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4.最恐と呼ばれた女帝

1年放置((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル

私は神に仕える者、それ以下でもそれ以上でもない。



祭壇に揺らめく燭台のきらめきはこの北の最果てとよばれる「モンデルタ」らしからぬ色ではあった。

敬虔なカトリックのベロニカは長い長い祈りを捧げ瞼をゆっくりと開くと遠くから楽し気な道女達の鼻歌交じりの声が聞こえてくる、ふと立ち上がり緩慢な動きで曇り一つも無いガラス窓に手をついた。

この島ではあまり見られない様な晴天が今日は珍しく眼下に拡がっていた。




「ちょっとぉ~ステラ!!シーツキチンと広げてよっ!!」

「えぇ?それ侍女の仕事でしょうが?あたしやらないわよっ!!」

「元王女のステラちゃんはシワシワのシーツで今日寝なきゃいけなくなるけどいいの?ンフッ」

「アリス~そこの肌着私のよ?アナタいつも間違えて着てるでしょ?」

「は?・・・・・・違うわよ!リリアンヌがいつも私のを着てるの間違いでしょ?!」

「もぉ~やだ~あたし帰りたぁい~」

「「「「「帰ればいいじゃない?!」」」」

すこぶる同族による同族達の同族会話に誰が誰なのか最早区別出来難くなってきている。



「懐かしいわね、アニー見てごらんなさい。」

シスターベロニカは凶悪な笑みを口元に浮かべ後ろで机をせっせと磨く妹へ声を掛ける。

「懲りないわね、あの子達・・・まだ希望を捨ててないのね」

「姉さん?何か言いまして?」

おもむろにアニーは顏を上げた。

「いい天気ね、と言ったのよ」ベロニカはひとりごちた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




かつて不毛の大地とよばれた北の国には「リンデン」と呼ばれた小国があった。

民はいつも飢えに晒され食糧難に喘いでいた、リンデン王と呼ばれる者が居たが食料が育たない北の厳しい地にいつも南の肥沃な土地を欲していた。

そんな折に西から食糧難に苦しむ小国に救いの手が現れた「ベロニカ」という国だった。

リンデン王は世界恐慌と呼ばれるレベルの食糧難と猛威を振るう感染病の脅威に1も2もなく和平友好の条約を結んだ。

リンデン国にとっては有利であり、またとないチャンスであった、「ベロニカ」側が不利に思われていたその小国「リンデン」の豪雪の下に純度の高い石炭やガスが眠っているのを女王「ベロニカ」は知っていた。

西の技術を以てして生産流通に成功させ、西の有利な条件でその権利を得たのである。


最西端に拡がる海は漁業で潤い西から流れる風は乾いて暖かく豊穣を約束された土地には稲がたわわに育っていたリンデン王が喉から手が出るくらいに望んだ国がそこにあった。


「ベロニカ陛下、貴女の御心に謝意を込めて私は生涯友好国を貫きましょう。」

「リンデン王、こちらとしても願ってもいない事、それでは友好の証として我が妹アニエス王女を下賜致しましょう。」


政略結婚ではあったが誠実なリンデン王はアニエス王女を賜り仲睦まじい日々を過ごしていた。

しかし西の海から大海賊と呼ばれた者たちが西を跋扈し西の国を荒らし始める様になり小国も巻き込まれて行く事になった。





「ベロニカを出せ!!・・・ベロニカの首だ!」

山の様な大男が断頭台で叫んだ、海賊たちは陸に上がり山賊になり馬賊となり果てて西の国を荒廃させて行った国民は南や東へと難民としてほぼ逃げて仰せて行き、残された僅かな貴族たちは海賊に降伏したり抵抗をして山深くに逃げたりした。

西国王であるベロニカは静かに一人断頭台に姿を見せた。

「私は此処に居る、族に背を向けたりなどしない。」

「威勢が良い事だなぁ~!!この国は俺たちのだ!!王族なぞ糞喰らえだぁ!ガハハハハ!!!」



どうやっても西国が終わるのを知っていた。



でも、どうせなら滅茶苦茶にして跡形もなく消し炭にしてやろうと思っていた。

「いいえ!この国はお前の国にはならない!だってお前の首を持って地獄に逝くんですもの!光栄に思いなさい!ほ~ほっほっほ!」


ベロニカは盛大に笑い静かに手を上げた。




その日、矢の様な光が北から飛来した、幾千もの光の矢は美しくまるで虹の橋が弧を描き星の雨の様であったと東の国の者が語った。

「ベロニカ国」は海賊達と共に地図から消滅したのである。



黒●話受話器様とは一切関係ございません。

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