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国境騎士団・バリアント 〜『お前は存在してはいけない生物だ』・・・対峙した者は何故か不思議と口にする 〜  作者: 燕尾
6-2章 バリアント殲滅作戦その2 ─── An existence that should not be alive ───
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第42話 首を刈り取れ!

なんか最近のアザートについて『これ、主人公か?』と思っている方は少なくないでしょうが、自分は主人公だと思う。


メタハドレードを放ったメドロの周囲は煙と炎で充満していた。


煙は晴れたが、目の前にはアザートの姿はない。


灰すら残らない無常の一撃、これを受けて立っている者などいない、いる訳がない。


メドロは勝利を確信した。


「勝った・・・俺が勝った。俺の・・・俺の・・・正義が勝った。やはり、最後に正義は勝─────」


バシュッ


「──────えっ?」


メドロは突然、バランスが保てなくなり倒れこんでしまった。


否、立てなくなった。


最初は反動で動けなくなったのではないかと思い脚を見ると・・・・・・左足が無くなっていた。


「〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」


メドロの全身に戦慄が走る。


左足が無いという事実。


その事実がある最悪の現実を示していることにメドロは恐れを抱いた。


「そんなことはない!現実のはずがない!!」


声に出して自分に言い聞かせたが、次のある一言で現実であることが嫌でも理解させられた。


「何現実逃避し恐れを抱いているんだ、氷炎?ガタガタ震え出すにはまだまだ早いだろう?」


恐る恐る振り返ると・・・奴がいた。


黒髪で長髪、黒いコート着ていて左手には銀の装飾銃を手にいているアザートが。


「あ・・・あ・・・バケモノ」


メドロは恐怖、絶望を感じ震え出していた。


左足を能力で止血するのを忘れる程に。


「バケモノ・・・バケモノか。では逆に聞いてやる。貴様は自分が人間であると思っているのか?」


「なっ・・・何を言っているんだ!?」


アザートからの予想外の質問・・・


その質問にメドロは動揺した。


「何をって実に簡単な質問だ。お前は自分を人間だと思っているのかと聞いているんだ」


「人間に決まっている!!何言ってい───」


「否・・・否否否ァァァ!!貴様が人間?冗談も休み休みにしてくれ。貴様もバケモノなのだよ」


アザートはメドロの言葉を遮り声を張り上げた。


「お前が何言っているんだ!!俺はお前達バケモノとは違って人間だ!!」


「そうか、なら問おう。普通の人間は炎を操れるか?」


「〜〜〜〜〜〜ッ!?」


アザートの言葉に驚き、黙ってしまうメドロ。


「氷を操れるか?いや、まず普通の人間は人を殺したり出来るのか?否否否、どれも出来ない出来っこない。何故ならそれが普通だからだ」


メドロの顔が歪み始めたが、無視して話し続けるアザート。


「つくづく思っていたことだ。漫画などで主人公一行らが悪役に向かって『このバケモノが!!』と怒鳴りながら倒す様を。では、貴様らは人間なのか?・・・と。違うな、彼らも全員バケモノなのだ。普通の人間は特殊な能力など持たない。普通の人間は人を殺せない。相手がどんな悪であろうとも」


アザートは淡々と話していく。


「分かるか?人を殺した瞬間、人に殺意を持った瞬間、ソイツは人間でなくなる。バケモノと呼ばれるのだ。それを貴様は自分は人間だと・・・正義だと宣っているその姿、バカ丸出しとはこの事だな」


「ち・・・違う。僕は・・・僕は・・・人──────」


「貴様も薄々感じてはいたはずだ。自分はバケモノなのではないかと・・・だが、それを認めたくない一心で見るからに悪である俺になすりつけた」


「あ・・・あ・・・ぁぁぁ・・・」


メドロは完全に怯えきっている。


「安心しろ、生かしてやろうとは思ったが、気が変わった。貴様をその呪縛から解放してやる」


アザートがそう言い、銃をメドロに向け構える。


「・・だ・・・いやだ・・・いやだ!!死にたくない!死にたくない!!」


そう言って、這いつくばりながらアザートから逃げ出した。


そして、メドロの目の前にいつの間にかある者の足が映り込む。


それはヨグのであった。


「・・・・・・」


アザートはヨグを見るなり睨む。


「たっ・・・助けてくれ!!俺は死にたくない、死にたくないんだ!!お前、俺を助けようとしてくれただろ?頼む、助けてくれ!!」


メドロはヨグに頼み込んだ。


そして、肝心のヨグの反応は・・・


「ごめんなさい。貴方を助けることは出来ません。先に攻撃し、殺そうとしてきたのは貴方ですから」


そうヨグは言いながら、デスサイズを生成した。


そして、アザートの方をヨグは見る。


アザートは笑みを浮かべながら、一言呟く。


「やれ」


その次の瞬間・・・


ズシャッ


デスサイズにより一人の首が飛んだ・・・勿論、メドロのだ。


頭が離れたことで胴体は立つことに維持が出来なくなり、あっけなく倒れ込んだ。












































「「・・・・・・」」


今度はアザートとヨグの間に沈黙が走る。


しかし、これは長くは続かなかった。


「ア・・・アザートさん、すいませんでした!!僕は・・・強くなろうと誓ったのに僕は・・・僕は・・・」


ヨグは頭を下げ謝った。


アザートに罵倒されるだろう・・・そう思っていたヨグであったが、


「何を言う男女、お前はちゃんと作戦通りに動いていたじゃないか?見ろ、コイツの最期の顔を・・・随分と間抜けな顔だ」


アザートの衝撃的な言葉にヨグは唖然とした。


次回投稿は火曜日です。

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