第1話 ネコモフ中に思い出した!
新作です、ネトコンに応募するための少し短めの作品です。読んでくれた人の評価や応援、そしてネトコンの結果次第で続きも書くかも。
現代で魔法を使える様になった男の話です。
「ふぅ~~モコはカワイイなぁ~~」
僕は日頃のストレスを飼い猫のモコをモフモフする事で発散していた。モ~コモコモコ、モ~コモコモコ……んふ~~。
どうして毛がモフってしてる猫ってこんなにも可愛いのだろう、最早天使、モフモフな天使だ。
僕の名前は佐久間明広、今年で四十五歳のアラフォーである。仕事は交通誘導員だ、あの道路で赤い誘導灯とか赤と白の旗を振っている人達である。
仕事は端から見ると立っているだけの楽な仕事だと思われている、と言うか『立ってるだけで金を貰えていいね』とか面と向かって言ってくる人もマジでいるのだ、きっとこちらが何も言ってこないと分かってるから言ってくるんだろうね。
あと昨日の事だ。真夏に向かった現場で高卒らしい十代の若者に『たかが誘導員が!』とキレられてしまった、炎天下の空の下、自分が汗を流しながら働く横で立っている誘導員に思う事があるのは分かるけど、誘導員って基本的に現場の仕事に手を貸すと偉い人に怒られるから手伝うとか出来ないんだよね。
昨日はなんとか事無きを終えたけど、そんな感じでストレスに日々心を打ちのめされてる僕だ。そして今日は休みである、こんな時は可愛い飼い猫のモコに癒されるに限る。
モ~コモコモコ、モ~コモコモコ、モ~コモコモコ、モ~コモコモコ……。
「ニャアァ~~ア~~~」
むっ! なんか今、唐突に僕の頭の中に妙な記憶が……これは。
「これは、前世の記憶か?」
僕は突然、前世の記憶を思い出した。
飼い猫をモフモフしてたら思い出してしまった、なんだそれ。
しかも思い出した記憶によると、僕はどうやらいわゆるファンタジーな感じの世界で魔法使いとしてブイブイ言わせていたらしい。
なんと魔法の使い方までも思い出してしまった、そして現世の自身の身体の中にも魔法を発動するための魔力があるようだ。
これは最早試してみて見るしかないな。
「……ウォーターボール」
初歩の水魔法を唱えてみる。
するとゴルフボールくらいの水の玉が空中に出現した、水の玉はそのままフヨフヨと浮いたままである。間違いなく魔法の力で作られた物だ。
何という事だ。あっさりと使えてしまったよ魔法、しかも思い出した魔法を全て使えるのなら僕はこれからの手遅れ気味なアラフォー人生ですら一気に逆転出来てしまうかも知れない。
いや、多分間違いなく出来る。と言うかしてみるか、これまでストレス多めな人生、少しは楽して生きてみるのもアリかも知れない。
先ずは手始めに……。
「誘導員辞めて……少し若返るとしょうかな」
若返りの魔法も普通に使えると思うんだよね、物は試しである。
◇◇◇◇◇◇
そして一ヶ月後、僕は日本の九州の田舎の山の中の一軒家を買った。集落からも離れたポツンとな一軒家である、かなり安く買えたので中身は結構リフォームしてある。
前世の記憶と魔法を取り戻してからまず僕はある程度の現金収入を得るためにロ~トシックスみたいなのから競馬やボードなど比較的直ぐに当てれば現金を得られるギャンブルでお金を用意した。
………しかし、あのボートの機械から札束がボッと出て来る瞬間は最高だった、あの快感を味わう為に本物のギャンブラーになってしまいそうになったよ。何とか留まったけどね。
魔法である程度なら未来とかも見られるのでギャンブルで儲ける事は簡単だ、しかしこれを続けるのは色々と目立つ。
そこである程度の頭金が出来たので少し勉強をして株取引や仮想通貨を始めた、これらも未来を確認しながらなので失敗はないし、いつ頃が売り時なのかも直ぐに分かるので本当に魔法は便利だ。
下手に大きく稼ぐ事はしないで、ある程度の貯金を増やしながらもそれなりに良い生活を出来る基盤を整えていったのだ。
我が家には一人でも問題なく管理出来る程度の少しの庭がある、そこでプランターを使って野菜とか育てている。魔法での若返りも成功して今はアラフォーから二十歳の青年だ。
まさに理想のスローライフである、ちょっと刺激は足りないかも知れないが実はそこにもどうにか出来る当てあるのだ。
「ニャア~~~ン」
「分かってるよ、ご飯を用意するからね」
モコが自由に外を歩き回れるようにこの一軒家を買った……と言うかこの山を一つ丸々買ったんだ。
誰もいなくなった集落もあるがそちらは現在手付かずだ、これからどうするかは現在考え中である。
時刻は昼過ぎ、リビングルームにてモコにご飯をあげて僕は目玉焼きやソーセージとインスタントの味噌汁とご飯を食べた。毎日三食食べるのは生活のリズムを作るためにとても大事だ。
そしてこれから少し運動をと考えていた時である。
ガッシャーンっと言うガラスの割れる音が家の中に響く、えっ何々なんなの?
更にリビングルームへの扉をガチャンと開けて二人組みの男が入ってきた、顔は黒い布で隠れていて分からない。目と鼻と口の部分に穴が空いていた、どこからどう見ても強盗である。
「かっ金を出せや!」
「騒げば殺すぞ!」
え~、のんびりした時間はどこへ行ったの?