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第14話 現代にて

 スライムとのスパーリングを終えたアヤメさんと僕は山の中にポツンとある家に戻ってきた。

「モコ~~~」

「ニャア~ン」


 可愛いモコがお出迎えをしてくれる。

 思わず抱っこしてそのモフモフなお腹に顔を突っ込んでしまう、う~ん良い香りである。


「アキちゃんは本当にモコちゃんが大好きなのね」

「モコは僕の癒しですから」

「……モコの半分で良いから私にも優しさを向けて欲しいわ」


 何を言うのかアヤメさん、普通に僕が何日もの間同じ人に付き合ってスパーリングをする事なんてこれまでの人生で一度も無いことなのである。

 優しさと思いやり溢れる魔法使いを僕は自称する所存である。


「少なくともモコの半分以上の優しさを持って僕はアヤメさんに接してるつもりだよ?」

「こっここまでボロボロになるまで追い込んどいて、良く言えるわね……」


「それも優しさの裏返しって事で」

「裏返ってる!? まっまあいいわ、私今からお風呂に入らせてもらいます」


「はいっお風呂に入った後で良いので買い物に付き合って下さい」

「はぁ~~い」


 何が食べたいのかは本人を連れて行くのが一番手っ取り早い。ちなみに家の掃除は異世界にレベリングしに行く前に済ませている。


 アヤメさんがお風呂に入ってる間、僕はモコと戯れる事にした。



 ◇◇◇◇◇◇



 家から買い物をするスーパーまでは車でグネグネした山道を下りる必要があり片道三十分以上はかかる。面倒くさいのでさっさと魔法で転移する僕とアヤメさんだ。


 しかしバカ正直にスーパーまで転移する訳ではない。そんなことをしたらお茶の間にとんでもないニュースをお届けしてしまう事になる。


 ちゃんと坂の勾配が殆どなくなった、かつ人気のない場所に自転車を隠しているのである。

 転移した先は道路が数メートル程離れた所を通っていて木々で隠されるように立っている掘っ立て小屋である。


 僕の魔法で他の人間には見えないようにしてるので中のものが盗まれる心配もない。そしてその掘っ立て小屋の中には僕が購入した自転車が格納されているのだ。


 後は自転車出して道路まで歩き後はこいでスーパーを目指すのだ。足腰の運動もかねて何でもかんでも魔法で済ませる事は自重する僕だ。


 もちろんアヤメさんの自転車は数日前に調達済みである。運動不足解消を兼ねてランニングでスーパーまでの買い出しを提案したら幽鬼のような絶望的な顔をされたので仕方なく彼女の分の自転車も購入したのである。


 まあサイクリングも運動にはなるのでヨシとしょう、あまり無理をさせるとアヤメさんはヘソを曲げてしまうからね。


 スーパーに到着した。

「必要な物は買って下さい、不必要な物は買いませんよ」

「分かってるわ、そんな変な物は買いませんって」


 以前どっかのコンビニでトレーディングカードを大量に買った実積のあるオタクさんの言葉だ、何一つ信用がおけない。


 家賃や食費、光熱費などを一切考えなくてよくなったとかバカな事を抜かしだして渡したお金を私利私欲の為だけに使い始めるたのだ。


 そんな後先考えない人間だから闇バイトなんぞをさせられるのである。もう少し脇を締めて先々の用心をしてくれないとお世話する僕の身にもなってほしいもんですな。


「あっアニメ『撲滅の棍棒』のウェハース発見!」

「買いませんよ」


 オタクさんは直ぐにアニメに影響される生き物らしい。彼女が棍棒をやたらと気に入った理由が分かった気がした。


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