第62話 能力はいかような
予定では最終話までもうすぐです。
予定では・・・
「この殺し合い・・・奴の能力が分からなければ勝つ事は難しいぞ」
アルバートは斬りつけられた腕の傷を抑えながらアザートに言う。
その傷は浅いながらも血は留めなく流れている。
「・・・そのようだな」
アザートはその傷を見た後、視線を龍鳳に向けた。
「さて、Evil God。お望み通り相手してあげるよ。さぁ、どっからでもかかってこい」
「・・・・・・」
アザートは龍鳳の言葉に少し警戒したが、飛んだ。
ダァン!!! ダァン!!! ダァン!!!
アザートの持つ銀の装飾銃から3発銃声が鳴る。
その全てが龍鳳を貫こうとし高速で発射される。
しかし、龍鳳はその弾道が見えているかのように全て回避。
回避後、正面を向くが、アザートの姿が無い。
「(気配が消えた!!)」
龍鳳は一瞬だが身体が強張った。
しかし、その一瞬をアザートは見逃さない。
背後を捉えていたアザートは龍鳳に目掛け放つ。
ダァーーーン!!!
龍鳳の身体を貫通───────しなかった。
弾丸は龍鳳の身体に触れたと同時にエネルギーが0になった如く地に落ちたのだ。
「「・・・・・・」」
アザートとアルバートはその光景をただ睨んだ。
「いやー危ない危ない。もう少しで致命傷でしたよ。流石Evil God、あの一瞬で気配を消すことができるなんて・・・」
「(まただ・・・先のアルバートととの闘いと同じだ。完全に決まったと思った攻撃が失敗する。やはり、能力を見破らない限りダメージは与えられないか・・・)」
アザートはそう考え、銃口を龍鳳に向ける。
そして・・・
ダァン!!! ダァン!!! ダァン!!!
再び3発の弾丸を龍鳳に向け放つ。
しかし、今度は回避をするような素振りを見せない龍鳳。
手をアザートの方向に向けたと思った次の瞬間・・・
3発の弾丸は全て龍鳳の手に握られていた。
そう、全ての弾丸を龍鳳は反応し掴んだのだ。
「・・・さて、これで攻撃は終わりかな?では、次はコチラが仕掛けるか」
龍鳳は手に持っている弾丸3発を指で弾いた。
ドパン!!!
何かを貫く鈍い音が辺りに広がる。
そして、アザートは倒れた。
貫かれたのはアザートの心臓であった。
「アザート!?」
アルバートは驚きの声を上げた。
見ると、アザートの心臓部から血が滝のように流れ出ている。
しかし、アルバートは駆け寄ろうとはしなかった。
今は一時休戦中であるが、本来は敵である事は変わりない。
何よりアザートはこれくらいの一撃で死ぬような者では無いのだ。
そして、その予想は的中する・・・
流れ出たのは一瞬・・・数秒後、逆に出ていった血が逆再生しているかのように流れ入っている。
アザートの貫かれてボロボロになり床にぶちまけていた心臓がアザートの身体に戻っていき、完全に再生した。
アザートは目を開き、龍鳳に引き金を引いた。
完全なる不意打ち・・・完璧な弾道であった。
ドパン!!!
再び何かを貫く鈍い音が辺りに広がった。
血液や肉片が辺りに巻き散る。
「おいおい、被弾一回で交代の筈だろう?約束破るのはいただけないな」
龍鳳は余裕ある声を上げた。
そう、貫かれたのは龍鳳ではなくアザートであった。
アザートは驚きの顔を上げながら倒れた。
龍鳳は銃を持っていない。
では、仕留め損ねた砲塔が作動したのか・・・
答えはノーだ。
何故ならば砲塔から放たれる弾丸にアザートに傷付けるものなど存在しないからだ。
にも関わらず、貫通されているアザート・・・この事実にアルバートはある一つの考えに辿り着く。
しかし、たどり着いたのはアルバートだけではないようだ。
アザートは撃たれた直後驚きの顔をしたが、同時に口は笑っていたのだ。
そして、再生したアザートの開口一番は・・・
「奴の能力が分かった」
アザートは笑いながら答える。
「お前も気づいたようだな」
アルバートもそれに同調する。
「どうやら私の能力が分かったようだな」
そんな2人を見て龍鳳は声をかける。
そして、龍鳳はアザート達に拍手を送った。
「いいだろう、特別に私から答え合わせをしようじゃないか。私の異能・・・紹介してやる」
龍鳳はそう言って、床に落ちてある弾丸を一つずつ拾い・・・
「私の異能は──────」
アザートとアルバートに向け、指で弾いた。
「「(弾─────)」」
ドドババンン!!!
鈍い音が二重に重なり不協和音を奏でた。
指で弾いた弾丸が2人の腕に貫通したのだ。
アザートは右、アルバートは左に・・・
両者の噴水のように流れる血をよそに龍鳳は答えた。
「『Action Reactions』とでも言おうか。学歴ある者なら分かるが何か分かるか?」
龍鳳は得意げに話した。
「Action reactions・・・作用反作用か」
アザートは静かに呟いた。
「その通り、中々賢いじゃないか。我が能力は作用反作用が働く力の向きを自由に操る事が出来る。向きだけでなく力の大きさもな。故に何倍にでも増長させたり、逆に0にも出来るという訳だ」
「先の戦い・・・全てその能力が原因か」
アルバートは龍鳳を睨みながら答える。
「攻撃したらその力を跳ね返すか・・・中々面倒だな。さて、どうする、アルバート?このまま1人ずつ戦うか?」
「それでも構わないが、それだと時間がかかる。そろそろコイツの一言の長さに苛つき始めていた所だ・・・一気に畳み掛けるぞ」
「ようやく2人で戦う気になったな。さて、では最終決戦といこうか・・・来い!!」
次回投稿は火曜日です。
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