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第84話 最善の逃走と最悪の闘争

今回・・・実はだいぶ長くなってしまって2つに分けようかと考えていました。

しかし、この話を2週に分ける意味がないと思ったので1つにまとめました。

まぁ、明後日は『バリアント』1周年という事なので記念?・・・そんな感じです。

「・・・あれ?ここどこだっけ?」


気がつくと私は真っ黒い世界に立っていた。


何にも見えない闇の世界・・・


「でも・・・あれ?ここ見覚えあるな?どこだっけ?いつだっけ?」


デジャブ?的な何かが頭によぎる・・・


『・・・イ・・・メ・・・イ・・・メイ』


うん?誰が私を呼んでいる・・・


『メイお姉ちゃん・・・メイお姉ちゃん・・・』


この声は・・・思い出した・・・ルーの声だ・・・それに・・・


『メイ・・・メイ・・・メイ・・・』


ベラ姉さんの声もする・・・私を静かに呼んでいる・・・


私は声をする後ろに視線をやると、見知った2人が近付いて来ているのが見えた。


「ベラ姉さん、ルー・・・どうしたの?私に用があるの?2人とも・・・」


私はゆっくりとベラ姉さん達に近づいた・・・


『メイ・・・メイ・・・メイ!・・・メイ!!・・・メイ!!!』


段々と私を呼ぶ声が大きくなっていく・・・


その時・・・私が2人に触れようとしたその時・・・ある違和感が身体中から感じ取った。


この2人・・・本当にベラ姉さんとルー・・・?


『『メイ!!!メイ!!!メイ!!!メイ!!!』』


私の思考とは裏腹に私を絶え間なく呼ぶ2人・・・


そう呼びながら2人の身体が蠢き出した。


グニャグニャとグチャグチャと音を立てながら蠢き出した・・・


なんでだろ・・・どうしてだろ・・・身体が動かない・・・


『メイ!!!メイ!!!メ─────』


次の瞬間、壊れたカセットテープのように呼んでいた2人の声がぴたりと止んだ・・・


そして─────







































『『ミタナァァァァァァァ!!!』』


──────


────


──


カッ・・・カッ・・・カッ・・・


「ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・夢・・・時間は・・・5時・・・か」


そうだ・・・そうだ・・・2人は・・・2人はもう・・・


いや、悲観するな!絶望するな!哀しむな!


それら全ては後でも出来る・・・


私達は異形者に飼われている、言わば家畜みたいなモノ・・・


奴等の気まぐれで生かされているだけに過ぎない存在・・・


今・・・今できる事を最優先で考えるんだ!


