第69話 名探偵?ヨグと犯人?アザート
遂に2期がスタートします!
人には感情が存在する。
その中にある負の感情、恨み、悲しみ、辛み、憎しみ、妬み、そして絶望。
そのすべてが一つになった時、人は人外へと変貌する・・・
人々は、彼らを異形者と呼ぶ。
* * *
20XY年 4月
アメリカ合衆国 ニューヨーク州 夜
人気の無い路地裏にパトカーが数台駆けつけていた。
「また身体中の臓器がぶち撒けられている遺体か・・・これで16件目だぞ」
「一体どういう神経したらこんな惨たらしい殺し方が出来るんですかね。しかも死因は頭を貫通している銃弾なんですよね?」
「まだ司法解剖もしていないのに死因を決めつけるな!・・・と言いたいところだが、恐らくそうだろうな。また奴の・・・『黒い処刑人』の仕業だろうな」
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翌日 バリアント・アジト in ニューヨーク
「ニャルラさん、例の事件・・・また犠牲者が出たらしいです」
「アレでしょ、臓器ぶち撒け殺し事件。随分とこの街も物騒になってきたモノだニャ〜」
ニャルラとヨグはニュースを見ながら話している。
「犯人の手がかりが全く無い状態で警察もお手上げ状態ですからね。分かっているのは犯人が黒いコートと銀の銃を所持していることだけ・・・」
「そうだニャ〜。今までの事件から察するに犯人は随分と狡猾で残忍な奴じゃないか・・・ていう私なりのプロファイリングがあるニャ〜」
「そうですね」
「そうだニャ〜」
「「・・・・・・」」
そして、2人は突然黙った。
示し合わせたのではなく・・・
しかし、この空気に耐えかねたのかヨグは一言発した。
「ニャルラさん・・・自分、実は犯人に心当たりがあるんですけど・・・」
「ほーう・・・名探偵ヨグ君、心当たりとは?」
ニャルラはヨグの言葉に興味を示す。
「最初この事件を聞いた時、まさかな・・・とは思ってたんですけど、信じてたんです。でも、最近は本当に犯人じゃないか?今言えばまだ間に合うんじゃないか?と思うようになってるんです」
「ほうほう」
「だから、僕・・・一言言ってやります、アザートさんに!!」
「何を言うんだ?」
そこにちょうどよくアザートが入って来た。
髪が濡れているようであり、シャワーを浴びた後のようだ。
「アッ・・・アザートさん!!いや・・・それは・・・その・・・」
「名探偵ヨグ君がぁ〜今起きている、連続殺人事件の犯人がアザート君ではないかと思ってるそうニャ〜。後、アザート君を狡猾で残忍とか・・・」
「狡猾で残忍はニャルラさんが言いましたよね!?」
ニャルラの濡れ衣発言を急いで指摘するヨグ。
「ほーう、つまりそこ以外は思っていたと・・・」
「あっ・・・いや・・・そんな訳では・・・」
「さっきまで強気でいた君は何処に行ったニャ・・・」
ニャルラは呆れたような声をヨグにかける。
その言葉に触発されたのかヨグが壊れた。
「あ〜〜〜はいはい分かりました!ぶっちゃけるとめっちゃ疑ってますよ!だって犯人、黒いコートに銀の銃を所持していたそうじゃないですか!」
「黒いコートに銀の銃を所持しているから俺が犯人?流石が見た目は子供、頭脳も子供の名探偵だ。随分とふわふわした証拠だな」
アザートは嘲笑いながら話す。
「じっ・・・じゃあ、アリバイあるんですか!事件は全て夜に起きてるんです。夜はアザートさんを見てませんよ」
「では、俺の無実を証明する為に夜はお前らが乳繰り合っている横で寝ろと言う訳か・・・」
「ちっ・・・乳繰り合ってなんかません!!!」
「そうだニャ〜、愛し合ってるって言ってニャ〜」
「ニャルラさんは黙っててください!」
ヨグは顔を真っ赤にしながらニャルラを制止させる。
「まぁ、冗談はさておき・・・俺は犯人ではない。何故なら、俺とこの犯人は性格が真っ向から違う」
「「性格が違う?」」
アザートの言葉にニャルラとヨグが反応する。
「狡猾で残忍?・・・違う違う、全くの的外れだ。コイツは唯の臆病者だ」
「臆病者?」
「過去16件の概要を見たが、全て殺された時間帯は夜。場所は人気の無い路地裏・・・コレを臆病と呼ばずに何と言う?俺が犯人ならば白昼堂々殺す」
アザートは笑いながら話した。
「あっ・・・そう言われると」
「アザート君は前科*があるからニャ〜、説得力が違うニャ」
*第35話参照
ヨグとニャルラはアザートの最後の一言で納得した。
俺なら白昼堂々殺す・・・
そう言われればそうなのだ。
「だが、懸念すべき所はある。それは奴の身なりだ」
「身なりってコートと銃のことですか?」
「あぁ、先程はふわふわした証拠だと言ったが、俺のと同じである事もまた事実・・・つまり────」
「何者かがアザート君を嵌めようとしているかもしれない・・・か」
次回投稿は来週の水曜日になります。
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