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第82話 視界には・・・

今月2月で『バリアント』は1年目です。

更にこの回で20万字を超えるという事実。

めでたい・・・と思う今日この頃。

「じゃあ行こう」


ナイのその言葉と共に城の中へと足を踏み入れた私達。


踏み入れた場所は暗闇だが、所々壁にある蝋燭の火のお陰で完全に見えない訳ではなかった。


私達が今いる場所はエントランスホールとでも言う場所なのだろう。


結構広い・・・だけど、辺りを見回してもベラ姉さんもルーも此処に姿は無い。


おそらく此処には居ないのだろう。


直ぐに見つかると思ったのに居ないなんて・・・


ガッカリする心とは裏腹にまだ此処を探索できるという興味本位が心の中を占めていた。


側から見ればこう思われるに違いない。


何しに来たんだ・・・と。


そんな中視線の先にエレベーターがあるのが分かった。


此処に居なければ恐らく上であろう。


私はそう考え、ナイとスミヤの顔を見ようとすると、2人もそんな事を考えているのだろう・・・同時に顔を見た。


「どうしよう?多分ベラ姉さん達は上にいると思うけど・・・」


「いや、エレベーターは危険だ。十中八九カメラがあるに違いない。もしも無くても途中で誰かが乗ってきたら?袋のねずみ状態だ」


私の発言にナイが冷静に返答する。


まぁ、そりゃそうか・・・じゃあ他に上へ上がる手段を考え無くちゃね。


そう、例えば階段的な────


そんな事を考えていると、スミヤが小声で話す。


「おい、アレ・・・階段なんじゃないか?」


スミヤが指差す先にはまごう事なき階段があった。


階段は私達がいる場所から30m先にある。


いくら蝋燭があるからと言って気付かなかったけど目が慣れてきたせいか見えるようになってきた。


「うん、そうだね。よし、階段で行こう。先頭は僕が行くからスミヤとメイは付いて来て。カメラに気を付けてね」


「うん(あぁ)」


私達はそう返事し、慎重に階段への道に歩を進めて行った。


カメラに注意しながら足を動かすが、門の前にあったのを最後に見当たらない。


出口のだけなのかな・・・いやそんな訳ないか。


でも、中々中々見当たらないないし・・・うーん・・・あっそうだ!


もし私だったら何処に配置しようか考えながら探そう!


えーと、もし私だったら・・・まぁ普通は見えないような場所に配置する!


例えば・・・そうそう、あの絵の女性の瞳とかに埋め込むとか・・・


・・・ダメじゃん!仮にそうならダメダメじゃん!


バッチリ目と目が合う瞬間になっちゃってるよ!


・・・いやいやいや、落ち着け落ち着けメイ!


それはあくまで私が配置するとしたら・・・だ。


本当に配置してる訳ではない。


それによく見るとこの絵はすごく高そうだ。


そんな絵に監視カメラを埋め込む、みたいな大それたこと出来ないよ。


そうだそうだ、一旦落ち着こう。


何で私は何も進展もないのにこんなに疲れてんだろう・・・はぁ〜


そんな疲れる妄想をしていた時、スミヤが呟いた。


「しかし、随分とザルな警備体制だな。監視カメラはこの際置いておくとして、普通1人か2人かは警備員などは配置しておくべきだろ」


「確かに・・・」


スミヤの言葉に私は頷く。


確かに期待はしてないし、居ちゃマズイが、ゲームで言うところの監視者的な人が全く出ないのはおかしい。


「確かにそうだね。このフロアには人の気配が一切無い。1人ぐらい居るかと思って警戒していたけど・・・」


ナイも誰1人いないことに違和感が生じている。


「うーん・・・もしかしたら何か集会的なものがあるんじゃないあるんじゃない?ほら、ベラ姉さんとルーが卒業じゃん?皆んなでお別れ会しているとか」


「んな訳あるか、バカ」


「アハハハハ、でもそうだと良いね」


ナイが笑ってくれる、やっぱりナイは優しいな。


それはそれとしてスミヤは後で殴ろう。


そんなこんなしているうちに労せず階段まで到着した。


結局最後まで監視カメラ等は無かった。


「・・・さて、まずは第一関門クリアってとこかな。セーブポイントとかあるかな?」


「おい、さっきはスルーしたが、フロアとかセーブとかゲームの話は良いんだよ。お前までふざけちゃお終いだろ」


「アハハハハ、ゴメンゴメン」


・・・お前までってどういう意味?


まるで私がふざけてるみたいじゃないか!


「ちょっとス──「じゃあ、一旦情報を整理するか。まずこの階にはベラ姉さん達はおろか人1人居なかった。つまり上の階にはベラ姉さん達はいるかも知れない・・・此処までは良いか?」


「うん」


ナイがその言葉に返事をする。


私が物申そうとしたところスミヤが真面目に状況を整理した。


「メイも良いか?」


・・・物申すのは後にしよう。


「うん」


「よし、でも裏を返せば上の階には監視者達がいるかもしれないという事だ」


確かにそうだ、仮にベラ姉さん達が上に居るならば監視者達も居るに違いない。


「つまり、この階以上に気を付けなくちゃいけないって訳だね。うん、スミヤ忠告ありがとう。僕、あまりにも簡単だから気が緩んじゃってた。気を引き締めないとね」


スミヤにしては随分と冷静な観察眼だ。


・・・あれっ?ちょっと待って?私要らなくない?


私、何の生産性も無くない?


あっ、考えたら考えだけ虚しくなってきた。


・・・まっいっか。私は元々頭脳派じゃないし、肉体派だし、深く考えるのはよそう。


「よし、行こうか。2人共!」


「うん(おう)」


そう返事して階段を一つ一つ登って行く。





























カツン・・・カツン・・・カツン・・・





























静寂の中、階段の床と靴が触れる音だけが辺りを包み込む。


本当に静かだな、実は本当にお別れパーティーでもしてるんじゃないだろうか?


そんな考えが頭によぎりながら上へ上へと進んでいく足。


そんな中・・・


恐らく2階・・・


暗闇の中に一点・・・光が視界に入る。


此処からじゃよく見えないが、恐らく窓から蛍光灯の光が差していた。


「光が見えるね」


「だな」


「此処は慎重に行こう。2階に敵が配置されているかもしれない」


ナイのまたふざけた言い回しは無視するとして確かにそうだ。


より一層・・・2階に集中しながら歩を進める。


段々上へと進み、遂に2階へと到着した。


しかし、到着するや否や私達は示し合わせなどせず自然に匍匐前進していた。


窓から見られるかもしれない危険性があるからだ。


周りを警戒しながら前進していき、遂に窓のある壁まで到達。


最初はよく見えなかったが、此処は工場を見学するスペースみたいな場所だな。


そんな中、ナイが私達に囁く。


「・・・覗こうか」


私達は一瞬の戸惑い無く首を縦に振る。


すると同時に私達3人が並んで見えるように待機する。


そして、ゆっくり・・・顔を上げた。


まるで亀が甲羅から顔を出すかのようにゆっくりと・・・


某おもちゃ物語の映画のようにゆっくりと・・・


視界には・・・視界には・・・視界には・・・











































視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界には視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハ視界ニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハシカイニハ・・・











































視界には・・・














































首が・・・首だけの・・・










































血塗られて目が開き切ったルーの首─────


次回投稿は来週の水曜日になります。

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