死なない為に・・・生き残る為に・・・全員で逃げる為に・・・


──────


────


──


6時


キーン・・・コーン・・・カーン・・・コーン


キーン・・・コーン・・・カーン・・・コーン


「ふぅ〜・・・起きて!!!朝だよ!!ご飯だよ!!!朝ごはんだよーーー!!!朝朝朝朝朝ご飯だよ!!!」


私はチャイムと同時に目を覚まし、皆んなを起こす。


「おはよー、メイ姉さん」


「おはよー、メイ姉ちゃん、今日も元気だね」


「「「「おはよーメイ!」」」」


「おはよー、皆んな!じゃあ、歯磨きと顔洗ってご飯食べよう!」


顔に出しちゃいけない・・・私が不安な顔したらみんなが不審がる・・・


いつもと・・・今までと変わらない様にしなきゃ・・・


「おはよう、メイ!」


「はよ、メイ!」


「ナイ、スミヤ・・・おはよう!」


2人も多分同じ事を考えている様だ、昨日までと変わらない挨拶。


まるで・・・まるで昨日の出来事が嘘の様な感覚だ。


しかし、ナイの次の質問でそれが現実であると再実感させられる。


「どう?昨日は色々あったけど・・・寝れた?」


「あ・・・うん・・・まぁ・・・少し早く起きちゃった・・・」


「そうか・・・まぁ、俺たちも・・・だ」


「うん、そうだ・・・ね」


ナイとスミヤも昨日はあまり寝付けなかったみたいだ。


異形者に飼われている事。


G・ティーチャーも異形者である事。


ベラ姉さんとルーは殺された事。


昨日の夜に大量の情報が否応なく示された訳だ・・・


幾らナイとスミヤも動揺するに決まっている。


「で、ナイ、メイ話がある・・・今、G・ティーチャーは朝ごはんの準備で忙しい。奥の部屋に行くぞ」


「話って・・・例のことかい?」


話・・・多分昨日、G・ティーチャーが言った勝負の話か・・・


「でも手伝いは・・・」


「んなもん、違う奴らに任しとけ。行くぞ」


スミヤとはそう言ってスミヤとナイの寝室に私達を招いた。


「安心しろ、昨夜帰った後、監視カメラが無いか厳重にチェックした。恐らくここには無い・・・と思う」


スミヤが確信を持てないのは昨日のナイが騙されたことが原因だろう。


「さて、どうする?」


「どうするって言われたってね、まだどんな勝負か分かんない以上対策の立てようも無いよ」


「うんうん、私もまだ分かんない」


私とナイがそう言うと、スミヤは『何言ってんだ、お前らは』みたいな顔をしてきた。


「馬鹿か?お前ら。誰が勝負の話なんざすると言ったよ。俺が言いてぇのは『いつ逃げるか?』だ!もう勝負は始まってんだ!今か?昼か?夜か?俺は昼が狙い目だと思っているが・・・」


「ちょっちょっちょっ!?ちょっと待ってよ!?今?昼?夜?逃げる?意味わかんないんだけど!?勝負の話なんじゃないの!?」


「あ?もしかしてメイ・・・お前本気でG・ティーチャーとの勝負を受けようとか考えてたのか?冗談だろ?」


えっ?どう言うこと?冗談?


「ナイ、お前は気付いているだろ?確実に成功する逃走のゴールデンタイムの事を・・・さっきは惚けた顔しやがって」


逃走の・・・ゴールデンタイム?


「ハァ〜、お前がここまで馬鹿だったとはな。昨日は『勝って自由を手に入れる』とか言ったが嘘だよ。目の前の確実な方法を捨てて誰があんな無理ゲーに挑むかよ、」


「確実な方法?」


「考えてもみろよ。何故G・ティーチャーは俺達に1週間という時間をくれた?おかしくねーか?俺達に力を蓄えろと言ってるようなもんじゃねーか。これは罠だ」


確かに!?おかしい!あの時は気が付かなかったけど、わざわざG・ティーチャーが私達に有利になる条件を提示するなんて裏があるに決まってる。


いったいどんな裏が・・・


「あっ!?」


「ようやく気が付いたか・・・G・ティーチャーが何故俺達に1週間という時間を与えたのか・・・それは────」















































「増援・・・」


「そうだ!一見G・ティーチャーは俺達が有利になる条件を提示している様に見せた。しかし、G・ティーチャーの狙いはそこなんだよ。本当は自分達が有利になる様に手札を集めてるのによ。言っただろ、勝負は既に始まってんだ、昨日の夜から」


勝負は既に始まっている・・・


私達の視線を騙す為の罠・・・


す・・・す・・・す・・・








































「凄い!本当に凄いよ!スミヤ!ナイ!」


「「へ?」」


「私そんな事を考えもしなかった!G・ティーチャーの裏なんて考えたことも無かったよ!本当に凄いよ!」


凄い・・・本当に凄い・・・いや、なんか同じ言葉しか言ってないけど、本当に凄い!


「あ・・・うん・・・で、続きいいか?」


「うん!」


「まぁ、言うなら今は不利な状況な訳だ・・・策を考えてる内に新手が来ちまうこの状況はな・・・だが、逆に考えればどうだ?」


逆?G・ティーチャーの考えの裏の逆?・・・対偶的な?


