第68話 エピソードι 理解────
エピソードιはこの回までで次回からは本編になります。
私、バトとιとの暮らしが始まった。
しかし、暮らし初めは問題を起こすばかり・・・協調性もクソも無い。
我が強く、天才であるのでいつも私は論破される。
幼稚園に通わせようとするも・・・
「面白くないです。これなら家でパズルを解いていた方がマシです」
1日持たず・・・いや、1時間持たず1人で家に帰って来た。
直ぐに幼稚園の先生に謝りに行った。
そして、幼稚園は諦めた。
小学校に通わせようとするも・・・
「面白くないです。これなら家で異形者について考える方が面白いです」
また1時間持たずして1人で家に帰って来た。
直ぐに担任の先生に謝りに行った。
そして、小学校も諦めた。
そんなこんなが続いていたが、遂にιに変化が訪れた。
それは6年後の20XJ年
ιが10歳になる年だった。
いつもの如くιと異形者の事件を解決している時、ある女性と出会った。
名は『セフィラ』と言うらしい。
彼女は万物を見透かしているかのような目でιを見て、こう言った。
「面白いですね。どうですか?『アルカディア』の幹部として働きませんか?」
アルカディア・・・聞いたことがある。
国際秘密結社連合という世界機関
曰く、全世界の秘密を知る組織である。
曰く、全世界の精鋭達が集う組織である。
曰く、全世界を牛耳っている組織である。
曰く・・・
数え上げたらキリが無い。
しかし、都市伝説の類かと思ってはいたが、本当にあったとは・・・
私がそんな事を考えていると、ιがセフィラさんに問いた。
「つまり・・・貴方はアルカディアのトップであると言うわけですか?」
ιそれはない、それはないよ
アルカディアのトップである方が現場なんて行かないよ。
ホラ、見てみなよセフィラさんを
呆れてるよ
呆れて目を見開いてるよ
まるで『見破られたましたか』と言ってるような顔してるよ
・・・・・・マジ?
「凄いですね・・・矢張り只者ではありませんね?まさか見破られたとは・・・」
しまいにゃ言っちゃったよ
マジでトップの方だったのかよ
ツッコまなくて良かった〜
「貴女の方こそです。オーラを隠してるようですが、私には分かります。唯ならぬオーラが」
そんなモノ見えるの?
私全然分かんないよ
「バトも分かりましたよね?」
「あ?・・・あぁ!あーね・・・うん!なんかね!隠しきれないっていうオーラ?迸ってましたよ?」
嘘です、何も見えません
オーラって何?
オーロラの略?
「・・・流石、噂に違わぬ2人って感じですね」
噂ってなんですか?
「さて、話を折ってしまいました。『アルカディアに入らないか?』でしたね。その質問に答える前に聞きたい事があります」
聞きたい事・・・多分アレを聞くんだろうな
でも、まさか聞かないよね?
お偉いさんの勧誘なんだから聞くわけないよね?
「アルカディアに入る私のメリットは?」
聞いたよ、聞いちゃったよ
失礼極まり過ぎじゃありません?うちの子
しかし、そんな言葉を聞いても笑うセフィラさん。
この人は女神かな?
「勿論、ありますよ。まず、コレ・・・ワールドライセンス。これがあればどの交通手段、ホテルもタダです」
すげぇ
そんなモノがあるのか、ヤベェなアルカディア
「そして、コレです」
そう言ってあるパンフレットを私達に見せてきた。
「コレは・・・何かの牢獄ですか?」
私が質問する。
「はい、コレはもう少しで完成するCRU牢獄です。異形者をCaptured(捕獲)し、Research(研究)そして、Useer(使役)する場所です。そこに貴方を監獄長として迎えましょう」
マジで!?
マジでそんな高待遇を!?
