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第52話 偵察機・U-2

貴方はこの偵察機を知っていますか?

私は勿論知らない

太平洋上空・ロストシップ船内


龍鳳は全面ガラス張りの部屋で前方のはるか彼方を睨んでいる。


その方向は勿論、アメリカ合衆国ニューヨーク州だ。


まだ大陸には程遠く見えないが、龍鳳の目には確かに映っているかのようだ。


そんな折、


「社長、失礼します」


誰かが部屋に入ってきた。


「キッド君、君には確か周囲の警戒・・及び進行経路の動くモノの破壊を命じている筈・・・何故ここにいる?」


「社長、本当にニューヨークにこれを堕とすつもりですか?堕とせば世界は全て敵と化すんですよ。今からでも考え直─────」


「キッド君・・・二度は言わない。君には破壊を命じた筈だ。さっさと持ち場に戻れ・・・」


龍鳳はキッドの言葉を無視して言い放つ。


「しかし────」


「戻れと言っているんだ!!!」


「〜〜〜〜〜ッ!?」


龍鳳の怒鳴り声に怯んでしまうキッド。


「お前の言い分は何か?私に敗北を認め無様に引けと言っているのか!?私があのような野蛮な連中に引けと言っているのか!?」


啖呵を切ったように話し出した龍鳳。


「NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NO NONO!!敗北は我が言葉には無い!!例え、敗北が決していようとも自らがそれを認めてはならない、それが強者だ!!それが私、龍鳳だ!!」


「社長・・・・・・」


「・・・・・・分かったならばさっさと持ち場に帰りたまえ」


その言葉を聞き、キッドは部屋を後にし、持ち場へと戻った。














































そして、この部屋はまた龍鳳ただ一人となる。


「・・・・・・“仲間は死してここにいず、幹部は既にただ一人。戻りは仲間に泥を塗る。塗って塗って塗りたくる。ならば闘う、仲間の為に。死した仲間に恥じぬ様。ただそれだけが餞なのだから”─────」


─────


───


──


同刻 アメリカ合衆国 サンフランシスコ


アザート達はあの後すぐにアジトを出て、今は軍事施設みたいな場所に来ていた。


「おい、ニャルラ。こんな所に来て何をするつもりなんだ?」


「何って勿論、敵船を堕とす作戦をたてる為に来てるニャ。うーん、そろそろ到着だね」


ニャルラはそう言いながら、ある倉庫の前で立ち止まった。


「さて、ここで問題ニャ。あの敵船をロストシップを堕とす為にはどうすればいいと思うかニャ?」


「どうすればって・・・ただ単純にミサイルを撃って撃墜させればいいんじゃないんですか?」


「NON NON甘い甘い。そんなんで終わるくらいならわざわざ私達に命令を下さないニャ。アレにはミサイル迎撃のシステム・・・まぁ分かりやすく言うと、パック3的なモノを身につけているニャ。既にミサイルは飛ばしてるみたいだけど意味なし意味なし」


ヨグの考えはニャルラによって簡単に打ち砕かれる。


「・・・では、大量に戦闘機を使い迎撃システムとやらを惑わせる」


「それも既に試しているニャ。10機の戦闘機を用いて近づき、ミサイルは一機を堕とすだけとなり作戦は成功・・・だが、残りの9機は未だ消息不明。おそらく、なんらかの方法で堕とされた模様」


アザートの考えも既に試されていた様で無理だと分かった。


「では、どうするんだ?」


「フッフッフ・・・キーはアザート君、君ニャ!!」


「ほーう」


ニャルラの言葉に顔をニヤけながら反応する。


「それはこれニャ!!」


そう言って、ニャルラは目の前の倉庫のガレージを開けた。


中に存在するのは・・・・・・


「こいつは!?・・・」


「U-2 じゃないですか!?」


そう、アメリカ空軍で運用されている高高度偵察機・U-2であった。


「セフィラさんから手札は幾らでも揃えてあげると言われてね。私はコイツを指名したニャ」


「しかし、ニャルラ・・・この偵察機でどうするつもりだ?コイツを使用した所で撃墜される事は目に見えているのではないか?」


「まぁね。確かにコイツだけでは勝てないニャ。しかし、言ったでしょ?キーマンはアザート君だって」


ニャルラは含みのある言葉を発する。


「作戦は極めて単純。コイツにアザート君を縛り付けてロストシップの真上まで─────」


「待て待て待て待て・・・・・・お前今なんて言った?」


「うん?だから、コイツにアザート君を縛り付けてロストシップの真上まで─────」


「よし、分かった・・・成程」


ニャルラのトンデモ発言に初めて動揺を見せるアザート。


「・・・一応聞くが、俺が操縦するのではないのか?」


「えっ!?アザート君、偵察機操縦出来るの?そんなご都合主義的存在だったの?」


「出来るわけないだろう、何を言っているんだ」


その言葉にニャルラが逆に『ナニイッテンダコイツ』みたいな顔した。


「・・・分かった、もう何も言わん。続けろ」


「冗談冗談。確かにもう一つ方法はあったニャ。コイツが真上から玉砕覚悟で突進するヤツ。でも、借り物だって事で却下されたニャ」


「えっ!?コレ借り物なんですか!?」


ヨグがニャルラに驚き、質問する。


「そりゃそうニャ。いくら手札は揃えてあげると言われても並の戦闘機じゃあるまいし、壊したら大目玉食うニャ」


「それで、俺を縛り付けるって訳か・・・で、真上に行ってどうするんだ?」


アザートがニャルラの説明に納得したようだ。


「真上に到達したと同時にアザート君を切り離し、単騎で攻め込むニャ。黒獣を使ってね」


「成程、確かに黒獣は射程距離こそ20メートルそこそこだが、スピードはある。ミサイルの迎撃。掻い潜るくらい可能」


「そうニャ。で、どう出来るかニャ?」


ニャルラが聞いてくるが、その瞳には確固たる自信があった。


「フッ、その瞳・・・聞く前から返答がわかっているみたいじゃないか。・・・いいだろう、その作戦に乗ってやろうじゃないか」


次回投稿は火曜日です。

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