「逆に考えればチャンスは今という事だ。増援を呼ばなければならない状況・・・つまり今は警備が手薄という事」


あ!?そう言うことか!確かにそうだ!・・・でも、ちょっと待って・・・


「これで最初に言った逃走のゴールデンタイムの意味が分かっただろう?まさに今日、この日が逃走のゴールデンタイムだ!それにG・ティーチャーはこうも言っていた───」


『貴方達3人が本気で逃げればこの場所から逃亡する事だって簡単よ』


「ここまで言えば分かるな?本気を出せば奴等を出し抜ける!逃走する事も簡単と言う事だ。じゃあ最初の質問に戻るぞ、今、昼、夜・・・いつ逃げる?」


「ちょっちょっ・・・ちょっと待ってよ!スミヤの言うさ逃走ってさ・・・もしかしてだけど、私達3人だけって事?」


「・・・ああそうだ。そうに決まってんだろ?全員で逃げるなんて不可能だ・・・置いて行く。それしか道は無い」




















































「無理。全員で逃げるってもう決めてるから」


「は・・・はぁ?」


「不可能でも無理でも私は全員で逃げたい!だから正々堂々G・ティーチャーとの勝負を受けよう!」


「おま・・・お前は・・・馬鹿だろ!いや、馬鹿か!勝負を受ける?勝負の相手は幾らお前でも分かるだろ!異形者だぞ!異形者と戦うことになるんだぞ!全滅するに決まってる!今逃げることが最善なんだ!」


「逃げない!・・・私はもう・・・誰も失いたくない・・・」


涙が頬に伝わり流れているのが分かる。


昨日・・・泣かなかった反動が今になって出たみたいだ。


スミヤの言う事は理解できる・・・でも、これだけは譲れない。


「私は別に怖いから、殺されたくないから、死にたくないから逃げたいとか思ってる訳じゃないんだ・・・ただ他の家族が・・・ナイが・・・スミヤが・・・失うのが嫌なんだ・・・スミヤの言う通りG・ティーチャーが言う戦う敵は十中八九異形者って事も分かってる・・・でも・・・でも全員が助かる方法があるって言うんだったらそこに賭けようとする事は悪い事なの?いや、絶対そんな事はない・・・例え茨の道だったとしても私はそこを超えて行く!もう誰も失わせない為に!」










































スミヤが沈黙する・・・そんな中ナイが口を開けた。


「・・・もうこの辺でいいんじゃないかな?スミヤ。メイの本気は伝わったでしょ?」


「・・・まー・・・な・・・ギリギリ合格ってとこか」


?・・・!?・・・えっ?・・・えっ?何!?どう言う事?


「はははは!要するにスミヤは知りたかったんだよ、メイの本気を」


「ギリギリ合格ってとこだけどな。赤点回避だ、良かったな」


「えっ?本気?私の?」


「僕が説明するよ、メイ。実は今の作戦はスミヤと帰った時に話し合ったんだ」


 * * *


『─────で、どうするよ?戦うか?それとも逃げるか?』


『決まってるよ。戦うに決まってる。でも、唯一の気掛かりが・・・』


『メイだな。恐らく逃げるって選択肢に気付いちゃいない。どうする?』


『うーん・・・どうしようか・・・メイの性格上逃げるって選択肢は除外されてるけど、一応言わない訳にはいかないからね』


『それじゃあ、俺が言うぜ。こう言うのは俺の役目だしな』


『毎度悪いね』


 * * *


「─────って事でね。メイの覚悟を知りたかったんだよ」


「あぁ、メイは逃げる選択肢気づいてねーだろーなと思ってたら案の定だったからよ。笑いを堪えるのがしんどかったぜ」


「・・・て事は・・・私を騙してたって事!?」


「・・・まぁ、そうなるな」


「・・・スー!!!ミー!!!ヤー!!!」


やっぱりスミヤは万死に値する!今ここで成敗しなくては!


「ちょっ!なんで俺だけなんだ!ナイもだろ!」


「ナイは良いの!さっきは何も喋ってなかったから!」


「あははははは!!!」


「ナイ、お前は笑ってないでどうにかしろ!元はと言えばお前が言い出した事なんだから!」


「あははは!!!ゴメンゴメン!メイ、スミヤを許してあげてよ、悪気があったんじゃないからさ」


いや、いーや、スミヤは悪気があってやってるに違いない。スミヤはそう言う男だから・・・でも・・・まぁ・・・


「今回は許すよ・・・でも、次騙したら承知しないからね」


「ありがと、メイ・・・さて、方針は決まったね」


ナイがそう言うと手を差し出した。


それを合図に私達はそれぞれの手の甲に自らの手を重ねる。


「あぁ、1週間後の戦いで勝つ事だな」


「逃走じゃなくて闘争になるみたいだね」


「うん、ナイ・・・ギャグは今はいいよ・・・絶対に勝とう!勝って皆んなで逃げよう!」


私達が気合を入れていた時・・・


「あー!やっと見つけた!手伝いもしないでどこに行ってたんだよ!メイ、スミヤ、ナイ!もうすぐご飯だよ!」


「テク、ありがと!ちょっと3人で話がしたくてね」


「・・・って3人とも何してるの?円陣なんか組んで」


「気合い入れてるんだ。じゃあ・・・行こう!!!」


「「うん(おう)!!!」」


極秘CaReUeハウス学校の生徒プロフィール


・0〜4歳は都合上省略


・アメリ

 性別:女

 年齢:5

 利き手:右手

 テスト:知 29 体 70 道 47 合計 146

 G・ティーチャーのコメント

 体力の方が70点に届いたのは嬉しいです!

