第81話 渡し忘れを届けに城へ
ようやく話が進む・・・みたいな
よし!後付け設定を加筆完了!
へへへ、こんな時間帯に修正入れるなんざ誰も思わないだろうね!
夜 19時
「じゃあ、皆んな。ベラとルーにお別れを言いましょうか」
「元気でね!ルー」
「ベラお姉ちゃん、元気でね〜」
「お手紙書いてね〜!!!」
兄弟達みんながベラ姉さんとルーにお別れを言う。
卒業するという事は大人になるという事だ。
それはとっても良い事であり、嬉しい事だ。
祝福する事だ。
でも・・・でも・・・
でも、やっぱり『サヨナラ』は寂しいな・・・
昨日まで・・・ついさっきまでいた家族が明日からいない。
私達はそれを何年も観ている。
「やっぱり、コレばっかりは慣れないなぁ」
「そんな寂しい顔しないでよ、メイ。まだ僕達がいるよ」
「そうだ、それに永遠の別れ・・・でもないだろ?俺達が卒業したら会いにいけば良い、それだけじゃねーか」
ベラ姉さんとルーが去った後、ナイとスミヤが私を励ましてくれた。
今日から私達が最年長者になるのだ。
暗い感情は表に出さない様に気を付けていたのに気づかれちゃうなんて・・・まぁ・・・
「今・・・だけは・・・泣いても・・・良いよ・・・ね?」
「良いよ、僕が壁になって皆んなから見えない様にしてあげる。スミヤもどう?目が赤いけど」
うん・・・さっきから気になってだけどやっぱりスミヤも寂しいんだ。
めっちゃ目が赤いし。
「な・・・コレはちげーよ!?ただ目が痒かったから掻いたら赤くなっただけだ!!」
「はいはい・・・目にゴミでも入っちゃったんだね〜」
「ブッ・・・フッフッフ・・・アッハッハッハッハッハッハ!!!」
「な!?笑うなメイ!!」
2人の掛け合い見てたらついつい笑っちゃった。
出そうだった涙ももう出なくなっちゃった。
ありがとう・・・2人共。
そんな事を考えながら不意にポケットに手を入れる。
すると何かが手に触れた。
え?なんか入れてたっけ?
そう思いながら中の何かを掴んで外に出す。
「あ────」
その正体を目に映した瞬間思わず声が漏れた。
「うん?メイ、なんだいそのネックレスみたいなの」
「手作り臭半端ないな。何だそれは?」
ナイとスミヤが質問してくるが、今の私の頭には冷静に返答できる状態ではなかった。
それは2人が言った通り私が作ったネックレスだ。
ベラ姉さんにあげようと密かに作っていたネックレスだ。
「もしかして、ベラ姉さんに・・・渡そうとしたプレゼント・・・だったりして・・・?」
ナイが真偽を確かめるか如く恐る恐る質問してくる。
ゆっくりと縦に振る私の首・・・
数秒の静寂・・・
外からの動物の声がよく聞こえる。
本当に静かな数秒だ。
しかし、そんな静寂も次の瞬間終わりを告げる。
「ど・・・どどど・・・どうしよう!!!!」
「何やってんだ!?お前何やってんだ!?忘れるか普通!?忘れねぇーだろ!?今日1日に何回も渡すタイミングあっただろ!?本当何やってんだ!?」
「だ・・・だって!2人の前だと馬鹿にされるかなって思ってて・・・それに・・・うん・・・忘れてた・・・ね」
「忘れてんじゃねーよ!!」
スミヤが鋭いツッコミを入れる。
そりゃそうだ、グーの音も出ない。
「・・・今から届けようか」
えっ────
「おいおいおい、ナイ分かってんのか?姉さん達は敷地外・・・おそらく柵の奥の城だぜ?怒られるどころの騒ぎじゃねーよ」
柵の奥の城・・・
それはこのCaReUeハウス学校を取り囲む柵の事だ。
G・ティーチャーはこの柵の奥は危険だから行くなと口を酸っぱく言ってくる。
しかし、私達3人は一度だけ柵の奥に行ったことがある。
ベラ姉さんにG・ティーチャーの気を引いている間に・・・
柵の奥には見えない程高い壁が学校を囲っていた。
何mあるのだろうか?軽く10mは超える壁が存在する・・・しかし、ある一点・・・一箇所だけ異質な場所があった・・・
それがスミヤが言う城だ。
