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第72話 伝達者の末路

前々から小説で描きたかった敵のエンドが描けて満足

「おい、まだ片足が吹き飛んだだけだぞ。戦い・・・闘争はここからだ」


アザートが笑みを浮かべながらフレイヤに語りかける。


しかし、フレイヤは恐怖と痛みで反応することが出来なかった。


「(痛い・・・痛い・・・痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!)」


思考が痛みで埋め尽くされていた。


そんな時・・・


ドサッ


目の前に何かが落ちたようだ。


痛みに耐えながら何が落ちてきたかを確認すると・・・


肉塊だった。


見覚えのある肉塊であった。


「〜〜〜〜ッ!?」


それが何か脳裏によぎった瞬間、全身が凍りついた。


自分の足だ。


先程まであった足だった。


もう自分には二度と手にすることの無い足であった。


見上げるとそこには居た。


元凶が居た。


自分の足を飛ばし、肉塊にした元凶・アザートが立っていたのだ。


瞬間、フレイヤに怒りが込み上がる。


「殺せ!!!この男を殺せ!!!跡形も残らないように粉々にしろ!!!」


フレイヤは叫んだ。


痛みを忘れて叫んだ。











































しかし、何も起きなかった。


誰も出てこなかった。


静寂が周りを包み込む。


「な・・・何をやってるの?はっ・・・早くこのバケモノを殺してよ!!!」


そう嘆願するも虚しく何も起きない、誰も出て来ない。


再び静寂が包み込む・・・かに見えたが、今度は違った。


「・・・クックックック・・・アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」


高らかな笑い声が周りを包み込んだのだ。


笑い声を上げたのは勿論、アザートである。


しかし、未だこの状況を飲み込めていないフレイヤは三度声を掛ける。


「何してるの?早くコイツを─────」


「ここまで来ると逆に同情の余地すらあるな、貴様」


アザートがフレイヤに向けて話し出した。


「まだ此処に貴様の仲間がいると思っているのか?」


「なに・・・言ってるの?」


フレイヤはアザートの言葉の意味が理解していなかった。


「俺は此処に着いた時、示唆した筈だ『やはり敵は臆病者だな。人が1人もいない場所をアジトとするなどな』・・・と。だから、貴様が仲間がいると言った時、何言っているんだ?と思っていた」


「嘘だ!!!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!」


フレイヤはまだアザートの言う事を信じる事は出来なかった。


否、信じるのを脳が拒んでいるのだ。


「最初からおかしいとは思わなかったのか?俺は既に26人殺しているんだぞ。それを馬鹿の1つ覚えの如く再び襲いに来ると思うか?貴様は唯の伝達者なんだよ、使い捨てのな」


「嘘だ・・・嘘だ・・・嘘だ・・・嘘だ・・・」


譫言のように呟き出すフレイヤ。


「・・・となると、もし作戦が失敗した時の為、コレを渡しておけとか言われ何か渡されなかったか?」


アザートがそう問うた瞬間、フレイヤの動きが固まる。


「図星のようだな。どれ、少し見せて貰おうか」


そう言ってアザートはフレイヤの身体を弄る・・・途端に暴れ出すフレイヤ。


「や・・・やめろ!!!触るな!!!あ・・・」


「これだな」


アザートはそう言ってフレイヤから一枚の紙を奪い、中身を見た。


「フッ・・・なるほどな。中々良い情報をくれるな、貴様のボスは・・・」


「・・・・ぁぁ」


既にフレイヤは抵抗する気を無くしてしまった。


自分は単なる伝達者だった事をようやく理解したからだ。


「さて、労せず敵の情報をくれたのだ。貴様のボスには御礼をしなくてはな」


「────え?」


「ボスに代わって俺が貴様の伝達者(捨て駒)の指揮を務めてやろうじゃないか。・・・そうだな、あそこなんか良さそうだ」


アザートの突然の言葉に何を言っているか分からないフレイヤ。


「それは・・・どういう意味・・・?」


指揮を務める?


それはつまり私を助けてくれるのではないか?


そんな淡い期待がフレイヤに集まるが、現実は甘くなかった。


「ほう?分からなかったか?では、馬鹿な貴様にも分かりやすく言おうじゃないか。古今東西この世の伝達者(捨て駒)の末路など決まっているではないか」


そう言ってアザートは銀の装飾銃を生成する。


「用が済んだらちゃっちゃっと死ね!!」


バァーーン!!!


───────


────


──


バリアント・アジト


「ニャルラさん、本当にフレイヤさん。アザートさんを殺そうとしてる刺客だったんですか?」


「本当にしつこいねぇ〜。本当だって言ってるでしょ。気付いてなかったのはヨグ君だけニャ〜」


ニャルラはヨグをあやすように言っているが、めんどくさそうだ。


何故なら、アザートがフレイヤと共に出ていってからかれこれ6回目だからだ。


ヨグは別に信じられないから聞いているのではなかった。


ただ、自分だけが気が付かなかった事に対してショックを覚え、それをニャルラと話す事で間際らしていたのだ。


ニャルラもそんなヨグの心情を理解して話を聞いているのだ。


「(いけないいけない。ニャルラにまた迷惑をかけてる。こんなんじゃダメだ。暗くなる一方だ。もっと別の事を考えよう)」


そうヨグが思い始めていた時・・・


ワイワイ・・・ガヤガヤ・・・


おい、なんだよアレ?


映画の撮影小道具か?


外の方がいきなりうるさくなった。


「なんだかいきなり騒がしくなりましたね。映画の撮影でもしてるんでしょうか?」


ヨグはそう言いながら窓の外を見ると・・・


「ヒィ・・・ヒィィィィィィ!!!」


「えっ?ヨグ君どうしたの?あっ────」


そう言ってニャルラも外の様子を見た。


人々の視線の先・・・


ニャルラの視線の先には・・・


街灯の先に血塗れたフレイヤの首が突き刺さってあった────


次回投稿は来週の水曜日になります。

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