「分かりました。あの……」


 ヤナギに言われ、権藤の方へと向き合ったカナタは、少し気後れしながらも話を切り出す。

 カナタにとって権藤はハルナに絡んでいた少し感じの悪い男。ややいかつい顔立ちもあって、少々話しかけにくい。


『やっと俺の話をまともに聞ける奴がでてきたな。そっちの奴はこっちがどんだけ声をかけても全く聞く耳を持たなかったから、成仏できずにイラついてたところだ』


 だが、権藤の方はカナタのことなど知りもせず、自分が話しかけても怯えてばかりで散々無視を決め込んでいた悠への不満を愚痴る。


「……っ」


 権藤の言葉をなぞるように発言するカナタに、悠は青褪めた表情で顔を伏せたまま動かず、他のメンバーは各々の反応をみせながら、話を聞く。


『いいか。聞け。これから俺が話すのは、あの日にあったことだ。そして、俺達がどうしてこの世界に連れてこられたのか、俺達を連れてきたあいつらが何をしようとしているのか、教えてやる』


 そういって口を開いた権藤は、あの日――この世界に来た最初の日に何があったのかを語り始めた。



※※※



「な、なんだこれは!?」


 ロッジの外が暗転し、星空の中に抱かれているようになった次の瞬間、周囲の景色が森へと変わっているのを見て、権藤は驚愕に目を瞠る。


「おや。薬を飲まなかったのですね」


 身体を起こし、声を発した権藤の姿を横目で一瞥した異世界への案内人――「ノワール」と名乗っていたその男は、事も無げに言って微笑を浮かべる。

 しかし、その声音は言葉とは裏腹に、権藤が薬を飲むふりをして飲んでいなかったことに気づいていたことを伺わせるものだった。


「もちろん、ここは異世界です。異世界へと連れていく――いえ、連れてくると申し上げたではありませんか」


 権藤の質問に微笑めいた柔らかな声音で簡潔に答えたノワールは、仮面をつけたメイド達を従えて身を翻す。


「では、わたくしどもはこれで」


「待て!」

「はい?」


 そのまま立ち去ろうとしたノワール達を強い語気で呼び止めた権藤は、ロッジから見える景色をみて声を荒げる。


「こんな森のど真ん中でどうしろって言うんだ!? 近くに街はあるんだろうな!? 異世界に移住させるっていうなら、しっかりと移住できるまでサポートするのが道理ってもんだろうが!」


 異世界に来たのだとしても、こんな森の真ん中に置き去りにされても困ると、サービスの不満を叩きつけると、ノワールは小さく息を吐いて言葉を紡ぐ。


「――『拝啓。この度あなたには、異世界に移住権が与えられました。もし異世界での暮らしを望まれるのでしたら、このメールが届いてから一週間以内に、参加する旨をお伝えください」


「それは、メールの……」


 宛名を省いてはいるが、ほぼ正確にメールの文面に権藤が息を呑むと、ノワールは背を向けたまま、ゆっくりと顔だけを向ける。


「私どもは、一度も異世界に移住させる(・・・・・)とは申し上げておりませんよ? 異世界に移住する権利が与えられた(・・・・・・・・)と申し上げたのです。

 異世界に移住する〝権利が与えられた〟ということは、異世界に〝移住できる〟ということと同義ではありません」


 肩越しに視線を向け、微笑を浮かべたノワールに、権藤は心臓を締め付けられたような感覚を覚えて息を呑む。


 確かに、言葉上の意味ではその通りだ。

 権利があるということは、実際にそれができることを保証しない。


「てめぇ、まさか最初から――! ッ、どういうつもりだ! てめぇらは、一体何の目的で俺達を異世界に連れてきて、こんなところに置きざりにする!」


 ノワールが最初からこうするつもりだった――少なくとも、異世界に住居や仕事を用意し、生活できるようにするつもりはなかったことを理解した権藤は、顔を引き攣らせながら言い放つ。

 その心を駆り立てるのは、恐怖、あるいは焦燥。このまま右も左もわからない異世界の森の中においていかれてはたまらないという衝動から来るもの。

 語気こそ強く荒げられているが、それを発する心情は恐怖と弱さに彩られていた。


「まあ、いいでしょう。お答えいたします」


 「暗に見捨てないでくれ」と訴えている権藤の言葉に本心を読み取らせない柔和な声で答えたノワールは、改めて身体を向かい合わせて自身の胸に手を当てる。


「私達は、あなた達に分かり易い言い方をすれば、裏のエンターテイナーなのですよ。異世界の限られた者しか知らない、裏の非合法カジノのディーラー、あるいはスタッフとでもいえばいいでしょうか」


