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第66話 夕陽と共に去りぬ

1期最終話です。


サンフランシスコとある港


「ニャルラさん、目の前!?アレ、ロストシップじゃないですか!?ヤバいですよ!?」


先程から視界に見えるロストシップを前にしてヨグは焦り始めた。


そして、ニャルラはというと・・・


「ニャ〜〜〜アザート君野郎、通信機壊しやがってぇ〜〜。あぁ〜今思い出してもイライラする。これで失敗しましたとか言い出したら・・・」


ニャルラはアザートに怒りを抑えきれないようだ。


しかし、イライラの原因はアザートだけではない。


というか普段であればこんなことでは怒らない。


「安心しろ、アルバートがいるんだ。貴様の部下などよりずっと優秀な俺の部下がな」


オルフィスがいる事だ。


オルフィスがいる事でイライラ度が敏感になっているのだ。


「五月蝿い!いい加減口を閉じないとお前の─────」


「ニャルラさん!アレ、ロストシップが!?」


ヨグのさっきまでの焦りとは違う反応を見せている。


なんだ?


オルフィスはそう思い、ロストシップの方へ視線を移動させる。


ロストシップは黒々しいナニカに覆われている最中だった。


例えるなら・・・皆既日食みたいに。


「何だ、アレは!?」


オルフィスは驚きの声を上げた。


「フッフッフー、この勝負どうやら私達の勝ちのようだニャ」


「えっ!ってことはあの黒いモノはまさか・・・」


「ブッ壊せ!!アザート君!!」


その声が聞こえているのか、ニャルラの叫びと共に・・・


黒い閃光が空を闇へと包んだかに見えた次の瞬間・・・


例えられない凄まじい音が周囲一帯を飲み込んだ。











































空は段々と黒から黄昏色へと戻っていった。


「な・・・な・・・何ですか!?今の!!」


「アザートの攻撃だ」


動揺するヨグの疑問を一瞬で答えた者・・・アルバートであった。


「おおーアルバート、無事に戻ったか」


「あぁ。だが、逆に奴は無事かどうかは分からないがな」


「それ、どういうことですか!?」


アルバートの言葉にヨグは反応する。


「今の見ただろう。奴は1人残ってあの船を破壊した。奴に脱出する手段は無い」


「そ・・・そんなアザートさんが死んだ・・・なんて」


ヨグはその言葉を聞いてショックを受けた。


ニャルラの方を見るが、ニャルラの表情はよく見えない。


「残念だったな、ニャルラ。アッハッハッハッハッハッハッハッハッ「勝手に殺すな馬鹿どもが」


オルフィスの笑い声と共に聞き覚えがある声が響いた。


「「「─────ッ!?」」」


アルバート、オルフィス、ヨグは驚き声のする方へ振り向く。


そこには服ががボロボロになっており、体も至る所に傷がある、アザートが立っていた。


「な────!!」


「お前!?」


「アザートさん!?なんで!?今の爆発で死んだんじゃ────」


「お前は馬鹿か、男女。前にも言ったはずだ、爆弾程度では俺は死なんと」


ヨグの切羽詰まる質問にあっけらかんと答えるアザート。


その言葉に何かに気付いたのかニャルラを見る。


「・・・ンンンンン・・・プッ・・・ニャッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」


ニャルラはダムが崩壊したかの如く笑い出した。


ニャルラの目は赤黒くなっている。


「あっ!邪眼!!って最初からアザートさんがコッチに来てることも分かってたって事ですか!!」


「いや、だから言ったじゃん。私達の勝ちだって。ヨグ君の動揺といい、お前の勝ち誇った顔といい笑いを堪えるのをずっと我慢してたニャ〜」


「きっ・・・貴様ァァァァァ!!!」


ニャルラの煽りによりオルフィスの顔は血管が浮き出るほどになっていた。


「待て、ではお前はどうやってここに来た?幾ら邪眼を使用してもここには辿り着くには困難な筈だ」


アルバートは冷静に質問する。


「確かにな。だか、お前がそれを可能にした」


「・・・・・・なるほどな。だから最初に俺を脱出させた訳か」


アルバートはアザートの言葉を聞き、納得した。


「えっ?今ので納得するんですか!?」


「よーするに、アザート君は先にアルバートを脱出させる事で邪眼を用いる事でアルバートを道標にしたって訳ニャ」


「な〜るほど!!!」


ニャルラを聞いたヨグは納得し、逆にオルフィスは苦虫を潰したような顔をした。


「・・・チッ、行くぞアルバート。・・・今回は俺達の負けだ、だが、次回は勝つ!!」


「それ前回も聞いたような気がするんだけど〜」


ニャルラは最後の最後まで煽りを忘れる事なくオルフィスとアルバートが去る姿を見ていた。


──────


────


──


「さてと、じゃあ私達も帰るとするかニャ!」


「そうですね、アザートさん帰りますよ」


そう言って振り返るとアザートは夕陽でオレンジ色に光る海を見ていた。


 * * *


『───×××××、一緒に世界を旅しよう・・・僕は、君と旅したい・・・』


『───えっ?何故自分とだって?僕には女の友達が沢山いるから、そいつらと行けばいいって?』


『いや〜そうなんだけど・・・僕は君と旅をしたいんだよ』


『悪いがそんな趣味は無い・・・って僕もそんな意味で誘ってる訳じゃないから!!』


『世界はとても綺麗だから一緒に見ようって言っただけで・・・ってあからさまに逃げるな!!』


 * * *


「・・・・・・確かに、綺麗だな」


「ートさん・・・アザートさん・・・アザートさん!!」


「何だうるさいな、殺すぞ」


「理不尽!!聞こえてないと思って大声出してたのに」


ヨグは突然の物騒な言葉に動揺した。


「まぁまぁ、アザート君も考える時もあるよ」


「おい、何だその言い草は・・・」


アザートはニャルラに装飾銃を向ける。


「まぁまぁ、ところでアザート君は日本以外で年を越すのは初めてじゃないかニャ?そこでニャ。今から私行きつけの店があるニャ。そこで初日の出までどうかニャ!」


「ほ〜う、それは勿論お前持ちという事か?」


「随分とどぎつい事を聞いてくるねぇ〜。分かったニャ!今日は私の奢りニャ!!持ってけドロボー状態ニャ〜!!!」


こうして3人は町へと続く道へと歩いて行った。


夕陽と海を背に向けながら・・・


次回投稿は火曜日です。

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