開幕
わたしたち、歯車の一族は、代々、巫女としての役目を背負っている。
生まれたものは、みな、何かしらの力を持っており、そのときが来るのを、ひたすら待ち、互いに力を磨き上げるのだ。
すべては、世界を繋ぐ、歯車となるために。
その前に、歯車とは何か、説明しておく必要があるだろう。
世界の中心に、大きな機械仕掛けの時計台がある。ここは世界の中心とも呼ばれ、そこにある大きな時計が、この世界を守る『結界』の役割を果たしている。
それを守るのが、わたしたち、巫女である、歯車の一族だ。
不思議なことに、わたしたち歯車の一族は、代々、女系の一族である。先代から、今まで、なぜか、女性しか生まれてこないのだ。
だから、自然と、その役目を担うのが、巫女になってしまう。
べつに、それが、いいことか、悪いことかは、わからないが。そういった、呪術的な、何かしらの呪いを受けているのではないかと、わたしは、密かに考えている。
このことは、わたしの姉――姉様には黙っておいてほしい。あとで怒られてしまうのが、わたしだからだ。
話を戻そう。
ここでは、巫女の力のほかに、魔力と呼ばれるものが存在している。火を操り、神風を起こし、雨を降らせ、大地に雷を轟かす。神にも似た、その御業のとこを、人は『魔術』、または、『陰陽術』と呼んでいる。
人は、この四つのどれかを、体内に宿し、自らの力として、刺激することができる。
だから、人は、神からの恵みに、感謝の心を忘れてはならない。神は常に、わたしたちと、共にあるからだ。
ここまで読んでくれたあなたに感謝します。