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第78話 今際の際の言葉

7章もこれにて完結

「だーかーらー、俺はなーんにも知らねーんだって、知りたきゃアークに聞けって言ってるだろ。ほら、だから、この縄をほどけ!」


「ほどきませんよ!アザートさんを何故襲撃したのか理由を話すまでは」


ルイは先の戦いでニャルラとヨグに敗れ拘束状態となっていた。


しかし、意思が固いのか何も話さない、ルイ。


まぁ、拷問も何もしてはいないのだからそりゃそうだが・・・


拷問をしないのは単純に拷問が嫌いだからだ、ヨグが。


ニャルラは別にそんな事気にしないが、生憎数分前どっか行ってしまった。


「てゆーか、お前どんな所から話してんだ!」


「えっ?何ですって!聞こえないです!っていうか聞きたくないです!」


ヨグはルイから大分離れた場所から監視していた。


それは何故か?・・・勿論、男性恐怖症だから。


「(どうしよう?)」


ヨグがそんな事を考えていると、ニャルラが帰って来た。


「おう、ヨグ君なんか喋った?」


「いえ、何も喋ってはくれませ────って何持ってんですか!?」


ニャルラの両手には抱える程の数の骨董品があった。


「テッ・・・テメー!何持って来てんだ!」


「何って・・・良い物ないかなぁ〜って思って部屋探索してたら何やら高そうな物がチラホラと・・・」


「で、持って来たと・・・」


「強盗じゃねーか!?返せ!」


ルイは大声を上げニャルラに詰め寄ろうとするが、縛られている為動けない。


「強盗〜?人聞き悪い事言わないで欲しいニャ?コレはエコな行為ニャ?」


「え・・・こ?」


ニャルラが何食わぬ顔で発言した言葉にルイは一瞬思考停止した。


「そうじゃないかニャ?今日、この日、此処で君等は死ぬのだよ?決定事項なのだよ?そしたらどうする、この骨董品達は?廃れてボロボロになるまで此処に置いとくのかニャ?NO NOそれはエコじゃないニャ。私達が貰うことによって未来永劫コレ等は廃れないニャ。分かるか?コレはエコだと」


それは『エコ』ではなく『エゴ』では?


『エコロジー』ではなく『エゴイズム』では?


そんな言葉がヨグの脳裏によぎったが、あえて言わなかった。


言った所で何も変わらないからなぁ


ヨグは諦めの顔でニャルラを見る。


「なっ・・・なんだと?死ぬだと?ふざけるな!お前等はアークによって殺され────」


「誰によって殺されるって?」


奥の方から聞き覚えのある声が鳴り響く。


瞬間、全員の目線が奥に向く。


コツ・・・コツコツ・・・コツコツコツ・・・


視線の先・・・闇から現れたのは漆黒のコートに身を包み、手には唯一輝きを示す銀の装飾銃─────


「アザートさん!!」


そう、勿論アザートだ。


「やあやあ、アザート君無事で何よりだよ〜。おっとっと、危ない危ない」


ニャルラはそう言い、片手を上げると骨董品が落ちかけた。


「・・・何だそれは?」


「金になるかな〜って思ってニャ」


笑顔・・・満面の笑顔である。


しかし、それはニャルラだけではなかった。


「ほう、中々高価な物を持っているのだな。腐ってもこれ程の屋敷を所有してる訳だ」


此処にも居た。


もう1人、悪魔が。


そんな会話に業を煮やしたのかルイは叫んだ。


「何だよオマエ!何で死んでないんだよ!何で此処に居るんだよ!アークはどうした!」


「アーク・・・?知らんな。生きているのか?はたまた死んでいるのか?」


アザートは挑発するようにニヤける。


「知らないって・・・アザートさん、殺したんじゃないんですか?」


「俺は殺していない」


「もしかしてアザート君、『堕とし子』使ったでしょ。だとしたら相当鬼畜だね」


アザートの言葉に察したのか納得するニャルラ。


「ヒェッ、あの技使ったんですか?やりすぎじゃ・・・」


ヨグはそれを聞き、ブルっと身体を震わせる。


「何だ!その『堕とし子』ってやつは!アークはどうなったんだ!」


「知らないと言ったろ・・・だが、まぁアーク自身だけはどうなるか『知ってる』だろうな」


そう言うアザートの表情を見て、ルイは恐怖という恐怖を感じた。


身体が小刻みに震え出す。


さっきまでの威勢が嘘のように震え出す。


「んじゃ、アザート君も戻った事だしもう一度聞くよ。何故アザート君を狙ったの?」


「俺は知らない!関係ない!元々アークが言い出したんだ!アークは龍鳳カンパニーの龍鳳を殺した奴がどんな強さか知りたいって息巻いてただけで俺は関係ない!」


先程まで一切割らなかった口までも既に壊れたファスナーの如く開いた。


「ほーう、ただ自分の実力を過信しすぎた哀れな人間・・・いや、異形者か。そんな奴の為に27人も犠牲になるとは世も末だな」


その27人殺したアザートさんがそれを言うのか?