ι・・・コレは入る、絶対に入る
そう思いιを見るが、いつもの笑みが無い。
「そうですか。中々素晴らしいお誘いですね。では、最後に1つだけ聞いても?」
「はい、どうぞ」
「それはバトも一緒にって事ですか?」
「・・・えっ?」
その言葉を聞いた時、思わず声が出てしまった。
「何を驚いているんですか?貴方がついてくるのは当たり前の事でしょう。バトも入れさせてくれるならば入ります。無理なら入りません」
ι・・・お前って奴は
「勿論、そのつもりでしたよ」
「では、入りましょう」
その時は感動し、涙を流した。
いや、育てて良かったなぁとしみじみと感じる。
後で聞いたが、単に私の料理が美味しいから私も連れて行きたかったんだとか・・・
・・・返せ!私の感動を!
ιがアルカディアに入ってから、それはもう目まぐるしい日々だった。
入って数ヶ月でEF協会と共同開発して、『対異形者武器・蠢くもの』を作ったりした。
何故かEF協会の人々は私達を煙たがっていたが・・・
それもそうだ、異形者は誰であろうが、殲滅するEF協会と違ってウチは捕獲するのがメインだからな。
ニャルラという女性にも出会った。
ニャルラさんは異形者の中で最初に発見された『邪神型』らしくιはニャルラさんの事を見るなり・・・
「すいません、実験対象として協力してくれませんか?」
と言い、ニャルラさんをドン引きさせた。
勿論、私が後で謝った。
『異世界に行って来た』と意味不明な事を口走っていたりもする事が一時期・・・いや、今もだがあった。
「バト、私は異世界に行き難事件を解決したんですよ」
得意げに言うι。
毎日書類や雑務の日々であり、第一私と毎日顔合わせてるのに行ける訳ないだろ
・・・と、内心ツッコミはしたが、
「そうですか、凄いな」
と言い、持ち上げたりする。
変に正論を言って気分を悪くさせると後でめんどくさくなるからだ。
やはり、日本の漫画を見せたのが悪かったか・・・
しかし、異世界の話はまだ序の口だ。
これより前に見せた『DEAT○ ○OTE』コレが一番厄介だった。
見るや否や『L』というキャラになりきりながら仕事する始末。
更に、元々あまり時間という概念が乏しかったのが拍車がかかり、4日間寝ない日などが増えた。
それが原因で目にクマが出来たと思いきや・・・
「フフフ、似てきましたね」
と、鏡に向かって喋り出す。
勿論、猫背で・・・
ヤバいな、側から見ると完全にヤバい奴だ。
前述したが、仕事中もお構いなしにやる・・・ていうか既に定着しつつあり仕事場の人間はドン引きしている。
そりゃそうだ。
Lの行為は漫画だから許されているのであって現実でやれば唯の『ヤク中』だ。
しかし、本人が好きでやってるのだから止めるわけにもいかない。
まぁ、流石に猫背は止めさせたが・・・
猫背は万病の元だからな。
そんなιも何でもかんでも真似する訳でも無い。
その最たる例が甘いものは大量に口にはしない点。
本人曰く・・・
「頭を使えば太らないというのは漫画であるからです。私は『L』になりたいのであって『デブ』にはなりたくありません」
上手いこと言ったつもりか─────
しかし、そんな毎日も退屈してきたのだろう。
「これなら異世界の方がまだ楽しかったですね」
そんな事ばかり言うようになっていった。
重症だな・・・こりゃ
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そして、数年後のある日突然ιが・・・
「とても面白い男を見つけました。恐らく彼とは気が合います」
ιの目はあの時と・・・私と共に生きると言った時と同じように輝いていた。
それを見た時、私はようやく理解した。
ιは友達を欲していたのだと。
名は『アザート』・・・ですか。
どんな方なのでしょうね──────
To :現る天才 ── Oh, dancing with nightmares ──
次回投稿は来週の水曜日になります。
また、土曜日に短編を投稿予定です。
良かった読んで下さい。
では、またお会いしましょう