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3.本当は凄いんです、違う意味で・・・。

うぁぁぁ何回も投稿失敗してますし遅い寄稿でした。

丁寧な説明を理解できない私の脳味噌が悪いんです、ええそうです。

アニーは今日も粛々と教会の奥、掛け十字を丁寧に磨いてゆく。

燭台や祭壇には塵一つ無く目を皿にしてウエスを右手に神経質な程キュッキュと拭き取る仕草は姉である敬虔なカトリックのベロニカ譲りで、死角などあろう筈もない。




「そうよっ!あの時もうちょっとであたしが女王陛下になる所だったものを!!アナスタシアに成り代られたのよっ!畜生っ!!あの侍女のソフィがあたしの部屋に隠してあった薬さえ見つけなければバレなかったものを!!悔しいっ!悔しいわっ!」

自称男爵令嬢が王女のステラは声高に言った。


「あ〜ンン・・・脇が甘いわねぇ?ステラ・・・それは自分の部屋に置いちゃダメよ!!アナスタシアの部屋の枕の中に入れておかなきゃ、自作自演を作り上げる説得力に欠けるわ…ねぇ?フフ」


常に一物を腹に持ちながら自分を深層の令嬢として装い第一王子を骨抜きにした経歴を持つエイミーは王太子妃が黒幕に盾として色々と暗躍させて貰い女傑道を貫いた者として軽く助言する。


「まぁっ!!そうよ!!あたしの甘さがこの結果だったのよっ!アナスタシアの自作自演であると仕向けるのが最善の策だったのに!!あぁぁぁエイミー貴女すごいわっ!!」

わなわなと震えながらステラ元王女はエイミーから過去の敗因と服毒の処理の手解きを教授し感銘を受けている。


修道女らしからぬ会話に、もう混沌とした礼拝堂に神聖さも何もあった物で無い。

(そんな事に感銘してどうするの戦慄が鎧を着て走るわ!断頭台に行かずに済んだ温情に感謝しなさいよ!神よ、願わくばこの島のピンクブロンドらに天罰を与え給え。)

もうこの北の果てに装置されている自体が罰なのだろうが、バイタリティ溢れる彼女達はもともと逞しく強かで順応性が高い上に諦めが悪いのだ、ベロニカの仕事に遵守して着いてきたアニーは根からの純真培養とも言える。


「ねぇ?アリスがまだ抵抗して懺悔部屋に籠城してるけどぉ何日持つと思う~?」


「さぁ、3日ってトコじゃないかしら?よくもあ~んな薄暗い蜘蛛が居る小汚い部屋にいるなんて私なんて半日も持ちませんでしたわよ?」


リリアンヌとローズは頑なに修道服を着用拒否し態度を硬化させて引きこもる彼女の状況を愉しんでいる実に不届き者である。


「・・・あなた達も意地はってたでしょうに?!それに懺悔室には塵もないし蜘蛛の巣一つないからね失礼な!ちゃんと綺麗に掃除してますよ?!」


「まぁ、流石は敬虔なるクリスチャンですわよね~アニー?フフッ」


「エイミーは今日懺悔室の当番だったでしょう?!ちゃんとしましたの!?」


「ステラ姫ちゃんと服毒の講義しながらやってたんじゃな~い?ねぇ?知らないけどぉ」


「あははっ、よく知らないなら無責任な発言しないでよねローズ。」


「1日くらい掃除なんてしなくとも死にはしなくってよ?ねぇ?みなさん?」


「・・・誰もしていないという事ね!もう全く!!」

不毛な会話を繰り広げている間に教会の扉がけたたましい音をドーンと立てて開く。



「あぁ!!アレクシス様ぁっ!!わたしはここにいます!アレクシス様ぁぁ~早く迎えに・・・早く迎えに来てぇ・・・神様!わたしいい子にしますから~ヒックヒック。」


祭壇にある聖母マリア像にすがりついて目を潤ませながら足元をよろめかせると其処にだけスポットライトが付いてるかの様な気がする。(あくまで気がするだけだが。)


