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第67話 エピソードι 邂逅────

今回は閑話・・・的に考えてくれたら良いです。


遂に2期が始まります。

お待たせしてすいませんでした!

20WZ年 ヨーロッパ ×××××国 とある田舎


その日、ある少年が産まれた。


金持ちの家・・・でなければ、貧乏の家庭でもない。


ごくごく平凡の家庭から少年は産まれた。


そこで少年は幸せに育っていった。


4年後までは─────


──────


────


──


20XD年


「ここですか?通報があった。家は?」


「はい、1時間程前に近隣住民から異形者を目撃・・・通報している間にこの家に侵入したとの事です」


「そうですか・・・」


私はそれを聞いた後、イエローテープで囲まれている家へと近づく。


私の名前はバト


しがない異形者ハンターをしている、紳士・・・と言いましょうか


今日も今日とて事件の通報があったので解決・・・と言うのは差し出がましいですが、出動した所存です


しかし・・・そうですね


こんなごく普通の家庭にも異形者と関わっているとは世も末・・・とでも言いましょうかね


さてさて、そろそろ無駄話もとい無駄思考を止めにして仕事に取り掛からなくては・・・


そう考え、家の玄関を開けようとしたその時・・・


ガチャ


玄関が開いた。


「────ッ!」


瞬時に距離をとり臨戦態勢をとる。


はてさて、鬼が出るか蛇が出るか・・・


そう考えていたが、現実は私の斜め上に行く。


白い服が真っ赤に染まった目つきの悪い少年が出て来た。


少年・・・少年か・・・


いや、少年!?


まっ・・・まさかこの少年が異形者!?


いやいやいやいや、無い無い!


なんでもありが異形者ではあるが、流石にこんな小さな子が異形者な訳がなかろう


そんなことがあれば世も末どころじゃない、世は既に死んでいる


第一、通報によると異形者は大柄な男ということだったわけですし・・・


思考の海へと飛び込んでいるのをどうにかしようと少年を見る。


少年の手には血塗られた包丁が握られていた。


溺れていると言った方が正しいのでは?


溺れ死にそうだ


溺死しそうだ


誰か助けてく─────


「貴方は・・・察するに異形者を殺しに来た人ですか?」


誰かの声が辺りに鳴りびく。


その声によって我に帰ることが出来た、私。


一体誰が?


「どうなんですか?」


その声を聞いた瞬間、驚愕した。


その声の主は目の前にいる少年だったのだ!


「あ・・・あぁ、そう・・・だ」


「矢張りそうですか。では、すいません。貴方の仕事を奪ってしまいました」


奪ってしまった・・・


奪ってしまった?


「それは・・・どういうことだ?」


「そのままの意味です。私が貴方の仕事・・・異形者を殺しました。しかし、弁明があります」


殺した・・・殺したのか!?異形者を!?


こんな少年が!?


「弁明・・・とは?」


「異形者が・・・長いのでVとしましょう。Vは父さんを殺しに来ました。異形者は負の感情が1つとなった時に異形化すると聞きます。つまり、Vが異形化した原因は父さんにある。故に父さんを殺しに来た。ここまでは筋が通る。Vが正義だ」


な・・・何を言っているんだ、この少年は


自分の父親を殺した者を正義だと?


もしかするとこの少年は父親に虐待を────


「断っておきますが、虐待はされていません。優しい父さんでしたよ。私が言っているのは客観的事実です」


読まれていた!?


私の考えが・・・顔に出ていたのか?


ってそんなくだらない事考えている場合じゃない


「しかし、Vはミスを犯しました。復讐対象では無い、母さんと姉さんも殺害したのです。この事でVは正義から一転悪へと変わった。故に私が殺しました。私が正義です」


「・・・どうやって殺したんだ?異形者を傷付けるのは至難の技だぞ」


私が気になるのはそこだ


異形者を倒す事は熟練のハンターであっても苦労する。


しかし、目の前の少年は倒したのだ。


何の装備もなく・・・


一体どうやったんだ?


「確かにそうです。異形者の皮膚は硬いです。たった一点を除けばですけど・・・」


少年はそう言い、一息間を空け身体のある部分に指を差した。


「目です。目の耐久性は人間と大差が無いと本で読んだことがあります。故にそこを刺しました。案の定Vの目を潰す事に成功。そこからは簡単です。心臓がある箇所に家中にある刃物で攻撃すれば良いだけですから。見ます?」


少年の言葉に同意して家に入れさせてもらった。


家にいた異形者の死体の側に血塗られた大量の壊れた刃物、鈍器等があった。


コレは・・・『凄い』


作戦がでは勿論無い。


確かに今の理論を聞くと誰でも異形者を殺す事が可能になったと思うかも知れないだろう。


しかし、それは少年の『凄み』があっての事だ。


並の人間では考えたとしても行動出来ない。


いや、まず考えつかないだろう。


それだけ少年が『凄い』のだ。


「凄いな、君は」


「いえ、別に凄くは無いです。人型のVが偶々弱かっただけに過ぎません。もし、現れていたのが獣型だった場合、人型でも強かった場合私は死んでいました。死ぬ確率の方が高かった。運が良かった、コレに尽きます」


謙虚でもあるか・・・


「フッ、ところで君は今後どうするんだ?君は賢いからあえて現実を突きつける。家族が亡くなった君はこの先どうやって生きる?」


「随分とストレートに言いますね。・・・そうですね、考えてませんね。人生はまだ始まったばかり楽しみながら生きていきます」


「なら私と生きてみないか?君を育ててあげよう」


「・・・貴方に育ててもらっていい事あります?」


こ・・・こいつ、随分とストレートに言いやがる!


もしやストレートに言われたから言い返したのか?


そこはまだまだ子供っぽいな・・・


「さっきも言ったが君は凄い。君の凄みを最大限引き出せるよう手配しよう。そして、君にある事を教えてあげよう」


「ある事・・・とは?」


「君が先程死ぬと言った獣型や強い人型を倒せる術・・・とでも言おうか」


そう言い切った後、少年は初めて目を見開いた。


そして、静かに笑みを浮かべる、目が輝き出す。


「良いですね。乗りましょう貴方の案に・・・」


「御眼鏡に適って良かった。遅くなったが、私の名前はバトだ。君の名は?」


「・・・貴方が決めて下さい。今日から貴方が親代わりなんですから」


随分と無茶苦茶な事を言うな、この少年は。


名前・・・ねぇ。


死ぬ確率の方が高かった・・・か。


そうだ!


「コレはどうだ。虚数からとって『ι』というのは」


「・・・なるほど、死にかけましたからね。良いですよ。気に入りました。ありがとうございます、バトさん」


これが私とιの邂逅だった。


次回投稿は水曜日です。


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本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

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