2.新参令嬢達は孤島で定型文を叫ぶ。
初心者でスミマセン投稿これであってるのかビクビクしてます。
食堂は阿鼻叫喚を極めていた。
「何故あたしが修道女なんかっ!!こんな地味なワンピース絶対にきないわっ!馬鹿にしないでっ!」
「ンフッ、いいじゃない?ステラ元王女様?それとも猫被りがみんなバレて本来の庶民に降格したステラで合ってるかしら?」
「なっ!!何ですってぇ!お前っ、シシアナ国の王族のあたしによくもっ!!」
ギリリとチュニックの裾を掴み、みるみるうちに顏が真っ赤になるステラは今にもエイミーに掴み掛かる勢いだけれど口の端を歪めて笑うエイミーはこんな修羅場をくぐってきた余裕を感じさせる。
「エイミーは煽るのやっぱ上手よねぇ~でもその笑いはキモイからやめてくんなぁい?」
「同族嫌悪って感じかしら、まぁ此処に長い分エイミーが1枚上手よね」
リリアンヌとローズは今回も分析を怠らない、「修道院送りに晒された負け犬令嬢達」の姿を冷静に振り返り如何に自分達は該当していないかをその醜悪な態度の中から見受け、つまり他人事として受け止めたい訳である。
(みな同じ穴の貉なのですけど・・・。)
頭痛の種が増える事に何ら変わりなくアニーは食堂が徐々にヒートアップし温度が上がってゆくのを肌で感じながらキャットファイトにならない様に新旧の修道女達の間にさり気なく割って入る。
「はいはい、これからは皆家族であり偉大なる父の子達としてこの修道院で己を研鑽するのですよ?」若い子達からの熱気には諦念と溜息でいなすのがアニーのやり口だ。
「嫌ぁっ!ここ汚い!気持ち悪い!!虫がいるからっ!近寄らないで!やだぁお義父様にいいつけてこんな島つぶしてやるんだからぁぁ!!」
「あら、本当?!是非頑張って頂戴な!?私が干し芋ババ・・・ゲフンゲフンっ!シスターベロニカとの初対面にはモンデルタを爆破させますわ!くらい発言しましてよ?なかなかしぶといババ・・・否、強い修道院ですけれどね?!ホホホ!」
「リリアンヌ、自慢げに言うなし!それに粗悪なのはあんたもだからね!やり直しどころかもう1回生まれ直しして来てもいいくらいだよぉ?!」
「粗悪の権現様に言われたくはないわよ!ローズ!!」
口達者のリリアンヌは島民のウエット爺さんを使って身の回りをさせていた前科がある。
新旧入り乱れての鍔迫り合いが勃発しだす。
「酷い・・・ヒックヒック・・・ふぇぇぇぇ・・・何でよ~わたしばっかりこんな目に合うの?酷い、狡い、お義姉様ばかり・・・みんなに・・・大事にされてぇ・・・わたしだけこんな地獄に堕とされて・・・アレクシス様に会いたいよ~。」髪を左右に振り乱し最終的にピンク頭達は泣き出す迄がデフォだ。
「わぁ・・・リリアンヌ2号がいる!きゃははお姉ちゃまにちゃんと毒盛ったぁ?」
「素敵!あてくし悲劇のヒロインよね、フ・・・フフッ素敵だわ!」
「何よ!何よ!みんなしてぇ~わたしを馬鹿にして!!そんなに貴族が偉いの!?庶民のわたしが全部悪いの!?」
「ややこしい奴らばっかね~腹満杯だわ!てかアレクシス様って誰なのぉ?!」
もう収集がつかない、ゴミ処理センターに問い合わせたいとアニーは思った。
「さぁ今から食事にしますよ!皆さん朝のお祈りは致しましたね?」
ベロニカは阿鼻叫喚のこの修羅場をゴリ押しで幕を引き長椅子に無理くりで全員を座らせる。
暴挙に出たともいえるが眉間の縦皺がクッキリと深く1本入っているのが肉眼で良く見えた為、ピンク修道女達はカトラリーを挟めそうなそのご尊顔に震えた。
「北の修道院は誰も何をも干渉は出来ない、偉大なる父の膝元ですよ?」
「そして貴女方を静かに見ています。」
有無を言わせないベロニカの圧力に早朝から船でやって来た令嬢達は不服そうな顏を隠しもしないが渋々周りを見回して向かい側に空いた長椅子にそれぞれ座った。
言いたい事の半分も言えずに消化不良らしいがベロニカの顔がとある額に傷のある某有名魔法使いの最大最恐の強敵の魔法使いみたいな顔になっているのが怖くなった。
(まあ、泣き喚いても今の状況を覆せないと判断したものから大人しくなってゆくでしょうね。)
「きゃは、この世にある絶対の力なんて金と権力持った男よねぇ?!リリアンヌ」
「そうね貴族社会ってそれしかないわよねぇ・・・あぁ男のあっちの方もがっ・・・?」
「リリアンヌ!!」
公爵令嬢の姉の婚約者をまんまと寝取り男を口八丁で動かしたリリアンヌの下卑た話をアニーはいつも手で塞ぐのが最近の日課となりつつある。
リリアンヌはアニーの行動を面白がりわざと話をしているきらいがある。
此処のピンクブロンド道女達は「蠱惑的で庇護欲を搔き立てる産まれたての小鹿みたいな令嬢達」ばかりで、一発逆断罪かました「悪役令嬢達」はさぞ心労を募らせた事であろうとは思う。
けれど其処に至るまで放置した世界観は緩すぎないかとも思う腫物に触る様に面倒くさいこの令嬢達を厄介払いしたいのは理解できるがどこかでそのシワ寄せは来るのだ。
あざと可愛いのを装い、隙あらばロビー活動に専念する自分の地位を獲得する事に賭けては天才的嗅覚を持つ承認欲求の塊り達は北の修道院で溢れかえっているのだ。
「何でもかんでも修道院送りすればいいってもんでもないでしょうが!」
過去作にどれくらいのピンクブロンド令嬢様方が修道院にお入りなさったんでしょうね?
3000万人くらいですかね?流行に乗らないと!このビッグウェーブに!!