 しかし、その分知能テストが20点台になってます。

 気をつけましょう!


・カナタ

 性別:男

 年齢:5

 利き手:右手

 テスト:知 28 体 72 道 45 合計 145

 G・ティーチャーのコメント

 体力はずっと70点台は良いです、継続できてますね。

 しかし、知能テストが20点台は気になります。

 復習をしっかりしましょう!


・テク

 性別:男

 年齢:5

 利き手:右手

 テスト:知 50 体 76 道 44 合計 170

 G・ティーチャーのコメント

 知能、体力共に同年齢においてずば抜けています。

 特に知能テストが50点は素晴らしいです!

 この調子で頑張りましょう!


・マイ

 性別:女

 年齢:5

 利き手:左手

 テスト:知 30 体 71 道 49 合計 150

 G・ティーチャーのコメント

 知能の方が30点は流石ですね、これで5回連続。

 継続してる事はとても良い事ですが、

 その分体力が疎かになってませんか?

 バランスよく勉強をしましょう!


・ジリネ

 性別:女

 年齢:6

 利き手:右手

 テスト:知 48 体 75 道 49 合計 172

 G・ティーチャーのコメント

 知能テストが48点と中々良い点数を見せてくれました。

 体力の方も同じ様に上げてれば尚良くなります!


・ネクス

 性別:男

 年齢:6

 利き手:右手

 テスト:知 40 体 78 道 47 合計 165

 G・ティーチャーのコメント

 知能の方が今回はあまり良くありませんでしたね。

 体力はもう少しで8割を超えますが、

 知能の方ももう少し頑張りましょう!


・リムリン

 性別:女

 年齢:6

 利き手:左手

 テスト:知 56 体 80 道 51 合計 187

 G・ティーチャーのコメント

 知能、体力共に同年齢の追随を許さない出来です。

 私はそれに関心するばかりです。

 このままのペースを維持しましょう!


・イグルー

 性別:男

 年齢:7

 利き手:右手

 テスト:知 54 体 81 道 49 合計 184

 G・ティーチャーのコメント

 知能の点数の低さが気掛かりです。

 もう少し復習をしましょう。


・チフモ

 性別:男

 年齢:7

 利き手:左手

 テスト:知 58 体 79 道 50 合計 188

 G・ティーチャーのコメント

 体力が今回8割を下回ってます。

 疲れているならば、少し休みましょう。


・ミフネ

 性別:女

 年齢:7

 利き手:右手

 テスト:知 59 体 82 道 52 合計 193

 G・ティーチャーのコメント

 知能の方はもう少しで6割に届くところまで来ています。

 体力も中々の得点を叩き出しているのでその調子です。


・クラリー

 性別:女

 年齢:10

 利き手:右手

 テスト:知 83 体 89 道 65 合計 277

 G・ティーチャーのコメント

 知能テストの点がとても良く5位です。

 体力も9割近くまで伸びているので私は嬉しいです。

 頑張って両方9割を目指しましょう!


・ラクト

 性別:男

 年齢:10

 利き手:右手

 テスト:知 79 体 93 道 60 合計 277

 G・ティーチャーのコメント

 またしても知能テストが8割に届いていないですね。

 体力の方は9割であり、5位にランクインしています。

 知能のテストが上がれば優秀になることでしょう!


・総評 

 やはり知能、体力等は授業をすれば点数も上がりますが、

 道徳の方はどうにもならないのが現状です。

 このままでは全員廃棄になってしまいますね・・・


──────


────


──


前書きでも言った通りこの話は2週のものを1つにまとめました。

故に次回投稿は来週の水曜日か木曜日になります。


できる限り水曜日に投稿したいのですが、何故か今週は忙しい。

まぁ、気軽に待って頂ければ幸いです!


ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

ありがとうございます!

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