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1.やたら修道院に送ってくるのを止めましょう。

初心者のズブの素人が今まで考えていた事を呟いただけですスミマセン。

連載と言ってもすぐに終わる短い話になるかと思いますが、笑って頂けたら幸いです。

「ちょっと!いい加減にして!流石に神聖な神様だって3段飛びで逃げだすわ!」


 こんな愚痴を吐いたとしても誰も咎める事は無い。

何故なら此処は厳正なる監獄と呼ばれても良いくらいの孤島

「北の果てのモンデルタ」


現在モンデルタ島には僅か数名しか島民がおらず、この孤島を管理しているのはひからびた干し芋の様なシスターでいつも額には縦に1本深い皺が入っている。

名は「シスター・ベロニカ」御年60歳。

彼女の日課は小さな島の中央にある修道院で毎朝神に祈りを捧げる所から始まる。


そして重要な役割として必ず毎週末にこの島に唯一の船がやって来る、観光船の様な煌びやかな物とはかけ離れた寂れた今にも崩れそうな小舟が一艘…それをベロニカは迎えに船着き場まで足を運ぶのだ。



「今日は本土との船が来る頃だからまた運ばれてくるわよきっと!

今回はどんな・・・キャッ!フフフ…ブフィ!」

「毎週毎週飽きもせず干し芋ババ…んんっ、シスターベロニカもよくやるわよね~。」

「やだーぁ困るぅこの島はぁダッサいのに余計にダッサいのが来るのぉ?…てか、きゃはは!エイミー変な笑い方やめてよ~。」

くるぶしまで丈が拡がる黒いトゥニカに裾が広がった黒と白のケープを被った修道女達がくすんだ灰色の土壁に覆われた部屋の一角でまことしやかに囁きあっている。

「ちょっと!またあなた達はサボってばかりで!いい加減にしなさいっ!」

ベロニカの次に年嵩のあるアニーからの叱責を受ける。



「何よぅ~朝のミサは終わったでしょ?ちょっとくらいいいじゃないのよぉ~!」

甘えた声で首を傾けながら下から除き込む癖が抜けずいつも目を潤ませたローズはハムスターのように頬を膨らませて抗議している。

かつては鳴り物入りで新興貴族として名を世に轟かせたアナハイム男爵家の養女であったが全く貴族としての矜持が身にはついていない顏芸をする。



「わたしに媚びても何も出ませんよローズ?さっさと朝食の用意手伝わないなら要らないとみなしますからね?」

「あら?それは困るわ、あたしのつやつやお肌には食事は欠かさないからね!ンフッ」エイミーと呼ばれる修道女は何かを今迄企んで来たのか笑みが常に半笑いでいちいち口の端が歪む。

常に由緒正しきスワローテイルズ伯爵家の次女として生まれ、義姉や義兄達と渡り歩きいつも政争にて暗躍していたが詰めの甘さが嵩じて敗走を余儀なくされた過去はあっさりと捨てているらしい。



「隙あらば手を抜くのだからあなた達は!この島にはあなた達しかいないのよ?!」


「あらぁ良く分かってるじゃないの流石に干し芋の…んんっ、シスターベロニカの妹ねぇ。」


貴族然として鷹揚に上からの物言いが抜けず鼻の穴が見えるくらいのけ反ってベロニカの妹・・・

朝食の支度をするシスター・アニーを睨めつけ口悪く大きな態度を見せつけるのは今「時の貴公子」と謳われたシュバルツェケーマン公爵家の元娘リリアンヌ。

かつては東国の第2皇子と縁組をし侯爵夫人として幸せを独占予定の飛ぶ鳥を落とす勢いであったが姉から毒殺されそうになったと自作自演したが義弟にバレ全部はく奪されたのを自慢げに話すのが日課である。


「あなた達、この孤島に訪れた意味をちゃんと分かってらっしゃる?!」


ふっ、と溜息を短く吐いて2オクターブ程下がった声がアニーの口から出た。

抱えている木の椀がギシリと軋み両目にはギラリと強い光が宿る。

どこかの金髪になる超人のように強いオーラを纏ってる気がする(あくまで気がするだけだが)


「ここは北の最果ての修道院!!極悪非道の囚人さえ泣きを入れるという

【モンデルタ!!】生きて帰れる筈もなく誰も助けに来ないと言う!地獄の1丁目よ!!お分かり?!」

これが最後通牒として修道女見習いの小娘たちを黙らせるアニーお決まりの言葉である。


ちりめん問屋の爺さんが印籠を見せて毎回このセリフを言えば泣く子も黙り悪人もひれ伏すレベルと同様同等同類項!(ちょっと韻を踏んでみた)


【北の修道院「モンデルタ」】そんな修道院の朝が姦しく始まるのである。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「まぁ、今日は静かな食堂だこと・・・いつもこの様なら私の頭痛も慢性にならずに済むのだけれどね」

神経質そうな薄い唇が弧を描く、目元は笑っているが瞳の奥は固い氷の様な色の光が射す。

シスター・ベロニカが足音をゾロゾロ引き連れて船着き場から修道院へと戻って来た。


「さぁ、お入りなさい!今日からは私達は家族であり同じ神の子らであり敬虔なる主に使える者達として生きるのですから。」

と後ろに控えていた者達を影から姿を現せる様そっとベロニカは横に体をスライドさせた。



「やだ!こんな寂れた所!あたしは王女なのよ!皆に愛された王女様なのよっ?!」

「ちょっと触らないでよ!臭いのが移るでしょっ!私を誰だと思ってんのっ!!」

「わたしは悪くないもん!悪いのはお姉様だもん!だまされたのよ酷いわ!」


ヒヨドリと雲雀が一斉に囀るかの如く甲高い声で口から罵詈雑言が飛び出す。

最後の子に至っては自己紹介でもない(ピーチクパーチク)



「ワァオ~今回もアレな子達ばかりで安心したわ、この修道院当たりばっか引いてんねぇきゃは!」

「ローズ、自分も含まれてる事を忘れてないでしょうね?その軽そうなお味噌では無理かしら?」

「そう言うリリアンヌだって来た時は金属音出しながら髪振り乱してたわよね!ンフッ」


どいつもこいつもヘヴィメタみたいなヘッドバンキングして叫び自己肯定がどんだけなのかと思うくらい自己愛につつまれている人しかいないこの孤島。

違わずに全員ピンクブロンドの髪でふわふわの「自称聖女様」に小悪魔系を売りにした「自称義妹令嬢」第6皇子と騎士団長の息子を手玉にした「自称蠱惑的二股令嬢」や学園で逆ハーを繰り広げ最終的に逆断罪された「自称男爵令嬢」の塊り達が錚々たる面々で名はステラ、アリス、ジュリア、アンジェリカ、etc・・・。

(毎度毎度同じ様な者を送ってくるこの世界の住人達は修道院をピンク髪ホイホイとでも思っているのだろうか、いや修道院を潰す気満々だ)

溜息しか出てこないアニーはちらりとベロニカを一瞥し誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。


「ホント偉大なる創造主様だって3段跳びしながら逃げ出すわ」





ゆっくり投稿させて頂けたらなぁと思っております。

宜しくお願い致します。

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