第58話 黒と赫の閑談
暑くて暑くて暑くてたまらない今日この頃。
「「クックックック・・・アッハッハッハッハッハッハッハッハッハァァァァァ!!」
2人は同時に飛び、笑い声を上げながら攻撃を開始した。
ドバァッ・・・ドバァッ・・・ドバァッ
アザートは装飾銃でアルバートに向かって連射するも、その全てを難なく打ち落とすアルバート。
しかし、既に前方にアザートの姿は無い。
アザートは発泡すると同時にアルバートの背後に移動していた。
装飾銃を構え放とうとするも・・・
アルバートはそれに気づいているかの様に双剣を横に構える。
すると・・・剣が伸縮し、アザートが放った弾丸すべてを受け止めた。
前回対峙した時と同じような動き・・・
アルバートは素早く振り返って2本の剣を振り下ろす。
前回はここでアザートは後方へと避けた。
しかし、アザートはその場から動こうとせず、避けなかった。
その行動に驚くアルバートであったが、剣のスピードは緩める事を知らずアザートをぶった斬る──────事は無かった。
アザートは双剣の攻撃軌道を読んでいるかの如く避けた。
「何ッ!?」
アルバートは一切の無駄無いアザートの動きに驚きを隠せない。
その一瞬の強張りを見逃す程アザートは甘くない。
ドバァァーン
アルバートに至近距離で放った。
避ける事など到底不可能・・・
アルバートの頭を貫通─────歯で止めた。
「なんだと!?」
アルバートは歯弾丸を噛み、スピードを殺しのだ!!
次の攻防は・・・といった空気が流れ出しているも、
「「クックックック・・・アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ」」
2人は笑い出した。
「以前よりも増してさらに腕を上げたようだな、アザート」
「クックックック、以前は貴様の事を舐めていたからな。で、どうする?続きでもやるか?」
アザートは銃口を向けたままアルバートに問いかける。
「フッ・・・あいにく前にも言ったが、貴様と闘うのは協約違反となる。故に答えはNOだ」
「やはり、そうなるか・・・」
アザートはその言葉を聞いて銃口を下ろした。
『ちょっと、アザート君!今、敵船に侵入中って分かってる!?アルバートは無視して今すぐ龍鳳の所に行くニャ!!』
『アルバート、そんな邪神は無視して早く行け!!』
「・・・フッ、お互い五月蝿い上司を持っているな」
「クックックック、そのようだな」
アザートとアルバートは互いの無線を聞いて帆を緩め、談笑し始めた。
「まぁ、上司の言う通り龍鳳をブッ潰しにいくか・・・」
「ああ」
そう言ってアザートとアルバートは十数メートル先の社長室へと向かった。
「聞きたい事があるのだが、貴様はどうやってこのロストシップに侵入したのだ?」
「ああ、それは最初から・・・離陸前からここに侵入していたな」
「何!」
アルバートの言葉にアザートは驚きの声を上げた。
「最初からだと?それはつまり奴等の作戦を知っていたのか?」
「ああ、知っていた。何せ有力な情報提供者がいるからな、協会には。まぁ、ちょっと強情な奴だったが・・・」
* * *
前日のEF協会本部
『────さて、では早速奴等の次の一手を教えてもらおうか・・・』
『やれやれ、協会に入っていきなり情報提供だなんて・・・めんどくさい事この上ないわね』
協会局長・オルフィスの言葉にも動じる事ないカルエラ。
流石、カンパニーの元幹部だ。
『人に・・・レディに頼むってのに何にもないのね?』
『・・・まぁ、確かにそうだな。おい、紅茶を一杯』
オルフィスはそう執事に言い、紅茶をカルエラに差し出した。
『紅茶・・・ねぇ。馬鹿にしてるの?こんなので喋ると思ってるの?』
『そうか、要らないのか?要らないのなら俺がもらおう・・・』
そうアルバートは言い、紅茶に手を伸ばすが・・・
『ちょっ、誰も要らないなんて言ってないわよ!』
『随分な紅茶好きだな・・・』
アルバートはカルエラに言う。
『アンタみたいな紅茶の良し悪しも分からないような顔してる奴より私が飲んだ方が紅茶のためと思っただけよ。・・・じゃっ、嫌々だけど少しだけ・・・』
そう言って一口カルエラが飲んだ、その瞬間・・・
『!?・・・ちょっ・・・これ・・・なんなのよこれ。美味しいじゃない!?なんでこんなに美味しいのよ!』
『褒めて下さり有難うございます』
『────っと、飲むのはそこまでだ。残りはお前の態度次第だ』
そうオルフィスは言って、カルエラの持つティーカップを奪う。
『えっ!?なん・・・ここで!?まだ、私一口しか飲んで・・・返しなさい!それは私のよ!!』
『あぁ、返すよ。だが、お前の態度次第だ』
クックックックと笑いながらオルフィスはカルエラを見つめている。
「分かった!!言う、言います!多分、次の作戦はロストシップよ!だから、早く返して!』
* * *
「まぁ、我々にかかれば吐かせるのは簡単だったがな」
「ほーう」
アザートとアルバートは話しながら社長室へと向かって、ついに目の前まで着いた。
「さて、着いたな。では、親玉を倒すか・・・」
そうアザートは言うと・・・
ドバァァーン!!!!
ドアが粉砕した──────
言っときますが、カルエラに出された紅茶にいかがわしいモノは入ってないよ。
この小説は健全な小説ですから。
次回投稿は土曜日です。
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