第13話 アヤメさんはレベルアップ中
「ちぇすとぉーーーっ!」
アレから五日が経った、アヤメさんは順調にレベルアップしていた。今日も気合いが入ってるのか入っていないのか謎な掛け声と共にスライムを退治している。
今なら僕の魔法による援護もなしでスライムを同時に複数体相手にしても余裕を持って対処している。振るわれる棍棒も心なしか手に馴染んでるようであった。
………棍棒振り回す姿に違和感がないと言うのも考えものだ、しかしアヤメさんが棍棒を妙に気に入ってしまって剣とか槍には目を向けてくれないので仕方ないのである。
「ふふふっ今の私なら木の棍棒を卒業して鋼の棍棒を振るえるかも知れないわね、アキちゃんもそう思わない?」
へぇっそうですかい?
「それなら次のスライム達を倒せたら作ってみましょうか? 鋼の棍棒……」
そして僕の案内のままにアヤメさんは移動する。
その結果。
彼女は十体以上のスライムに囲まれて袋叩きにあっていた。
「ちょっこれは無理これは無理! 痛っ! ふごっ! ブホォオッ!?」
元々僕の魔法で感知をするようにしてからはスライムがそれなりにいて、何より多すぎない場所へと移動していたのだ。普通にスライムが集まっている場所に行けばこんなもんである。
まだまだ雑魚キャラなアヤメさんでは十体以上のスライムを同時に相手にする事は無理だ、棍棒を盾にしながらも結構良いのを何発か貰っていた。
アヤメさんは速攻で調子に乗るタイプの人間だ、調子こきまくり空港のファーストクラス常連様である。少し目を離すと何処までも空高くつけ上がるのだ、たまにこうやって伸びた鼻を折る作業が必要になってくるのである。
リアルレベリングに対してはどこまでもスパルタンなぼくである。
ちなみに僕は魔法で空に浮いてボコボコにされるアヤメさんを観察していた。
「アキちゃんズッル! 自分だけ安全な所にいるとかズルいわよ!」
仕方ないじゃないか、魔法使いは紙装甲なのだ。スライム相手でも痛いのはイヤなのである。
取り敢えず話を振られたので答えておこう。
「まあ死にそうになったら教えて下さい、その時は助けますから」
「そっそんなふげっ!」
「たったた助けてアキちゃ~~~ん!」
「……はいはい分かりましたよ」
魔法で土を操作してスライムを絡め取る、動きさえ封じればサンドバッグにされていたアヤメさんが復活しやられた分を力に変えてスライムを棍棒でなぎ倒していった。
「おんどりゃーー! この腐れスライム共がーー!」
しかしアヤメさんのレベリングは確実に成功している、正直今の彼女ならクズ代表の先輩さんとその仲間達を相手にしてもそこまで心配する必要はないと思う。
アヤメさんが最後のスライムを倒した、今日のスパーリングは終了である。