 自らの役割を明かしたノワールは、目を丸くしている権藤に向けて不敵な微笑を交えて語りかける。


「これは、異世界で行われているゲームなのです」


「ゲーム、だと?」


 息を詰まらせ、強張った声を発する権藤に、ノワールはその微笑を一層深くする。


「あなた方を異世界へと招き、何人生き残るか、誰が生き残るかを賭ける。いわゆる博打ですね」


 顔を引き攣らせた権藤に、アルカイックスマイルを浮かべたノワールは、悪びれた様子もなくこの異世界移住の目的を告げる。


「てめぇら……!」


 自分達の命を賭けの対象にされていると知り、怒りに顔を歪める権藤を気に留めた様子もなく、ノワールが言う。


「嘘はついていませんよ? 生き残った方はこの世界で生きていただいて構いません。ちゃんと外から来た人間が溶け込んで暮らすことができる世界を選んで連れてきていますから」


「そんなこと聞いてねぇ!」


 どうなればそのゲームが終了するのかは不明だが、それが終わればこの世界に住んで構わないというノワールの言葉を、権藤は強い語気で一蹴する。


「言ってませんからね」


 しかし、そんな権藤に対してどこまでも素っ気なく、それでいてアルカイックスマイルを張り付けた不敵な表情で応じたノワールは、わざとらしく肩を竦める。


「そもそも他の世界へと別の世界の生き物を移すのは世界法では重罪です。あなた方はご存知ないでしょうが、こちらも相応のリスクを負っているのです。なら、そのくらいは私達を楽しませてください」


「そんなもん、てめぇらの都合だろうが!」


「仰る通りです。ですが、もはや議論は無駄。賽は投げられたのです」


「ぐぅッ」


 静かな声音で応じたノワールは、瞬き一つほどの時間で権藤との距離を詰め、その腹部に一撃を加える。


「『異世界サバイヴ』。この世界で暮らすため、生存域まで脱出する命懸けのゲームを、是非お楽しみください」


 反応できないどころか、何が起きたのかも分からない衝撃を受けて膝から崩れ落ちた権藤は、消えゆく意識の中で微笑に彩られた、嘲るようなノワールの言葉を聞いていた。




浅野由紀子あさのゆきこ」 死亡


 女子高生か女子大生らしき女性。


生駒優愛いこまゆあ


 大人びた印象を持つキャリアウーマン風の女性。


ユウナ 「石田優菜いしだゆうな


 顔立ちは整っているが、あまり華のない地味な女性。 能力「火」



ミツキ 「江口美月えぐちみつき


 胸元の大きく開いた妖艶な色香を感じさせる女性。 能力「闇」



オタク 「小田拓也おだたくや


 オタクのような容姿の青年。 能力「爆発」



ハヤテ 「黒島颯くろしまはやて


 迷彩服を着た男。  能力「ステルス」



権藤大河ごんどうたいが」 死亡


 色黒の男。



斎藤朝陽さいとうあさひ」 死亡


 少し派手な印象の男性。



冴山悠さえやまゆう


 冴えない印象の男性。



リョウマ 「桜庭竜馬さくらばりょうま


 顔立ちの整った美男子。高所恐怖症 能力「飛行」



ミモリ 「式原美守しきはらみもり


 少女。能力「治癒」




ヒオ 「鈴木日緒すずきひお


 ギャルのような女性。 能力「ビーコン」



高杉詩帆たかすぎしほ


 明るく人当たりのよさそうな女性。



ハヤト 「橘隼人たちばなはやと


 好青年。 能力「駿足」



タムラ 「田村健吾たむらけんご


 ふくよかな体型の男性。 能力「収納」



塚原敬つかはらけい


 知的な印象を持つ眼鏡の男。 能力「防壁」



ヒマリ 「永瀬日葵ながせひまり


 イヤホンを着けた少女。 能力「危機察知」



七海薫ななみかおる


 平凡な女性。



ヨースケ 「野々村(ののむら)陽介ようすけ


 髪を染めた軽薄な雰囲気の男性。



アヤノ 「氷崎綾乃ひさきあやの


 日本刀を携えた黒髪の美少女。 能力「魔剣」




ハルナ 「美作春奈みまさかはるな


 清楚な印象の女性。 能力「事典」




宮原誠義みやはらせいぎ」 死亡


 中年男。




ヤナギ 「柳克人やなぎかつと」 


 強面の男性。 能力「身体強化」




カナタ 「結城叶多」


 平凡な少年。能力「シンクロ」


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