第49話 弱点は存在する?
いつの間にか4000PVを突破しました!!
これもいつも読んでくれている読者様のお陰です。
これからもバリアントをよろしくお願いします!
「名演技・・・お疲れ様です、お嬢様。あの死んだフリ・・・流石のアルバートも見極める事が出来なかった様ですね」
「出来ないに決まっているじゃ無い。この私の演技よ、見極める事が出来る人なんてルーネ以外にはいないわよ」
「ありがたいお言葉です」
私はお嬢様が最初の一撃で死んだとは思わなかった。
何故お嬢様の能力は超回復・・・触れている対象、又はお嬢様の傷を治す能力だ。
例えその怪我が致命の一撃・・・首を切り落とされたとしても治癒される。
しかし、治癒されている所をアルバートに気づかれれば今の隙は生じなかった。
ゆえに、私はお嬢様の首をタオルで隠したのだ。
「あの行動・・・アルバートに怪しまれなくて本当に良かった。怪しまれていたら完全に私達の勝機が失っていましたから」
「いや、ルーネ。相手も怪しんでいたみたいよ。私が復活した時・・・驚いてはいたけれども、同時に『やはり生きていたか』って言ったもの。噂に違わず最強って感じだったわね」
「本当にそうですね。・・・さて、仕事は終わりました、ティータイムとでも致しましょうかお嬢───────」
バシュッ────────
私がそう言い終わる前に、お嬢様の首が舞った。
「─────お嬢様っ!?」
私はお嬢様に駆け寄った。
「大丈夫よ、ルーネ。私はすぐに治る・・・でも、今の攻撃は何処から!?」
「「まさか!?」」
私とお嬢様は同時に声を上げ、後ろで倒れている者に振り返った。
まさか、そんな筈は無い!!今度は有り得ない!
ちゃんと見た、奴が攻撃を喰らう所を。
今も奴が倒れているじゃないか。
しかし・・・
「そんな攻撃で俺が死ぬとでも?」
──────
────
──
倒れていたアルバートが何事もなかったかの様に起き上がった。
しかし、アルバートの身体のあちこちにはナイフが刺さっている。
「どうしてよ!?どうしてナイフがそこらじゅうに刺さっているのに起き上がれるのよ!?生きていられるのよ!?」
「そうだ!今のは確実にお前の心臓は勿論、致命傷の場所を何度も刺した筈。生きているのはあり得ない!!」
カルエラとルーネは驚くべき事、アルバートの二度目の起き上がりにより困惑していた。
「フッ、つくづく物事の上辺しか見ていない連中だ。よく見ていろ、貴様の攻撃が俺の身体を貫いているのか?血は噴き出しているのか?」
否!!アルバートに刺さっているナイフは刺さっているだけ、貫いてはいない。
果ては、血飛沫すらも出していないのだ!!
「一撃を浴びせられたと喜んで敵がどの様に受けたのかも見ようともしない。本当に相手が死んだのかの確認もしようともしない。本当に雑魚の集まり・・・いや、それ以下だ、カンパニーの連中は!」
「「─────クッ!」」
アルバートの言葉に図星でも付かれたかの様に苦い顔をする二人。
「────さて、しかし何故ナイフが何本も刺さっているのに死なない・・それどころか、貫通していないか、だったな。特別に貴様たちに教えてやろう」
アルバートはそう言って、自らが着ている赫いコートを脱ぎ、見せた。
「「─────ッ!?」」
そのコートにはナイフが刺さっていた──────が、内側には貫通はしていなかった。
そう、それが血飛沫が上がらない何よりの証拠。
「このコートは特注品でな、平たく言えばコイツもスクワームだ。さて、この素材が分かったところでクイズだ。何故、貫通しない?」
「────ッ!!・・・・・・異形者は並の武器では通用しない!」
「えっ!どういう事よ、それは!?」
ルーネがアルバートのクイズを答えたところでカルエラは、『何だそれは』と言わんばかりにルーネに聞いた。
「おい、今の言葉・・・本気で言っているのか?」
しかし、そのカルエラの言葉にアルバートは耳を疑ったかの様に静かに・・しかし、重々しく答えた。
「えっ?本気も何もそんな事は知らな─────」
「クックックックックックックックックックックッ。まさか、これ程まで愚かな奴がカンパニーにいるとはなぁ。呆れて笑うしかない。愚かな上に能力も弱いとはな」
「なっ・・・何を!!貴方今なんて言った!!」
アルバートの言葉にカルエラは逆上した。
「そりゃそうだ。龍鳳の話からすると、貴様達は異形者を相手取るために編成された奴らなのだろう。にも関わらず、そこにいる奴が異形者の基本・・・協会のアカデミー生でも知っている事が知らないとなると・・・同情するな」
「なっ・・・その減らず口切り刻んでやるわ!!ルーネ、この男倒すわよ!!」
「はい、分かっています。お嬢様」
そう言って、ルーネはレイピアを構え直した。
「フッ、貴様も哀れな者だ・・ルーネ。こんな使えない奴が主だなんてな」
「──────ッ!」
ルーネはアルバートに反応を見せる。
「だってそうだろう。主は敵となる異形者の生態すら知らない情弱な奴。しかも、能力はろくすっぽ自ら攻撃をする事も出来ない回復能力・・・哀れ以外の何者でもないだろう」
「貴方、言わせておけばお嬢様を侮辱する言葉・・・楽に死ねるとは思わないでくださいね」
ルーネは遂に静かにキレた。
しかし、アルバートはそれに臆する事なく次の言葉をルーネに指差しながら口にした。
「予言する。貴様のメイド・・・ルーネはお前を庇って死ぬ」
「ッ!?そっ・・・そんな事は─────」
カルエラは言葉を返そうとするが、押し黙ってしまった。
「フッ・・・さて、話は終わりだ。次の一撃・・・勝負は次の一撃で決まる。断言しよう、次の俺の攻撃・・・貴様を狙う。俺は貴様の能力の弱点を見つけた。それでも戦う気があるのなら臨戦態勢に入れ。4秒時間やる、備えろ」
「ハッ・・・ハッタリですわ!!ルーネ、私に気にせず奴の攻撃の隙を狙って」
カルエラはルーネにそう言い張った。
「────4」
アルバートがカウントを始める。
「しかし、もしものことが──────」
「私は最強であり、無敵なのよ!信じなさい!!」
「────3」
カルエラは信じるようにルーネに言い聞かすが、ルーネは肯定する事に躊躇ってしまっている。
それはそうだ。
いつものルーネの思考なら迷わずカルエラの言葉を信じる事が出来たであろう。
「────2」
しかし、今・・・この瞬間に対峙している者はアルバート。
赫い死神と呼ばれるアルバート、赫の執行人と呼ばれるアルバート、殺戮屋ℜと呼ばれるアルバート・・・・・・
もしものことがあれば?
アルバートの言う通り、本当に穴を見つけたのではないか?
脳内に映るは、お嬢様を信じてアルバートに攻撃した時・・・死体へと変わるカルエラの姿─────
「────1」
そう考えてしまったら、もう通常の思考には戻れない。
己の行動で主が死んでしまう・・・
一度そうなってしまったその思考、脳内全て埋まってしまうのは当たり前のことである。
「────0」
次回投稿は火曜日です。
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