ニャルラとヨグが心の中でツッコミを入れる。


「だ・・・だから俺は何にも関係ねぇーんだよ!俺は唯アイツに脅されてただけで・・・」


「それにしては随分とノリノリだったような・・・」


「五月蝿い!!んな事はどーでもいい、助けて─────」


プルルルルルルルル…プルルルルルルルル…プルルルルルルルル


誰かの電話が鳴った。


「おっと、キタキタ。ちょっと待ってニャ〜」


どうやらニャルラの電話のようだ。


「はい〜、もしもしべライザ?どうどう、何か分かった?」


『はい、ニャルラさん。貴方の言う通り、このルイという男相当な悪ですよ。ソイツ────』


「────ほーう、それはダメだね。万死に値するね。いや、億死にも値するんじゃん。いや〜、ありがとね〜」


『それはどうも。でも毎回毎回言ってますが、こんな簡単な事は自分で調べませんか?調べれますよね?そう、調べれるんですよ。私も忙しいんですよ』


「だってメンドくさいんだもーん!」


『「メンドくさいんだもーん」じゃないよ!そうなら、ιに頼めば良いじゃないですか?そっちの方が早くて確実────』


ピッ…プーーー…プーーー…プーーー


切った、切りやがった、明らかに話してる最中なのに・・・


ニャルラ以外の3人が同時に頭によぎり、目を細めニャルラを見つめる。


「なっ・・・何よ〜!?だって私、ι苦手なんだもん!『人間、IQが30違うと話がかみ合わないらしいですが、異形者にも当てはまるんですね』って私の目の前で言うんだよ!酷くない?」


「まぁまぁまぁ、ニャルラさん落ち着きましょう、っていうか落ち着いて!」


「────っと、話が完全に逸れてしまったニャ。ゴメンゴメン・・・さて、アンタを少し調べさせて貰ったニャ。随分と胸糞悪い商売しているそうじゃないかニャ、え?『闇夜の巨匠・ルイ』さんよ?」


数秒前までふざけた声に怒気を帯びる。


「えっ────」


その衝撃的な言葉にヨグは言葉を失った。


「異形者により家族を失った多くの子供らに名ばかりの里親を紹介。ソイツらと手を組んで変態御用達のビデオを撮って売り捌く・・・界隈では『巨匠』とまで称されてるらしいじゃないか?」


「・・・違う。アンタが何を聞いたか知らねーが、アンタは誤解してる。俺がそんな奴に見えるか?そんな変態糞野郎に見えるか?その話が嘘な事は毛も生えてないガキだって分かる話───ガァ!?」


ルイがそう言い終わる前に顔面を蹴り上げるニャルラ。


蹴りを入れたニャルラの顔はいつものふざけた表情ではない。


そんな表情が一切見えない・・・一言で言えば、そう闇だ。


何人の有無を飲み込むブラックホールのようだ。


「何度も言わせないでくれよ変態糞野郎?仮に話が嘘であったとしてもそんな事どーでも良い事・・・どーでも良い事なのだよ。お前はこの今際の際で出来ることだけを考えろ、それがお前の人生最期の思考ニャ」












































─────

────

──


「あ〜あ〜あ〜・・・とんだ茶番だったニャ。バカバカしいったらありゃしない」


「そうには見えないんですけど・・・」


ヨグが小さく呟く・・・


それもそうだ。


ニャルラの目の前には豪華な料理が並べられているのだから。


更にニャルラの顔は『ニッコニッコ』が止まらない。


ニャルラ達が居るのは高級レストラン。


ニャルラは屋敷から盗す────貰った骨董品を直ぐに売り捌いたのだ。


「それはそうとアザートさんの賞金首の件はどうなるんですか?」


「それはもう大丈夫ニャ。知り合いにそのサイトは閉鎖させたニャ」


「別に閉鎖させなくても良かったんだがな。馬鹿が殺されに来るだけだから」


アザートが何食わぬ顔で答える。


「いやいやいや!アザート君が困らなくても私達が困るんだニャ!よく分からん奴が仕事の邪魔しに来るんだよ!仕事になんないよ!」


「冗談だ、冗談」


本当にそうか?


ニャルラとヨグはそう思いながら目を細めアザートを見つめる。


「まっ、この話はまた後で良いかニャ・・・そろそろ限界が近づいて来たニャ、お腹の・・・では、一仕事終わったという事で・・・食べまくるとするかニャ!」


「すいません、ニャルラさん。アザートさん、もう食べてますよ・・・」


「ちょっ、何勝手に食べてるの!?此処はカンパーイする流れでしょ!?ちょっ!?まだ食べるな!・・・ってそれ私の肉ッ!!」


アザート「で、どうだ?来たのか?」


ニャルラ「・・・・・・」


アザート「あんだけ大口叩いたんだ。来なかったら恥じたぞ、恥」


ニャルラ「まだ、ある・・・」


アザート「あ?」


ニャルラ「まだ、後1週間ある!」


アザート「その1週間ってのもおかしな話だろ?閑話を考えるに当たって何かしらネタは考えとかないとダメだろ」


ニャルラ「大丈夫、いつもその日のノリと勢いで書いてるからネタなんか考えなくて良いニャ」


アザート「それはとてもめでたい話だな。まぁ、早く考えても何の問題はないだろ?どうせ来ないんだから今から考えておくのが吉だぞ」


ニャルラ「うるさ〜い!!!まだ大丈夫って言ってんるニャ!!!まぁ、見とくと良いニャ、1週間後アザート君の青ざめた顔が楽しみだニャ!」


アザート「だと良いんだが・・・」


ニャルラ「さて、ではコレが2022年最後の投稿という事で皆様、良いお年を〜!!」



次回投稿は来週の水曜日になります。

ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

では、皆様良いお年をお迎えください。

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