しかし、城の門は固く閉じられて敷地内からは開けれなくなっていた。
『私達をナニカから守ってくれているのだろうな、この門は』
『城みたいだがらモンスターが出てきたりしてね』
『なるほど、流石はメイ。その考えは無かった』
私達はそう解釈して城の元を去った。
その城にナイはもう一度行こうと言っている。
「大丈夫だよ、一度行ったことあるじゃないか」
「それはベラ姉さんがG・ティーチャーの気を惹きつけていたからじゃねーか」
「G・ティーチャーは今いないよ」
「でも、危険だろ」
ナイとスミヤが行くか行かないか言い争っている。
そんな中ナイが不意に私に視線を移した。
「メイはどうするの?結局行くか行かないかはメイが決める事だ。確かにスミヤの言う通り危険だし、何より別に行かなくても後でG・ティーチャーに頼めば済む話だ。どうする?」
「・・・・・・」
私は数秒考えた後、その答えに辿り着いた。
「行くよ、今。今このネックレスをベラ姉さんに渡したい。明日とか後日とかじゃなくて今。たがら私1人で────」
「決まり。じゃあ僕とメイ2人で行ってくるよ。スミヤは留守番ね」
え!?
「ちょっと待ってよ!?これは私の問題だからナイも行かなくても良いよ」
「いやいや、僕も行くよ。メイだけじゃ不安だしね。それに後で『何で止めなかったんだ』って怒られるのも嫌だしね」
ナイ・・・うん?
なんか最後の理由は自分が怒られるから嫌みたいに聞こえるが・・・
感動で涙が出そうになった矢先そんな考えが浮かび出なくなった。
「じゃあ、そういう事でスミヤは待って────」
「わーたよ!!行くよ俺も行く!」
すると今度はスミヤも行くと言ってきた。
なんで!?
「え?行くの反対派じゃなかったけ?」
ナイが笑みを浮かべながら問う。
「うるせーな。気が変わったんだよ。文句あるか!」
「え・・・ない・・・かな?」
私はスミヤの勢いに完全に飲まれてしまった。
「んじゃあ、G・ティーチャーが帰ってくる前に行こう」
「「うん(おう)」」
なんか知らないけど結局3人で行くことになってしまった・・・
──────
────
──
私達は校舎の裏口の鍵を開け、真っ直ぐに門の方に向かう。
鍵を開けたのはナイだ。
流石ナイだ、なんでも出来る。
全速力で走れば5分前後で城には到着する。
これでも身体能力テストの上位者は伊達じゃないってとこだね。
城の門に到着すると、この前来た時と雰囲気が違っていた。
固く閉じられていた門が・・・まるで大口を開けるかのように開いているのだ。
「まぁ、そりゃそうだよね。門が開かなきゃベラ姉さん達も出れないし・・・」
そうやって門の中へ入って行こうとするとナイが話す。
「じゃあ、こっからは監視カメラに気を付けて行こう。ホラ、あそこ」
そんな事を話すナイの指差す先にはカメラがあった。
・・・危な!開始早々アウトとかホント洒落にならない。
「じゃあ、どうすればいいの?よくよく考えたら詰みじゃん!」
「いや、大丈夫だよ。あのカメラ支えてる部分経年劣化が凄いよ。少し折れ曲がってるし、あの角度から察するに・・・」
ナイがそう口にして一息ついた後・・・
「うん、此処から入ればカメラの視界には入らない」
「いわゆる死角ってやつか・・・」
「おぉ、なんかカッコいい!!!」
私は興奮を隠しきれない声を出した。
「うん、でもこっからは声をあまり出したらダメだよ。幾ら映らないと言っても音声は入っちゃうかもしれないからね」
うぅ!またやらかしちゃった!
「そうだぞ、メイ。静かにしろよ」
スミヤが口を押さえながら私を見てくる。
手が震えているのを見ると、笑いを堪えているのだろうか・・・
後で殴っておこう。
「じゃあ、行こう」
私達はこうして城の中へと足を踏み入れた。
次回投稿は来週の水曜日になります。
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