1月1日:元旦
なんだねその顔は。君がコタツに入っているなとうるさいからコタツは片づけただろう? ……だって寒いんだもの、毛布で包まるくらい人の子ならやったことのない者はいないだろう。君は私を叱るために来たんじゃないだろう? もはやそれが正しいまであるだって? 失礼じゃないかね⁉ 僕はほとんど神といっても差し支えないんだぞ⁉ ……っと話はここまでにしとこうか。今日は1月1日。今回はいつもとは違うところに招待してあげよう。
* * *
「ほら、起きて。リーライム! ラッセム!」
「むにゃ……おはようございますお兄様……」
「あと3時間……」
「長いな! せめて3分であってくれ!」
「ほら、ラッセムお姉様。起きてください」
「リィに起こされたら起きちゃう!」
「ラッセムが初日の出を見たいと言い出したのに……」
日付は1月1日。時刻は朝の5時である。彼らは昨晩、日付が変わるまではしゃいでおりしっかり者のリーライムも眠そうだ。
「というかどこに見に行くつもりなんだ?」
「近くの公園! 綺麗だって誰かが言ってた!」
「適当か……」
「お姉さまのことですから間違いはないと思いますよ?」
「まぁな、それじゃあさっさと着替えてくれ」
『はーい』
3人とも支度を済ませて外に出ると空は既に白みだしていた。吐く息は白く、強い風が吹いているせいで寒さはピークを迎えていた。
「太陽さん早く出てきて!」
「ここだと初日の出見れないだろう……」
「でも、寒いです……‼」
「リィ! 手繋ご!」
「はい! お兄様もです!」
「僕もか? 分かった」
3人は手をつないでラッセムの言う公園を目指して歩き始めた。辺りは静かだと思っていたが公園が近づいてくると人通りが増えてきた。
「ラッセムの言う通り初日の出が有名な場所なんだな……」
「やっぱりお姉さまの情報は正しいんですね!」
「本当になぜかな」
「私が優秀だからだよ!」
「そうか」
「適当に流された!」
日の出が近づいてくるにつれて人もさらに増し3人は公園から弾き出されてしまった。公園に戻ろうとしても人で溢れかえっておりもはや初日の出どころではなさそうだ。
「これは……」
「帰ろう!」
「お姉さま⁉」
「ライブ映像でいいかなって!」
「この飽き性……」
「あはは……お姉さまらしいです」
ラッセムの鶴の一声? に従って家に帰ってライブ映像で初日の出を見てそのまま8時ごろまで寝ることにした。
8時ごろになって1番最初に起きてきたのはリーライムだった。彼女が朝食代わりのお雑煮を用意していると匂いにつられてミレハイルとラッセムが起きてきた。
『いただきまーす!』
「それで、お前たちは実家に帰らなくていいのか?」
「私はいいかな。あまり帰ってもろくなことないだろうし」
「私はお婆さまもお爺さまも病院にいますし、両親は……まぁ……はい」
「そうか、聞いて悪かったな」
「そういう兄上はどうなの?」
「帰ってもいいんだが。帰ると弟たちにお年玉をやることになるからな」
「うわぁけちくさぁ」
「節約と言ってくれ」
「じゃあ私たちにお年玉くれたりしないの?」
「お姉さま……」
「ちゃんと用意してるから安心しろ。……っと、ほらよ」
ミレハイルは近くの棚から手描きで龍の絵が描かれたポチ袋を2つ取り出してそれぞれ手渡す。
「ありがとうございますお兄様」
「あぁ」
「わーい5000円!」
「お前は礼儀というものを知らないのか!」
「あっ……! 兄上、ありがとうございます!」
ラッセムはごまをするように深々と頭を下げる。リーライムはその姿を苦笑しながらポチ袋を見つめていた。
「どうしたリーライム。なにかその袋が変だったか?」
「いえ、辰年になったのだなぁ。と感じていたところです」
「そうだね。ウサギかわいかったんだけどな」
「干支だけで何か変わるか……?」
「わかんない!」
「まぁいい。そろそろ初詣に行くが準備はできているのか?」
「全然! ほら、リィ!」
「え⁉ お姉さま⁉」
ラッセムは一気にお雑煮をかきこみ状況がつかめていないリーライムを引っ張って2回に走っていった。
「本当にラッセムは落ち着きのないやつだ……」
一人取り残されたミレハイルはしばらくの間ゆっくりと雑煮を食べながら適当にテレビを見ていると足音と共に部屋の扉が開く。
「お兄様……変ではないでしょうか?」
リーライムの綺麗な長い銀髪は丁寧に結い上げられ耳元には小さな赤色の花飾りが添えられたいた。そんな銀髪をかき消さないように淡い青色の着物もリーライムによく似合っていた。
「素晴らしい……! 本当に美しい」
「お兄様ほめすぎです……!」
「兄上! 兄上! 私は⁉」
ラッセムのとりえの一つの元気さを体現した金髪の短めの髪はさほど弄られずに白色の花飾りが添えられているだけだったがそれが良さを引き出していた。そして金髪とは対照的な紫色の着物はラッセムとは思えないほどのお淑やかさを醸し出しており上品にすら感じさせた。
「ふむ。いいと思う」
「リィの時と反応違うんだけど⁉」
「私はお姉さまのその衣装とても似合っていると思います!」
「ありがと! やっぱりリィはわかってくれるよね!」
「それよりもお兄様もいつの間にか着替えてたのですね」
「まぁそんな気がしたからな。僕だけただの服装というのもな」
「やっぱりお兄様には和服が似合いますね!」
「この金髪のせいで似合うとは到底思っていないんだがな……リーライムが言うならそうなのだろう」
ミレハイルはラッセムの金髪よりもより明るくより白っぽいため余り和服とは合わなさそうだがそんなことはなかった。彼が選んだ白色の着物は彼の金髪を押し殺すことなくそろって華やかさと力強さを発揮していた。
「それじゃあ早速向かおう!」
「あぁ」
「あっ……せっかく3人ともきれいな姿なんですし、しっかりと挨拶だけしましょう?」
「確かに! やってないじゃん!」
「そうだな、それじゃあ……」
『明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!』
* * *
やぁ、おかえり。言い忘れてたけど今回は彼女達の世界に送らせてもらったよ。どうやら彼女達は完全に爆睡コースに入ってしまったようだ。君もたいがい眠そうだね。私もはっきり言って眠い。というわけだ、今日はさっさと寝て初詣にでも備えるといい。次ね……多分2月3日になるんじゃないかい? しばらく会えなくなるけど泣くんじゃないぞ? そんなことないって、まぁそれもそうか。それじゃあ、あけましておめでとう。今年もよろしく。
明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
2024年も活動頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いします!