「開けた扉くらい閉めなさいな埃が舞うわ、はしたなくってよ!?」


「やだーぁ埃くさぁい小芝居なら向こうでやってよ~!」


「あら?お義姉様を罠にハメて婚約者を略奪しようと企んだリリアンヌ2号じゃないの~完全一致だけどちょっと悲劇ぶりが板に付きすぎねンフフフ。」

誰一人まともに礼拝堂の清掃に精を出さない事に痺れを切らしたアニーは徐々に野菜人と呼ばれた狂戦士になりつつハタキ棒がミシリと音を立てた。


「マリア様から離れなさい!壊れたらどうするのです!全く!」

指紋を付けまいと目にも留まらぬ早さで拭き上げたプロの技が今日も熱い。

(嘘泣きしてる時点であんたはいい子かどうか怪しいわよ!アンジェリカ)


「だいたいねぇ~!アレクシス様だかぁランドロス様だかボルトロスか知らないけどぉ・・・あんたが思う程お義姉様は楽でも苦労無しでもないわよ~?アンジェリカちゃん」


「ヒック!何でそんな事いわれなきゃなんないの!?」


「きゃは、楽な方を選んで遊んでばっかで勉強をしてこなかったからの結果でしょ?それって自分だけが大好きで自分に気持ち良い事しかしてないじゃない。」


「それの何がいけないのっ?!お義姉様は根暗だし机に齧り付く虫みたいでいつもアレクシス様は溜息ばかりでつまらなそうだったわ!」


「いけないなんて言ってないわよぅ~?自分の為だけの自分だけに優しい自分だけの世界があれば他はどうでも良いって結果がこれってだけなのよね~?」

断罪をほのめかして親指で首を斬る仕草をした後ヒラヒラとローズは黒のチュニックワンピースを広げ舞った。


「ローズ容赦ないわねぇ~・・・まぁ唆されてだらしないアレクシス様も断罪対象でしょうよ」


「リリアンヌ!次は本当のギャン泣きされるから止めなさいて!」


「ンフッ、いいじゃないの此処のみんな全員似たり寄ったりの断罪されちゃった!てへぺろ令嬢ばかりで良いじゃない・・・ブファ!」


「「「「一緒にしないでっ!!!」」」」



満場一致である。




ローズは庶子である自分の地位を確立させる為に健気な義妹を演じ周囲の者達を味方にし、義姉から虐げられているかの様に工作し着実にネガキャンを成功させて義姉の婚約者を手中に収めたにも関わらず宰相の息子とも一線を越えた仲になってしまい最終的には皇子殿下からの処罰を受け島流しに合った豪傑である。(因みにその義姉は皇子殿下と結ばれる。)


「詐欺師にして豪傑!国一つくらい動かしてるくらい凄い道女達しかいないこの島!違う意味で凄くない?!きゃはは!てかボルトロスは霊獣様だよね?!」

もっと力の注ぎ方を変えていれば帝国作れるんじゃないかとアニーは思った。


「この島にはお爺さん、お婆さんしかいないのは僥倖でしたね!!権力欲しかない修道女なんて生臭いにも程がございます!」

ただ楽がしたい、贅沢がしたい、遊びたい、モテたい、イケメン侍らせたい等の衝動に突き詰めて行って国政に近づくピンクブロンド達には違う意味で尊敬の念を抱く。

己が欲望に正直過ぎて、ましてや転生者なんてワード持ってたら復活というチートを使うかも知れないのだから。


世間知らずなアニーは誓った「ピンクブロンドには気をつけろ!」





ガクブル。。。_| ̄|○

蛇足・・・ローズはこの北国の出身者である、義姉は皇子とは幼い頃からの縁があったが、ローズは庶子であったので学園で義姉の婚約者や皇子と出会っている設定。

蛇足2・・・エイミーは北国出身ではなく、かなり遠方の他国出身で慣れない北の果てへ流れてきた割に中々に流暢に会話出来たというまさに豪傑。

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