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第4話 再会


時はニャルラ達が色北町に入って行く時間まで遡る。


「ニャルラさん、どこを見てもガレキだらけです・・・家々は半壊し、風が吹くたびに瓦礫が音を立てて動きます。そして、この二年間で自然災害も全く無かったのに、この状態ですから、やはり異形者の仕業ですね」


夜の闇が一層その不気味さを引き立て、冷たい風が二人の頬を刺すように吹き抜けた。


僕は周囲を見渡しながら言った。荒れ果てた街並みは、まるで時間が止まったかのように静まり返っていた。


さっきまで運転手のおじさんがいたから、あまり話すことが出来なかったから今話したいなぁ・・・なんて。


「ニャフフフフー、君は運転手がいなくなったらすぐによく話すニャ〜。君の男嫌いは分かってるけどニャ〜、そんなに寂しかったの〜、腕組んでもいいよ」


「なっ!何で分かったんですか!?あっ・・・いや、別に寂しかったから話しかけたわけじゃなくて・・・その、ただ・・・」


顔が赤くなり、言葉が詰まってしまった僕は、目を逸らしながら慌てて言い訳をした。


ニャルラさんはエスパーか何かなんですかね。


「ふーん、寂しくないんだ・・・私は寂しかったのになー・・・君は寂しくなかったのかニャ〜、そうかそうか」


「分かりました!僕の負けです!寂しかったです!」


やっぱりこの人には勝てないなぁ


「ふふーん、素直でよろしい。お礼に腕を組んであげるニャ〜」


「いいですって!今外ですし!それとは別に僕の話聞いてますか?」


「聞いてるよー、君は可愛いニャ〜・・・うん、間違いなく異形者の仕業ニャ。空気がそういう感じニャ」


「日本は情報規制のせいで異形者のことは、公になってないですからですね。だから平和なんですけど、こういうことになると危険ですからね」


「そうだニャー。たまたま、私達が休暇で日本に訪れたからよかったものの・・・そうじゃなかったら、一生分からなかったニャ〜」


ニャルラさんも言っている。


日本以外のすべての国は異形者という存在を認めて、国民も認知している。


だから、必ず国立の異形者対策局が存在する。


一番有名なのが、アメリカの“Exorcist Federation協会”、略してEF協会。


因みにニャルラさんは狂会と呼んでいて、その局長と犬猿の仲だ。


おっと話が脱線してしまった。


つまり何が言いたいかと言うと、日本の政府の危機管理能力の低さ。


もちろん国立の対策局なんて無い。


そして、海外にも国内の異形者の情報を話さないこと。


鎖国かっていうぐらいのことしてるよ、日本大丈夫?


たまに考えたりしたりもする。


「どうしたのかニャ〜?浮かない顔してるけど・・・腕、組んであげようかニャ」


「うん、自分も腕も大丈夫ですよ」


まだ言ってるよ・・・


そんな他愛もない話をしていると、突然ニャルラさんが立ち止まった。


彼女の表情が一変し、鋭い視線が暗闇の中に向けられた。


夜の静寂の中で、遠くから微かに何かが近づいてくる音が聞こえてくる。


「・・・誰かがこっちに走ってくる」


ニャルラさんの声が低く、緊張感が漂った。その瞬間、胸の鼓動が一層速くなった。


「・・・異形者ですか?」


「いや、これは人間ニャ」


そして、街灯のない暗闇の中、徐々に男の姿が見えてきた。


男の息が荒く、顔には恐怖と焦りが浮かんでいる。


男が足を速めるたびに、足元の瓦礫が音を立てた。


って、男!?男は本当に苦手なんです!!!!


そして、ニャルラさんの後ろに隠れ、ニャルラさんの服の袖にしがみつく。


ニャルラさんがニヤニヤしているが今はどうでも良い。


「あれっあの人って確か・・・そうそう、さっき私をナンパしようとした金髪野郎だニャ」


ニャルラさんをナンパしようとしたのがアイツか・・・急に殺意が湧いてきた・・・が、やっぱり男怖い。


「はっ・・・はっ・・・はっ・・・はぁ〜、こっここまで来れば安心だろう。後輩の奴もう捕まって殺されただろうな。まぁ、()()()と同じようにオレの為に死んだんだ、名誉あること・・・うん?あなたはさっきのお姉さん!?どうしてここにいるんですか!?」


相当驚いているようだ、まぁそりゃそうだろう、普通は先程ナンパした女がここに来るなんて考えない


「私達はここに用があって来たニャ・・・あれっ?もう一人いた気がしたけど、どうしたのかニャ」


「そっそうだよ!お姉さん達も逃げた方がいいですよ!この先に殺人鬼がいて、ソイツに後輩が殺されて・・・オレは命からがら逃げだしたんだ」


そっそんな・・・目の前で友人が殺されるなんて・・・


男だけど少し同情した。


「だからお姉さん達も逃げた方が「ねぇ、そこに案内して欲しいんだけど」


「「えっ」」


金髪男と僕の声が、ハモる。


「ニャルラさん、わかってます?僕らの目的は異形者であって異常者じゃないんですよ」


「危ないですよ!お姉さん殺されますよ!その男は銃を持っていて、それでバケモノを簡単に倒しちゃう程強いんですよ」


バケモノを倒す?・・・なんだ?同業者か?


「オレの後輩の仇取ってくれるのは嬉しいんですが、やっぱり・・・」


「そうですよ、僕たちの仕事に集中しましょう」


「うーん、私は別に君の後輩君の為に行くんじゃないニャ」


ニャルラさんが答える。


「じゃあ、なぜ・・・」


「私はただ、そこにいる同胞の女の子の為に行くニャ」


そう言い、ニャルラさんは指を指す。


その先には、異形者に変わり果てた女が立っていた。


彼女の目は虚ろで、体は異様に歪んでいる。息をのむ音が聞こえ、空気が一瞬で冷たくなった。


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